村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
161 / 262
第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

161.それぞれの想い

しおりを挟む
「ん? ナヴィさん、あのこっちに走ってくる子たちって……」

「えぇ、おーい!」

 向かってくる子供たちに大きく手を振るナヴィ。

「ナヴィさーん!」
「おーいルナ!」

 ナヴィ達の元に来たのはサテラ、ロイ、ナターシャ、ダリウスだった。

「四人とも……あたし今日王都を出発するって言ったかしら?」

「ふふ、ナヴィさん。そのことはあたしのパートナーのケビンさんが教えてくれましたよ」

「えっ! ケビンが?」

「はい、それで多分ルナさんも一緒に帰っていくだろうなって思ってサテラとロイに声を掛けたんです!」

「もーナヴィさん。パートナーの私にすら帰る日行ってくれないんだから……」

 むすっとした顔をナヴィに見せるサテラ。

「あはは、ごめんね、どうせまたすぐ会えるからいいかなって」 

「そうかもしれないけど今日は特別なんです!」

「特別……?」

「あの……終わってからは意外とバタバタしていて落ち着いて感謝の気持ちを伝えることができなかったので……」 

「あーそうだったね……別に感謝なんていいのに」

「ナヴィさんはいつもそうやっていってくれますね。では、これを」

 ルナはポケットから小さな袋を取り出しナヴィに手渡した。

「ん? 小包?」

「はい。開けて見てください!」

「これは……ダイヤの髪飾り……?」

 それを見たナヴィはサテラの髪飾りに目がいった。

「サテラもしかしてこれってあなたと」

「はい、おそろいです! にっ!」

「改めて見るとすごく綺麗ね」

「はい、言葉だけじゃどうしても伝えきれなかったので逆にプレゼントにしてみました。自分で言うのはすごく恥ずかしいですけど、この大会を通じてナヴィさんと紡いだ絆は絶対に途切れさせたくない。どこに行っても繋がっていたい。そんな気持ちで子の髪飾りを選びました」

「サテラ……」

 サテラはナヴィに抱き着いた。

「えへへ、改めてですけど。何回でも言わせてください。ナヴィさんがパートナーで本当に良かったです! また顔見せてくださいね」

「サテラ……お礼を言うのはこっちよ。必ずまた会いに来るわ」

 抱き着いてきたサテラの背中をぎゅっと抱きしめ返した。

「ナヴィさん。あったかい……」


 その頃ルナとロイも別れの挨拶を交わしていた。

「ありがとな、ルナ! ということでおいらとはしばしお別れだな! 寂しくて泣いたりするなよ!」

「な、なに言ってるの……わたくしが、泣くなんて……グスッ」

「泣いてんじゃん、大人なのに……どうして泣いて。グスッ」


「ちょっと、どっちも泣いてどうするの!」

 それを見ていたナターシャが二人に茶々を入れる。


「だって、ルナは……おいらの、うわーーーん!」

「ロイくーん」

 泣きながら抱きしめあう二人。


「ふふナヴィさん、あっちも仲良しですね」

「えぇ。って、あ、ダリウス君?」


「あ、あの!」

「ん?」

「あの準決勝。僕はナヴィさんのおかげで大切なことに気が付くことができました。あの日が無ければ僕はどうなっていたか……サテラとナヴィさんに救われました。本当に感謝してます!」

「ダリウス君……いいえ、方法はどうであれ殻を破ったのはあなたよ。それができたあなたはきっとこれから強くなるわ」

「ナヴィさん……!」

「今度はその剣で強くなった姿を見せてね」

「はい! あと……ブランさん先に帰ってしまっていたので、もしどこかでお会いしたらブランさんにも感謝していますということだけ伝えてもらってもいいでしょうか?」

「……えぇもちろんよ」

 ブラン、形は歪んでいたかもしれないけどあなたとダリウス君もしっかりと信頼関係が構築されていたみたいね……。

 この二人はきっとまたどこかで再会するでしょう。


「それじゃあ四人とも、朝早くからお見送り本当にありがとう! また会いましょう!」

「「「「はい!」」」」

「またね、みんな!」

 サテラ達はあたし達の姿が見えなくなるまで笑顔で大きく手を振り続けてくれた。


「ふー終わったー」

「短いようで長かったですね。ナヴィさん」

「そうね、でも本当に色んなことがあったわね、色んな価値観を持った案内人がいたり、アカデミー生の成長にかかわれたり、ここから先の見通しを何となくだけど持つことができたり」

「はい、これからもかなり忙しくなりそうです」

「うん。でもここはまだ通過点でしかない」

 スーザンさん、ブレビンスさん、ブラン、サテラをはじめとするアカデミー生のみんな。ルナ、そしてケビン。

 その全ての人があたしという人間を成長させてくれた。そして試験にも合格することができた。

 でもそれはここでの目標が達成できただけで、あくまでも目的の一部でしかない。

 ここから『王都公認の案内人』として更にレベルアップしていかなきゃね!

「テリウス様待っていてください。必ずや、あなたの力になりおじいちゃんの仇を……」

「ナヴィさん……、あ、わたくしはここから道が分かれますのでここで!」

「あ、ルナ、色々ありがとね!」

 ルナの手をそっと握るナヴィ。

「……ふふ。いえわたくしは別に何も。次会う時はお互いもっと成長した姿で会えるといいですね」

「えぇ。必ず」

 こうしてルナと別れたあたし達三人はマクレガン案内所に到着する。

「ようやくあたし達の店が見えてきたわね」

「えぇ、お姉ちゃん。明日からはまたバリバリ働こうね!」

「うん! って、ん? あの行列……ねぇエンフィー。あのお店って」

 二人の顔が一瞬で青ざめる。

「ん? ナヴィ? エンフィー? どうしたんだい……あ……」

 ナヴィ達の視線の先を見るハンナ。

「おぉ、二人がようやく帰ってきたぞ!」
「本当だ! おーいナヴィちゃん、エンフィーちゃん! 待ってたよー!」
「あの二人がいればダンジョン攻略なんて一瞬だぜ!」
「あ、同行は俺が先だからな!」
「待て待て、二人とも王都に長居をして疲れてるんだ。少しぐらい休ませてあげろよ」
「あ、お前さっきまで溜まってるダンジョン探索一気にやってもらおうとか言ってたくせによ!」



「うそ……もしかしてこれって全部お姉ちゃんの結果を聞いてそれで……」

「じゃ、じゃあ僕はこれで……二人ともお疲れさまー! う!」

 ナヴィはそそくさと逃げようとするハンナの方をがっしりと掴んだ。

「待ちなさい。ハンナ。あんたこの状況を見て帰るなんてまさかそんな薄情な奴じゃなかったよね?」

「あ、あはは、あははは、ど、どうかなぁ?」

「いいから手伝いなさーい!!」


 こうしてあたしの『王都公認 案内人適性試験』の幕が閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...