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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

131.初対面?

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 ルナがナヴィと出会う数日前のこと。

「さて、昨日のテリウス様との占いでナヴィさんが『悪戯の鍾乳洞』に探索しに行く姿は見ましたが……いつなのでしょう……」

 確か天気は快晴で雲一つない空が見えた。それに海の近くだったから波の音も聞こえたけど、さざ波ってくらいの音だった……。ということはその前後の日も晴れ、波風から察するに気候の変動もあまりない、そんな日ってあるのかしら。

 ルナは近くに張り付けていたカレンダーを凝視する。そのカレンダーには予めその日の天気や気候の予測も書いていたためルナはそれをチェックした。


「ん?これって……二日後から!?」
「これは急いで準備しないと!」

 ここから『悪戯の鍾乳洞』までは山を越えないといけないから最低でも二日は掛かる。急いで行かなきゃ!

 扉の看板を『クローズ』にし、最低限の食料と動きやすい恰好で目的地へと向かった。



「ふー何とか間に合ったー……のかな」
「快晴だし、波音も水晶で見た通りだし、今日一日いればナヴィさんもきっと来るよね」

 しかし、日が暮れるまでそのダンジョンの近くの草むらで待機していたルナの前にナヴィは現れなかった。

「あれ、おっかしいなぁそしたら明日かな……とりあえずアメルダを見張りにして今日はここで寝よう」

 翌日。

「来ない……どうして」

 昨日に引き続き環境は昨日のまま、来てもおかしくないんだけどなぁ。

「あーお腹減ったなぁ、こんなことならもっと食料持ってくるんだった」

 往復での四日分の食料と張り込みでの数食分、張り込み分は今日の朝で終わっちゃったし、復路分には手を出せない。

「ナヴィさん早く来てぇ」

 今日来ないと明日は晴れ時々曇り……。わたくしの占い、失敗だったのかしら。

 ルナの願いも虚しく、ナヴィはその日も現れなかった。


 そして三日目、昨日の朝から飲まず食わずでいたルナは体をゆっくりと起こした。

「んー三日目かぁって、あれ快晴!?」

 快晴もそうだけど太陽の位置的にもう午後じゃない! やばいやらかした。もしかしたら朝のうちにダンジョン探索を終わらせてしまっているんじゃ。 

「……あれ、お腹が減ってち、力が抜けて……」

 目の前がぼーっと……。

 ルナはここまでの疲労と空腹からか目の前が真っ暗になり、ダンジョンの入り口の前で倒れてしまった。



「ちょ、だ、大丈夫ですか?」

 わたくしが倒れてから何分経ったんだろう。誰かが声を掛けてくれている……。

 誰かは別に後ででいい。とにかく今は。

「食べ物……を恵んで……ください」

「ちょっと待っててね! 今食べられるもの探すから……んーあった!」

 カバンの中に食料があるのかな。というかこの人どこかで見たことがあるような……。


 


「この度は助けていただきありがとうございます!」

「全然いいのよ。気にしないで。あたしはナヴィ。ナヴィ・マクレガンよ」

「……」

 やっぱりこの人がテリウス様の……。

 ここで変なリアクションを取るとおかしいよね。とりあえず初対面のように振る舞わないと。

「え、あのナヴィさんですか! まさかこんなところで会えるなんて!」 

「あ、あたしのこと知ってるの?」


 そこからは色々な話をしました。お互いのマップを見せ合ったり、魔王幹部ラハマンと戦ったことを聞いたり。
 テリウス様から聞いていた通り、優しくて、勉強熱心ですごく素敵な方でした。


「ナヴィさん、ここで会ったのも何かの縁です。それに食料を頂いたご恩もあります。もしナヴィさんがよければ占いませんか?」

「ほんとに!? じゃあお願いしていいかしら」


 そしてこの時出た三枚のカード。

 わたくしはこの時テリウス様の目の前で行った占いを思い出しました。

「ナヴィさんの未来で占った『吊るされた男』報われない、自己犠牲……まさか、これから起こるのかしら」

 ナヴィさんと別れた後、わたくしは急いで案内所に戻りました。



「はぁ、はぁ、着いた。テ、テリウス様?」

 案内所の前にはテリウス様が待っていました。

「ルナ、すまない。何か嫌な予感がしてな」

「中にお入りください、お話は後でいたします。まずは占いにお付き合いください」

 そこからわたくしはナヴィさんの近い未来を綿密に占いました。

「何かわかったのか?」

「『始まりの遺跡』……」

「ダンジョンか?」

「はい、もしかしたら数日後ナヴィさんはここでなにかあるかもしれません。それもナヴィさん自身もそうですし周りの方にも……」

「そうか……」

「わたくしも近々またナヴィさんに会いに行く予定でいます。心配ですし……それでテリウス様はいかがいたしますか?」

 テリウスは頭を抱え、大きく息を吐いた。

「ルナ。すまないがナヴィを助けてやってくれ」

「テリウス様! あなたまた……」

「本当に頼み事ばかりですまない」

 またそうやって、どうして……。

「テリウス様! ここでナヴィさんが死んだら、あなたがいくら強くなっても会えないんですよ! それでもいいんですか!?」

「……ルナ」

「すみません。わたくしが出る幕では無いはずなのに。でもこれじゃ……ナヴィさんが可哀そうです」

 なんでわたくしが泣いてるんだろ。

「そう、かもな」

 テリウス様はそう言い残すと、そのまま店の外へ出て行ってしまいました。


 そして、わたくしの占い通りナヴィさんは『始まりの遺跡』でデニス達に襲われることになってしまう。
占いと異なる点はわたくしがナヴィさんの横にいることだけでした。
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