村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

139.サテラ

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「じゃあまず現状の把握から。の前に……サテラ、あなたやっぱりやるわね」

 ナヴィの発言に対しサテラは首を横に傾げる。

「え? どうしたんですか急に」

「ほら、ナターシャちゃんの方見てごらん」

 サテラはナヴィの指さすナターシャに視線を移す。

「あれ……ナターシャ私の攻撃ほとんど受けていないはずなのに何であんなに呼吸が乱れて……」

「ふふ、あら気付いていなかった?」

「とにかく攻撃を避けるので必死でしたが、まぁ頭の片隅にはこれで少しでもスタミナが削れればくらいには……」

「流石ね、そしてその感覚は正しいわ」

「も、もしかしてナターシャの<バーサーク>には時間制限的なものがあるんですかね?」

「うん、その可能性も大いにあるし、あの様子を見ると発動するだけでかなりの肉体的負荷がかかっている」

「確かに、攻撃を受けてないのにあそこまでなるのは確かに変ですもんね」

「そしてもう一つは準決勝では見せなかった意識が残った状態での<バーサーク>。あの<バーサーク>はロイ君の時に使ったのとは別物みたいね。時間の経過とともに緩やかにスピードもパワーも下がっていってるわ」

「確か準決勝の時には時間が経てば経つほどスピードもパワーも増していったような……」

「そうね、多分獣化状態が深くなるほど、それに比例して身体能力が向上していく仕組みなのかも。そしてここからは予想だけど、さっきまでの状態は獣化する一歩手前で保っている状態だと思うの」

「なるほど……つまり、その状態まで持っていってそれをキープする力にも限界があるってことですね」

「察しが良いね」

「じゃあやることは一つってことですね」

「えぇ。耐久戦よ。けどそれはきっとケビンもナターシャちゃんもよくわかってるはずだし、あたしたちがそのことに気付いてることもきっと予測して対策をしてくるはず」

「じゃあその対策って」

「向こうはきっと短期決戦で臨んでくる、それも序盤からフルパワーでね」

「それってさっきの<バーサーク>状態に入りたてのスピードとパワーがもう一回来るってことですよね……」

「そうね、想像するだけで恐ろしいけど……でも逆にそれを耐えしのげば勝機が見えてくる」

「……ですね。でも正直あの状態のナターシャが力尽きるまで避けるのは私自身も相当厳しいですよ」

「うん。だからここからは最初の話に戻るわ」

「……あ、形勢逆転の一手ですか?」

「そう。とは言ってもそんな大したことじゃないけどね、それにこれで勝てるかどうかも正直……」

 額に汗をかくナヴィに対してサテラさっとその汗を拭った。

「サテラ……?」

「……でもそこに勝機があるんですよね」

「……えぇ。もちろん」

「ならやります。私たちが優勝するために」

 真剣な眼差しで訴えかけるサテラにナヴィもしっかりと頷く。

「分かったわ。じゃあ早速だけど話していくね」

「はい!」


 そこから数分後ナヴィ達の作戦会議も終わり、サテラは準備を始めた。

「大丈夫サテラ? 正直今の話をすべて抜きにしても今のあなたの状態は万全とは言えないわ」

「何言ってるんですか、今さらですよそんなの、それに……」

 あなたが後ろにいたら負ける気がしません……。

「ん? また笑って……どうしちゃったの?」

「いえ、なんでも」
「とにかく、同情とか心配とかはいりません! そこでどっしりと構えてて見守っていてください!」

「サテラ……うん、分かった」

 フィールドに登る階段の手前でサテラはナヴィのいる方に振り向いた。

「ナヴィさん。私はあなたがパートナーで本当に良かったです。心の底から感謝しています! ですからあとちょっとだけそこから見守っていてくださいね!」

「サテラ……」
「今言うことじゃないよ……でも。行ってらっしゃい。頑張っておいで!」

「はい!」

 そう返事をするとサテラはフィールドの方を向きゆっくりと階段を上がっていった。


「きたね、サテラ」

「えぇ、ナターシャ」

「次で終わらせてあげるから」

「望むところよ。勝つのは私たち」


『両者ともフィールドに上がりました、それでは試合を再開したいと思います!』

「ふぅー」

 ナヴィさんとの生活も長いようであっという間だったなぁ。

 私最初はこんなトーナメントに出てもどうせすぐに負けるなんて思ってた。

 けどナヴィさんはこんな私にずっと寄り添ってくれていた。一緒に考えてくれた。そして強くしてくれた。

 そんなナヴィさんにまだ私は何も恩返しができてない。

 それなのに決勝前に子どもみたいな理由で突き放して、喚いて……。

 それでもナヴィさんは私を見捨てなかった。それよりも自分の考えを捻じ曲げてでも、私のことを最優先に考えてくれた。

 こんな案内人はきっとこれから先も出てこないと思う。

 だからこそ、ここで勝ってしっかりと恩返しをしたい。

 ナヴィさんのお陰で優勝できたって笑顔で抱き合いたい。

 だから……。

「私は絶対に勝つ!」

 『それでは決勝戦。ナヴィサテラペア対ケビンナターシャペア。試合再開!』
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