村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

137.サテラの作戦

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「あたしはもう迷わない。必ず。必ずサテラを優勝に導くんだ!」

「ナヴィさん……」

 ナヴィの掛け声に呼応し、サテラは立ち上がる。

 その姿を見たナターシャは数歩後退した。

「うそ……まだ立ち上がるの」

「はぁ、はぁ。ナターシャ。まだ終わらないよ……」

 二人の受けたダメージの差は歴然だったが、それとは関係なくナターシャはサテラに気圧されていた。

「そ、そのボロボロな体じゃ何もできないよ。サテラ」

「ふふ。ナターシャ。ならどうして私が起き上がったときに後退したの?」

「な!? そ、それは……」

「私はまだ……いいえ、『私たちは』まだ負けてない! ここからが本当の勝負よ! ナターシャ」

「く、あの時しっかりと息の根を止めておけば。はぁぁ!」

 ナターシャはサテラに止めを刺そうと懐に潜り込んだ。

「くっやっぱり速い……」

「サテラ! 見るのは武器じゃない、ナターシャちゃんの身のこなしに注視して!」

「え!?」

 ナヴィの放った言葉に対し反射的に反応したサテラはナターシャの攻撃を上空に跳んで躱した。

「な、躱された!?」

「はぁぁぁ!」

 上空で体勢を立て直したサテラが蹴りを入れるも、ナターシャは大鎌の柄で受け止める。

「く、さっきまであたしの攻撃は見切れていなかったのに……」

「さぁねどうしてかしら」

 なんて言ったけど、ナヴィさんの言ったことは頭じゃなくて体にすって入ってきたわ。

 ナターシャの大鎌はもともと派手でスピードもあるから、どうしてもそっちに視線が奪われる。けど、実際はそれを振るうための身体のモーションも大きく、隙も多い。だからナヴィさんはナターシャの身のこなしを見て斬撃の角度や、攻撃のモーションを予測させるように言ったんだ……。

「やっぱりナヴィさんはすごい……」

 一度顔を下に向けにやりと笑ったサテラはナターシャに向かい走り出す。

「あたしのスピードが見切られてるの……? そんな」

「ナターシャ! 来るぞ!」

 よそ見をしていたナターシャにサテラは切りかかった!

「くらいなさい、ナターシャ」

「ぐっ!」

 サテラの一撃をナターシャはしっかりと受け止めた。

 ここから十数秒間二人は激しく切り結んだ。



「ねぇ、ルナ」

「なにロイ君?」

「なんでサテラは<バーサーク>の状態のナターシャと互角にやり合えてるんだ? 見てる感じはナターシャの方がずっと速いのに……」

「そうね。わたくしにもそう見える。でもさっきまで一方的にやられてたように見えて、色々考えていたみたいね。サテラちゃんは」

「ん?」

の攻撃のパターンと「大鎌ってすごく大きな武器だよね? そかバリエーションって短刀とか、グローブのような比較的小さな武器よりも圧倒的に少ないと思うんだ。ロイ君もハンマーを使ってたからその扱いづらさは何となくわかるでしょ?」

「た、確かに」

「サテラちゃんはナヴィさんと関係がこじれていた時でも、しっかりと信じて待ち続けていたのと同時に、ナターシャちゃんの攻撃パターンを捨て身で分析をしていたってことよ」

「な、サテラがそんなことまで……」

「ふふ、ナヴィさんからよく話を聞いていたけど、相当強かな冒険者ですね、サテラちゃんは」

「お、女って怖い……」




「くそ、また受け流された!」

「ナターシャどうしたの? 動きが雑になってきてるわよ」

 とは言っても何度もナターシャの大鎌が体に掠ってるから私にダメージが無いってわけじゃないけど。

「く、おらぁぁ!」

「くっ!」

 上段から振り下ろされたナターシャの大鎌をサテラは二本の剣で受け流す。

「はぁ、はぁ」

「いてて、手が痺れたよ、ナターシャ」

「はぁ、はぁ。あたし的にはぶっ倒れるくらいの威力で斬ろうとしたつもりなんだけどね……もう一回!」


「タイムアウト!!」

「「!?」」

 会場中にケビンの声が響き渡った。

「え、ケビンさん……」

「戻ってこいナターシャ。作戦会議だ……」

「あたしはまだやれます!」

「馬鹿を言え。お前いつ<バーサーク>を切った」

 ナターシャの浮き出た筋肉は元の状態に戻り、虎模様の痣も視認できないほど薄くなっていた。

「あれ、うそ……なんで……」

「そんだけ体力を消耗していた、いや、削られていた、の間違いか。なぁ、サテラ?」

「あはは、ばれてしまっていました……」

「サテラ。あんたそこまで。くっ」

「とにかく急いで作戦を練るぞ。早く戻ってこい」

「……はい」

 ナターシャはしゅんとした顔でケビンの元へと戻っていった。

『ケビン選手から宣言があったため。今からタイムアウトの時間とします。しばらくお待ちください』

 サテラはナターシャの後姿を見届けた後、フィールドの外へと出た。

「サテラ!」

「ナヴィさん……」

「たくさん待たせちゃったね。本当にごめんね」

「いえ、私はなにも……」

 恥ずかしそうに顔を横に向けるサテラ。

「じゃあ、早速作戦会議よ! 『私たちで』勝つための!」

「ナヴィさん……!」

「実はね多少サテラに無茶させちゃうかもしれないけど、ここからは形勢逆転できるいい手があるの……どう?」

 ナヴィは苦笑いをしながらもじもじというと、その提案を聞いたサテラはにこっと笑った。

「どんとこいです! 望むところですよ! ナヴィさん!」

 こうしてそれぞれのペアで作戦会議が始まった。

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