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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
124.寄り添うもの
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「おい、ブランって言ったか? お前今なんて言った」
「ですから。あなた達のレベルではこのダンジョンの攻略は百パーセントできません。装備もそんな装備で行くなんてどうかしてる」
「あ? やんのかてめぇこら。こちとら天下の冒険者様だぞ? 案内人風情がしゃしゃり出てくんなよ」
俺に手を出してくるか。ふ、雑魚が。
「な! いってぇ……」
「ボ、ボスが一瞬でひっくり返された!?」
「お前らもボスの言うことばかり聞いてると無駄死にするぞ。このダンジョンの攻略をしたいなら、まずそのボスをどうにかするんだな」
「くそ……また来る」
「ありがとうございました」
身の程知らずのくそ冒険者め。
「おいおい、ブラン。やりすぎだぞ……」
「マスター、しかし本当のことを言っただけで」
「あぁ、もちろんお前の判断は正しい。だがな、判断だけじゃなくて冒険者をもっと信じて可能性も提示してやれよ」
「マスター。可能性を提示してそれを信じた冒険者が死んだらどちらの責任になるのでしょう」
「ブラン……お前やっぱりまだ……」
「すみませんマスター。俺にはこういうやり方しかできないので」
俺は復帰して数日でこの案内所の業績トップを取った。
案内人に復帰すると決めて一か月は死ぬ気で様々な情報を集めまくった。ギルドに登録されている冒険者情報、この世にある装備、ダンジョンの詳細なマッピング、そして戦い方。その一つ一つのデータを元に案内を行っていく。
冒険者の意図や意思は必要ない。常に答えは俺のイエスかノーだ。一パーセントでも失敗する可能性があるのならノーと言い切る。そうやって俺はトップまで登りつめた。
「マスター。ブランさんやっぱり変ですよ。最近は特に」
「スレスタか。あぁ、戻ってきてからのあいつの営業スタイルは異常と言える。だが全てが的確で的を射たアドバイスをしているのも確かだ」
「確かにダンジョン攻略に加担した案件は百パーセントの成功率ですからね。ただそれ以上に断った件数があります」
「うむ、案内所として売り上げは右肩上がりだが、全体の満足度は下がってきてはいるからな。少々のテコ入れは必要かもな」
「必要ありません」
「ブラン!?」
「ブランさんっ!?」
「いつからそこに……」
「さっきからずっといたよスレスタ。君もまだわかってないようだね。我々案内人に必要なのはデータに基づく的確な判断と、百パーセントを約束された結果だ。それ以外はすべて切り捨てろ」
「……本当にそうなのでしょうか」
「何だと……」
「ひっ、な、なんでもないです」
「スレスタ。ガイドなり立てのお前が上級ガイドになった俺にもう一度口答えしてみろ。一生案内できなくなるまで殴り続けてやる」
「ひ、すみませんすみませんすみません、ですので下ろしてください」
「やめろ、ブラン」
「マスター……」
「マスターも他の案内人も甘すぎる。そんなんだとマーラみたいになりますよ」
「……なぁ、ブラン。お前の今の姿。マーラが見たら喜ぶのか?」
「……それは」
「お前は胸を張って案内人をやってるってマーラに言えるのか?」
「……俺とマーラの夢のためなんです。それを邪魔するならマスターでも容赦はしません」
そう、俺にはこうやって登りつめていくしかないんだ。
ん? 誰か来たな……。
「すみませーん。私、王都案内人育成委員会取締役秘書のスーザン・アレクと申します。息子さ……じゃなかった。ブラン・ゴードンさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか……?」
来たな。公認の案内人適性試験の推薦。これはチャンスだ。
「ふふふ。あははは!」
「……あなたがブランさん?」
「えぇ、初めましてスーザンさん。早速お話をお聞かせ願いますか?」
なぁ、マーラ。俺のやり方はやはり間違っていたのだろうか。お前のようにダリウスを信用して寄り添っていたら、こんなことにはなっていなかったのだろうか……。
俺には案内人の素質などなかったのか、教えてくれマーラ。俺は……俺は……。
「ブランさん……あなた、やっぱりまだマーラさんのこと……」
スーザンは膝を着き空を見上げているブランを静かに見つめる。
ブランがそうしているうちにダリウスがフィールドに上がった。
「サテラ、お待たせ」
「ダリウス。あら、グローブを使うのはやめたのね」
ダリウスはちらりとブランを見る。
「うん。僕はこれで強くなりたい。それが例えどんなに時間がかかったとしても、どんなに他の人に向いてないと言われても……」
その言葉を聞いたブランが声を震わせながらダリウスに語り掛ける。
「ダリウス……それは愚かだ……お前はもっと強くなれるんだぞ……俺の言うことを聞いておけば。結果いい方向にいくんだぞ。なぜそれが分からない」
ダリウスはブランの方に振り返り、少しだけ頬を上げた。
「……それでも、これが僕のやりたいことだから」
ブランを真っ直ぐに見つめるダリウスの瞳がブランの心を揺さぶった。
「ダリウス」
マーラ。お前はよく言っていた。
『案内人は冒険者と真正面から向き合うものじゃない、冒険者の隣で寄り添うもの』だと。
俺は今からでもそうなれるのだろうか。
「さぁ、サテラ。君の強さを僕に見せてくれ。今日は負けるかもしれない。けど僕はこれから強くなる!」
「……分かったわ。最後まで全力で行かせてもらいます!」
『両者準備が整いました。試合再開!』
「ですから。あなた達のレベルではこのダンジョンの攻略は百パーセントできません。装備もそんな装備で行くなんてどうかしてる」
「あ? やんのかてめぇこら。こちとら天下の冒険者様だぞ? 案内人風情がしゃしゃり出てくんなよ」
俺に手を出してくるか。ふ、雑魚が。
「な! いってぇ……」
「ボ、ボスが一瞬でひっくり返された!?」
「お前らもボスの言うことばかり聞いてると無駄死にするぞ。このダンジョンの攻略をしたいなら、まずそのボスをどうにかするんだな」
「くそ……また来る」
「ありがとうございました」
身の程知らずのくそ冒険者め。
「おいおい、ブラン。やりすぎだぞ……」
「マスター、しかし本当のことを言っただけで」
「あぁ、もちろんお前の判断は正しい。だがな、判断だけじゃなくて冒険者をもっと信じて可能性も提示してやれよ」
「マスター。可能性を提示してそれを信じた冒険者が死んだらどちらの責任になるのでしょう」
「ブラン……お前やっぱりまだ……」
「すみませんマスター。俺にはこういうやり方しかできないので」
俺は復帰して数日でこの案内所の業績トップを取った。
案内人に復帰すると決めて一か月は死ぬ気で様々な情報を集めまくった。ギルドに登録されている冒険者情報、この世にある装備、ダンジョンの詳細なマッピング、そして戦い方。その一つ一つのデータを元に案内を行っていく。
冒険者の意図や意思は必要ない。常に答えは俺のイエスかノーだ。一パーセントでも失敗する可能性があるのならノーと言い切る。そうやって俺はトップまで登りつめた。
「マスター。ブランさんやっぱり変ですよ。最近は特に」
「スレスタか。あぁ、戻ってきてからのあいつの営業スタイルは異常と言える。だが全てが的確で的を射たアドバイスをしているのも確かだ」
「確かにダンジョン攻略に加担した案件は百パーセントの成功率ですからね。ただそれ以上に断った件数があります」
「うむ、案内所として売り上げは右肩上がりだが、全体の満足度は下がってきてはいるからな。少々のテコ入れは必要かもな」
「必要ありません」
「ブラン!?」
「ブランさんっ!?」
「いつからそこに……」
「さっきからずっといたよスレスタ。君もまだわかってないようだね。我々案内人に必要なのはデータに基づく的確な判断と、百パーセントを約束された結果だ。それ以外はすべて切り捨てろ」
「……本当にそうなのでしょうか」
「何だと……」
「ひっ、な、なんでもないです」
「スレスタ。ガイドなり立てのお前が上級ガイドになった俺にもう一度口答えしてみろ。一生案内できなくなるまで殴り続けてやる」
「ひ、すみませんすみませんすみません、ですので下ろしてください」
「やめろ、ブラン」
「マスター……」
「マスターも他の案内人も甘すぎる。そんなんだとマーラみたいになりますよ」
「……なぁ、ブラン。お前の今の姿。マーラが見たら喜ぶのか?」
「……それは」
「お前は胸を張って案内人をやってるってマーラに言えるのか?」
「……俺とマーラの夢のためなんです。それを邪魔するならマスターでも容赦はしません」
そう、俺にはこうやって登りつめていくしかないんだ。
ん? 誰か来たな……。
「すみませーん。私、王都案内人育成委員会取締役秘書のスーザン・アレクと申します。息子さ……じゃなかった。ブラン・ゴードンさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか……?」
来たな。公認の案内人適性試験の推薦。これはチャンスだ。
「ふふふ。あははは!」
「……あなたがブランさん?」
「えぇ、初めましてスーザンさん。早速お話をお聞かせ願いますか?」
なぁ、マーラ。俺のやり方はやはり間違っていたのだろうか。お前のようにダリウスを信用して寄り添っていたら、こんなことにはなっていなかったのだろうか……。
俺には案内人の素質などなかったのか、教えてくれマーラ。俺は……俺は……。
「ブランさん……あなた、やっぱりまだマーラさんのこと……」
スーザンは膝を着き空を見上げているブランを静かに見つめる。
ブランがそうしているうちにダリウスがフィールドに上がった。
「サテラ、お待たせ」
「ダリウス。あら、グローブを使うのはやめたのね」
ダリウスはちらりとブランを見る。
「うん。僕はこれで強くなりたい。それが例えどんなに時間がかかったとしても、どんなに他の人に向いてないと言われても……」
その言葉を聞いたブランが声を震わせながらダリウスに語り掛ける。
「ダリウス……それは愚かだ……お前はもっと強くなれるんだぞ……俺の言うことを聞いておけば。結果いい方向にいくんだぞ。なぜそれが分からない」
ダリウスはブランの方に振り返り、少しだけ頬を上げた。
「……それでも、これが僕のやりたいことだから」
ブランを真っ直ぐに見つめるダリウスの瞳がブランの心を揺さぶった。
「ダリウス」
マーラ。お前はよく言っていた。
『案内人は冒険者と真正面から向き合うものじゃない、冒険者の隣で寄り添うもの』だと。
俺は今からでもそうなれるのだろうか。
「さぁ、サテラ。君の強さを僕に見せてくれ。今日は負けるかもしれない。けど僕はこれから強くなる!」
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