村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

132.夜の会合

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 エンフィーさんの救出のため『始まりの遺跡』に入ったわたくし達でしたが、ボスとの戦闘による消耗、そしてデニス達の圧倒的な戦力差によりなす術なく捕まってしまいました。

 あぁ、やっぱり占い通りだ。ここでわたくし達は……そう思った瞬間でした。

「貴様ら。何をしている」

「え!?」

 なんで、テリウス様が……。わたくしに頼んだはずなのに。


 テリウス様は鍛え上げられた剣術とスキルでデニス達を一掃しました。

 そして。


「大丈夫だったかい? ルナ」

「え……」

 わたくしですか……ナヴィさんではなく?

 そのままテリウス様はわたくしの身体を引き上げて、ダンジョンの出口へと向かいました。



「以上です。最後の方はもしかしたらナヴィさんのお気を悪くしてしまったかもしれません。すみませんでした」

「いいのよ、ルナ、あなたが悪いわけじゃないから」

 テリウス様がそこまでルナと密接に関わってあたしのことを知ろうとしていたなんて……。

「ナヴィ、顔が紅いが大丈夫か?」

 ケビンはナヴィの顔を横から覗き込んだ。

「ふぁぁぁ! 何よケビン」

「お前もしかして喜んでんのか? 俺には自分からは動かない弱虫な勇者にしか聞こえなかったが」

「違うわケビン、勇者だって一人の人間ってことよ。誰もが本に出てくる勇者じゃないの、それだけテリウス様の中ではトニーさんとの一件が引っかかっているのよ」

「ふーん」

「えーと、言いたいことを見失ってしまいました……。とにかくテリウス様はナヴィさんを避けていたわけではなく、わたくしを使って見守っていた、ということなんです!」

 そっか……じゃああたしはまだテリウス様に近づくことができるんだ。

「ありがとう。ルナ、それにあたし色々勘違いしてぎくしゃくしちゃってたね。ごめんね」

「ナヴィさん」

 ルナの目がほんのり赤くなった。

「ほんとだぞ、二次試験はどうなることかと」

「ケビン。あんたはいいの」

「いって肩叩くな」


「なぁ、ナヴィさん、少し聞いていいか?」

「なにマスター?」

「話聞いてる感じだが、二人はお互い意識し合ってるようだな。正直、そのトニーさんの一件があっただけでそんな関係になるもんなのか……?」

「え……」

 その質問に呼応するかのように横にいた二人もナヴィに尋ねた。

「確かに、さっきも言ったが俺には弱虫な勇者にしか見えないぞ?」

「それもそうかもしれませんがテリウス様も少し過保護と言いますか、ナヴィさんに対しての熱意はかなり強く見受けられます」
「ナヴィさん。お二人が最初に出会ったのは本当にその時だったのですか?」


「……わからない」

「「え?」」

「わからない、確かにあの時初対面だったのは間違いないけど……」

 でもどうしてだろう。初めて会った気がしなかったというか、あの雰囲気どこかで見覚えがあったような。

 考え込むナヴィとそれを無言で見つめるケビンとルナ。その三人の様子を見ていた店主が持っていたドリンクを一気に飲み干した。

「すまねぇなナヴィさん。変な質問をしてしまった、そろそろ店じまいだ」

「い、いえ、全然大丈夫です、じゃああたし達も帰ろうか」

「今日はあんたらの面白い話も聞かせてもらったし料金はいらねぇ」

「そんな、悪いです!」

「じゃあまたぜひ次回も立ち寄ってくれ、決勝戦が終わった後にでも」

「はい! 今度はぜひマスターの話を聞かせてくださいね」

「あぁ」

 こうして三人は店を後にした。



「俺の話か……」

 店主はたばこを口に咥え、火をつける。

「ふーなかなか面白い奴らじゃねぇか」

 きっとここに来なかったとしてもあいつらとはまたかかわることになりそうだな。

「そろそろ本業に戻ろうかな」

 店主はカウンター裏の隅に置いてある大斧を見つめた。



 その頃、ナヴィら三人は地下から階段を上がり地上に出た。

「うわ、もう三時……」

「ナヴィさんすみません夜遅くまで」

「ううん。ありがとねルナ、じゃあ帰りましょうか」

「ナヴィ」

 宿に向かって歩こうとするナヴィとルナをケビンが止めた。

「なに、ケビン?」

「明後日は決勝だ、さっきの話を聞いておいて申し訳ないが、価値を譲るつもりも手加減するつもりも毛頭ないぞ」

 ケビン先ほどの顔とは一変しナヴィを睨みつけながら言葉を放った。

「ケビン。あんたいつからそんなに丸くなったの?」

「は……?」

「もちろんよ。あんたこそいらぬ同情をして足元救われないようにせいぜい気を付けるのね」

 ありがとう。ルナ。あなたがテリウス様のこと言ってくれたおかげで、心の中にずっと刺さってた棘がすっと抜けた感じがする。

 ナヴィはケビンの目と鼻の先の距離に立ちケビンの顔を見上げた。

「サテラちゃんとあたしはあなた達には負けない」

「ふっ安心した。俺たちは全力で迎え撃つ」


「あのーお二人とも、そろそろ帰りませんか?」

 ルナは二人の横であたふたしながら止めに入ろうとする。

「そうね、ルナ行こう」

「は、はい」

 ケビン見てなさい。サテラちゃんのため、そしてテリウス様のために。あたしは全力で立ち向かうわ。
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