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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編
136.必ず
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「よし、成功した!」
左手をぐっと握るナターシャ。
ナヴィはそのナターシャの姿に見て驚いていた。
「うそ……<バーサーク>を使うと獣に近い思考になって、話すことはおろか人としての意識もなくなるんじゃなかったの……?」
「あぁ、ナヴィ。その通りだ」
「ケビン……あなたがそうさせたってことかしら」
「まぁな。俺はナターシャのこの<バーサーク>を初めて見たときにこの可能性を感じていた。慣れない状態での<バーサーク>は意識も吹き飛び、よくも悪くも完全に獣化してしまう。ただそれをある程度コントロールする力があれば、意識を保った状態で<バーサーク>を行うことができる」
「そんな……そうか、前にブレビンスさんが言っていたこと……」
ナヴィはブレビンスが準決勝直後に言っていたことを思い出す。
『二人があの子たちに教えたスキルや魔法はどちらも強力なものです。それを体ができきっていない彼女らが長時間使うとどうなるかはあなた達も想像できますよね。特にケビンさん、分かっているとは思いますがあの<バーサーク>使いすぎると……』
「あぁ、意識が飛ぶほどの獣化を続けてしまうと、それを解除したときに人としての意識が戻りにくくなる。ブレビンスさんはそれを懸念していた、だが、この状態なら、長時間意識を保ちながらパワーアップした状態でナターシャのまま戦える」
「くそ、まずい……」
これはサテラちゃん。本格的にまずいわ……。
ナターシャの<バーサーク>による攻勢に防戦一方のサテラ。
「ほらサテラ! さっきまでの威勢はどこにいったの!?」
「く、早すぎて受け止める前に……きゃ!」
受け身を取り体勢を立て直そうとしたサテラの前にはすでに次の攻撃の構えをしていたナターシャがいた。
「くらえ!」
「ぐあ!」
「く、早く体勢を立て直さなきゃ……って、いない?」
「こっちだよ」
「後ろ!? ぐあぁぁぁ!」
サテラちゃん、く……あたし何やってるんだ。こんなのパートナーじゃない。けど……今のあたしにはサテラちゃんに何か言ったとしても……。
ナヴィは悔しそうに唇を噛みしめた。
だめだ……全然言葉が出てこない。
「ぐあぁ!」
「サテラちゃん!」
「サテラ、もう立ち上がらないで」
「はぁ、はぁ」
サテラはゆっくりと起き上がる。
「これ以上は本当にあなたを殺してしまう」
「はぁ、はぁ」
「だから、お願い。ナヴィさんの言うことを聞いて、棄権して」
「はぁ、はぁ」
「サテラ……あなた、もう立ってるだけで限界なんじゃない……」
サテラはナターシャの重い攻撃を何度も受けたことにより、意識がほとんど無くなっていた。
「はぁ、はぁ」
サテラちゃん。
「う、うぅ」
「くっ、あぁぁぁぁぁぁ! おらぁ!」
ナターシャは邪念を取り払うかのような雄叫びをあげ、サテラへの攻撃を再開させた。
「ぐあっ!」
サテラちゃん。なんで、なんでまだ立ち上がれるの……。
「がは!」
まただ。どうしてそこまで……。
「ぐあぁぁ!」
なんでそこまでして勝とうと。……あ。
『わ、私、強くなれますか?』
『えぇもちろんよ』
『ほかの子たちを見返すことができるでしょうか?』
『あなたがそう望むなら』
『私、このトーナメントで優勝したいです』
『えぇ。サテラちゃん。一緒に優勝を目指しましょう』
あなたがそう望むなら……か。そういえば初めてあった日にそんな会話したっけ。
あたし、一緒に優勝目指そうって言ってたのに……。
『はっきり言うわ。あなたは案内人としては二流以下。冒険者の意図を汲まず、可能性を信じず、自分のノウハウだけを恐怖で教え込ませる、そんなやり方しかできないなら案内人なんてやめてしまえ!』
ブランにもこうやって言ったっけ。これは今のあたしだ。
それでもこんなあたしにサテラちゃんはさっき……。『私たち』の力はまだ一パーセントも出してないって。
サテラちゃんはこんなあたしだから突き放して独りで戦うって言っていたのか。サテラちゃんの心配ばかりでサテラちゃんの気持ちを汲み取ろうとしてなかったんだあたし。
『案内人としては正解。だけど冒険者が掛けてほしい言葉じゃない』
ケビン。ハンナ。そういうことだったのね。
その時だった。フィールドでどさっと人が倒れる音がした。
「サテラちゃん!」
「はぁ、はぁ、しぶとかった。これであたしの勝ちだ」
く、重症だ……これじゃもう……。
『ナヴィさんはそれでいいんですか、私が負けてもいいんですか!?』
……。
そうか、またあたしそうやって……。
サテラちゃんはあたしを信じて待っててくれていたのに。
ごめんね。サテラちゃん。
スーザンがサテラの様子を調べにフィールドに上がろうとした瞬間だった。
「サテラ! 立って、立ちなさい!」
「え、ナ、ナヴィ……さん」
横たわっていたサテラが倒れたまま体をナヴィの方に向ける。
「ここで負けてもいいの、私たちで優勝するんでしょ!? 倒れてる場合じゃないよ! サテラ!」
「ナヴィさん……」
負けてもいいなんてない。サテラにとってもここがゴールじゃないんだから。
「あたしはもう迷わない。必ず。必ずサテラを優勝に導くんだ!」
左手をぐっと握るナターシャ。
ナヴィはそのナターシャの姿に見て驚いていた。
「うそ……<バーサーク>を使うと獣に近い思考になって、話すことはおろか人としての意識もなくなるんじゃなかったの……?」
「あぁ、ナヴィ。その通りだ」
「ケビン……あなたがそうさせたってことかしら」
「まぁな。俺はナターシャのこの<バーサーク>を初めて見たときにこの可能性を感じていた。慣れない状態での<バーサーク>は意識も吹き飛び、よくも悪くも完全に獣化してしまう。ただそれをある程度コントロールする力があれば、意識を保った状態で<バーサーク>を行うことができる」
「そんな……そうか、前にブレビンスさんが言っていたこと……」
ナヴィはブレビンスが準決勝直後に言っていたことを思い出す。
『二人があの子たちに教えたスキルや魔法はどちらも強力なものです。それを体ができきっていない彼女らが長時間使うとどうなるかはあなた達も想像できますよね。特にケビンさん、分かっているとは思いますがあの<バーサーク>使いすぎると……』
「あぁ、意識が飛ぶほどの獣化を続けてしまうと、それを解除したときに人としての意識が戻りにくくなる。ブレビンスさんはそれを懸念していた、だが、この状態なら、長時間意識を保ちながらパワーアップした状態でナターシャのまま戦える」
「くそ、まずい……」
これはサテラちゃん。本格的にまずいわ……。
ナターシャの<バーサーク>による攻勢に防戦一方のサテラ。
「ほらサテラ! さっきまでの威勢はどこにいったの!?」
「く、早すぎて受け止める前に……きゃ!」
受け身を取り体勢を立て直そうとしたサテラの前にはすでに次の攻撃の構えをしていたナターシャがいた。
「くらえ!」
「ぐあ!」
「く、早く体勢を立て直さなきゃ……って、いない?」
「こっちだよ」
「後ろ!? ぐあぁぁぁ!」
サテラちゃん、く……あたし何やってるんだ。こんなのパートナーじゃない。けど……今のあたしにはサテラちゃんに何か言ったとしても……。
ナヴィは悔しそうに唇を噛みしめた。
だめだ……全然言葉が出てこない。
「ぐあぁ!」
「サテラちゃん!」
「サテラ、もう立ち上がらないで」
「はぁ、はぁ」
サテラはゆっくりと起き上がる。
「これ以上は本当にあなたを殺してしまう」
「はぁ、はぁ」
「だから、お願い。ナヴィさんの言うことを聞いて、棄権して」
「はぁ、はぁ」
「サテラ……あなた、もう立ってるだけで限界なんじゃない……」
サテラはナターシャの重い攻撃を何度も受けたことにより、意識がほとんど無くなっていた。
「はぁ、はぁ」
サテラちゃん。
「う、うぅ」
「くっ、あぁぁぁぁぁぁ! おらぁ!」
ナターシャは邪念を取り払うかのような雄叫びをあげ、サテラへの攻撃を再開させた。
「ぐあっ!」
サテラちゃん。なんで、なんでまだ立ち上がれるの……。
「がは!」
まただ。どうしてそこまで……。
「ぐあぁぁ!」
なんでそこまでして勝とうと。……あ。
『わ、私、強くなれますか?』
『えぇもちろんよ』
『ほかの子たちを見返すことができるでしょうか?』
『あなたがそう望むなら』
『私、このトーナメントで優勝したいです』
『えぇ。サテラちゃん。一緒に優勝を目指しましょう』
あなたがそう望むなら……か。そういえば初めてあった日にそんな会話したっけ。
あたし、一緒に優勝目指そうって言ってたのに……。
『はっきり言うわ。あなたは案内人としては二流以下。冒険者の意図を汲まず、可能性を信じず、自分のノウハウだけを恐怖で教え込ませる、そんなやり方しかできないなら案内人なんてやめてしまえ!』
ブランにもこうやって言ったっけ。これは今のあたしだ。
それでもこんなあたしにサテラちゃんはさっき……。『私たち』の力はまだ一パーセントも出してないって。
サテラちゃんはこんなあたしだから突き放して独りで戦うって言っていたのか。サテラちゃんの心配ばかりでサテラちゃんの気持ちを汲み取ろうとしてなかったんだあたし。
『案内人としては正解。だけど冒険者が掛けてほしい言葉じゃない』
ケビン。ハンナ。そういうことだったのね。
その時だった。フィールドでどさっと人が倒れる音がした。
「サテラちゃん!」
「はぁ、はぁ、しぶとかった。これであたしの勝ちだ」
く、重症だ……これじゃもう……。
『ナヴィさんはそれでいいんですか、私が負けてもいいんですか!?』
……。
そうか、またあたしそうやって……。
サテラちゃんはあたしを信じて待っててくれていたのに。
ごめんね。サテラちゃん。
スーザンがサテラの様子を調べにフィールドに上がろうとした瞬間だった。
「サテラ! 立って、立ちなさい!」
「え、ナ、ナヴィ……さん」
横たわっていたサテラが倒れたまま体をナヴィの方に向ける。
「ここで負けてもいいの、私たちで優勝するんでしょ!? 倒れてる場合じゃないよ! サテラ!」
「ナヴィさん……」
負けてもいいなんてない。サテラにとってもここがゴールじゃないんだから。
「あたしはもう迷わない。必ず。必ずサテラを優勝に導くんだ!」
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