村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

130.ルナとテリウス

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「そうです、ナヴィさんのことを占ってほしいと言われたんです」

「テリウス様どうしてそんなことを……」

「そんなことしてる暇あったら鍛えろよ」

「ケビン。んな無茶な」

「とはいえ、この遠隔での占いは悪行にも使えてしまいますので、普段はやりません。照すのでテリウス様の事情をお聞きしてから判断をしようとその時決めました」





「あのう、もしよろしければこちらにお掛けになって下さい。長旅でお疲れですよね」

「あぁ、すまない」

 テリウス様のブーツ。これも泥だらけでぼろぼろ。相当急いできたんですね……。

 椅子に腰かけたテリウスに対面する形でルナも座った。


「テリウス様、まずは事情をお聞かせしてもらってもよろしいでしょうか……」

「あまり言いたくないのだが……」

「遠隔での他人に対しての占いは悪行に使われてしまいます。どうか悪しからず……」

「それもそうだな……」


 そこから、ナヴィさんのお話はもちろん、魔王討伐のことやそこで亡くなったスーパーアドバイザー、トニーマクレガンさんのお話など様々なお話をテリウス様はされました。

「なるほど、つまりそのナヴィさんの慕っていたトニー様の命を間接的ではあり奪ってしまったテリウス様はそのナヴィさんが今どうしているのか知りたいと……」

「あぁ、その通りだ。俺は彼女にトニーさんの死を押し付けてしまった。ナヴィの様子は気になるが直接だとどうしても顔を合わせづらいというか……」

「それで、わたくしを尋ねたということですね」

「あぁ、だから今の彼女の様子とこれから彼女がどうなっていくかを占ってほしい」

 みんなが知っている童話や有名な小説に出てくる勇者はあくまでも理想の勇者。実際はこのテリウス様のようにたくさんの死を抱え、それに苦しみながら生きている。このままじゃこの方も再起することは難しい。

「分かりました。今回テリウス様だけ特別に占いをしましょう」

「ほ、本当か!?」

「はい。ですがこのような占いをしていることは他の人には内緒でお願いしますね」

「あぁ、もちろんだ」

 それに、このナヴィさん。わたくしと同い年……きっとどこかでお会いするはず。

「では本日はこのタロットカードで占っていきたいと思います」

 机の上に一度カードをばらまき、それをシャッフルし、もう一度カードをまとめる。

「それではめくっていきますね。まずは現在を表すカードを一枚」

 ルナはまとめたカードを上から一枚めくる。

「これは天使?」

「いえ……『審判』の正位置ですね。復活。良い知らせ。を意味します」

「これは、いい方向ってことでいいんだよな……?」

「はい、何か決心をして今からまた始めていこうと思ってるかもしれないですね」

「ほっ。なるほど。少し安心だ」

「それで未来は……」

「では今からもう一枚引いていきます。……!? これは」

 『吊るされた男』……それに逆位置。

「これはなんだ……?」

「このカードは『吊るされた男』、そして逆位置」

「逆位置? 逆さになっているってことか?」

「はい。簡単に言うと正位置は上昇、逆位置は下降を表します」

「……ということは」

「『吊るされた男』の逆位置の表す意味は報われない、自己犠牲になります」

「それは……」

「この未来がいつになるかは分かりませんが観察が必要かもしれないですね……」

「そうか。いや、でも今現在は前を向いて立ち上がろうとしているのは間違いないんだな」

「えぇ、それは間違いないと思います。というより、お言葉ですが、やはり占いではなく直接お会いした方がよいのでは?」

 テリウスは椅子から立ち上がり、ルナに背中を向けた。

「俺は弱い。今の状態では彼女に合わせる顔がない。彼女を守れるくらい強くなる。その時にもう一度ナヴィに会いに行こうと思う」

「そう、ですか……」

「ルナさん。今日はありがとう。また来てもいいか?」

「えぇ、できることならなんでもお手伝いいたします」

「そうか……またすぐ来る」





「そこからは、頻繁にテリウス様がわたくしのお店に足を運ぶようになりました……ナヴィさん?」

 ナヴィは目を丸くしてルナを見つめる。

「ねぇ、ルナ、あたしのプライベートって……」

「あ、大丈夫です! もちろん運勢だけですから!」

「ならいいんだけど……」

「はい。では続けますね。そうして、月日が経ち二年後の話になります」


 いつもはタロットカードで占いをしていたわたくしですが、その日はたまたま水晶を使った占いをしていました。

「これは……『悪戯の鍾乳洞』が見えますね。近々ここに行くみたいですね」

「『悪戯の鍾乳洞』ってこことオリバービレッジのちょうど間の位置にあるダンジョンだよな」

「はい」

「……ルナ、もしよければナヴィに直接会って様子を見てきてくれないか?」

「え、わたくしはいいですが、テリウス様もご一緒に……」

「すまない、俺はまだナヴィには会えない」

 テリウス様。そこまで頑なに……頑固なのか、勇気が出ないだけなのか……。いずれにせよわたくしが口を出すのはお門違いかもしれないですね。

「分かりました。ではわたくしがナヴィさんにお会いしましょう。ナヴィさんが『悪戯の鍾乳洞』を探索しに行く日にちは正確には分かりませんでした。ですので張り込みをしたいと思います。少しお店を開けますがしばらくお待ちください」

「あぁ、頼む」

 とはいえ、そこまで勇者テリウス様が執着するナヴィさん。非常に気になりますね。わたくしと同時期に上級ガイドになったと聞いていますし。どんな方なのでしょう。



 そして当日。

「ちょ、だ、大丈夫ですか?」

 誰だろう、数日間張り込みし続けてお腹が空いたわたくしの体を摩ろうとするこの人は。

「食べ物……を恵んで……ください……!?」

 この人が……ナヴィ・マクレガン。
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