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第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編
167.アミスの行方
しおりを挟む「アミス・レイバン……さん?」
「えぇ、エンフィーの二つ上の女の子なんだって、お姉ちゃんが増えて嬉しいね」
ナヴィはエンフィーの頭を撫でた。
「からかわないでよ、私別にお姉ちゃんが欲しいだなんて言ってないし、それに……」
「ん?」
「別に私は今のままでもやっていけるし……」
うーん。エンフィーは新しい人が入ってくるのが嫌なのかな……。
「そうね……エンフィーはあたしよりも優秀だからあたし達のためっていうよりかはあたしのためよ、もうどうしても事務作業まで手が回らなくてね」
「……ぶー」
エンフィーは机に顎を乗せを頬を膨らませた。
「とりあえず今日は待ってみて、もし来ないようなら明日店閉めて二人でそのダンジョンまで探しに行こう」
「……うん、わかった」
「エンフィー?」
「な、何でもない夜ご飯作るね」
「えぇ」
エンフィーどうしちゃったんだろう……。
翌日。
「おはよ、エンフィー」
「うん。おはよ、お姉ちゃん」
うん。いつもと変わらない元気なエンフィーだ。
「アミスさんはまだ……来てないか」
「うん。だからほらすぐにマップの解析から始めるよ」
「う、うん! ってもう机にマップ出してるのね」
「ま、まぁこうなることはわかってたからね」
エンフィーは腕を組み顔をぷいっと横に向けた。
「あはは、流石エンフィー、それじゃあ早速始めようか」
「うん!」
「そういえばこのマップって……フロストボアの巣窟?」
「うん。なんでアミスさんって人はこのマップに入っちゃったんだろう……」
「結構推奨レベルが高いダンジョンよね? 中級レベルだからエンフィーが扱っていたダンジョンね」
「最近も何人か冒険者が攻略に向かったけど、あまりの敵の多さにぼろぼろになって引き返してくることが多くてね、これから先推奨ランクを上げようかなって考えてたところなの」
「そ、そうなんだ……」
「道中一匹でもフロストボアに遭遇したら仲間を呼ばれて取り囲まれて終わりなんだって、それを抜けるのも至難の技らしい……」
「なるほど」
うーんこれってこのダンジョンに入っていたら相当まずくないか……?
「ま、まぁこのダンジョンに入ってないってことも……」
「お姉ちゃん。忘れたの? このダンジョンの周りの地形がどうなってるか」
「……あ」
ナヴィはカウンター裏からダンジョンを中心とした周りの地形が描かれているマップを取り出し机に広げた。
「……そういうことか、これじゃあダンジョンの中に逃げる選択肢しか生まれないわけね」
「そう、ここら辺はかなり開けた土地になっていて逃げるにしてもここか数キロ離れた森にしか隠れる場所がない。同じ状況なら私でもそうすると思う」
「よし、じゃあ決まりね、すぐ出発しましょ!」
「うん。というか私はもうできてるんだけどね」
「あ……、あれ、ローブ新しくした? あたしと同じ真っ白なローブじゃん!」
「えへへ、お姉ちゃんが試験やってるときとかにエミルさんとサミルさんのお店でね」
「わざわざ同じにしなくても」
「むー……」
あれ、またむくれてる。こんな頻度だったっけ。
「まぁ、でもよく似合ってるわ、あたしの妹なことだけはあるわね」
「あ、ありがとう! ってお姉ちゃんそんなに綺麗なんだから少しくらい謙遜でもしたら」
「あのーエンフィーさん? 照れんのかツンツンすんのかどっちかにしてもらってもいいかな?」
「さ、さぁお姉ちゃん、朝ごはんもできてるし、早くご飯食べてすぐに出るよ!」
「よ、用意周到!!」
こうしてあたし達は急ぎ足で『フロストボアの巣窟』に足を運んだ。
一方、その頃アミスはエンフィーの言っていた通りダンジョンの中で身を隠しながら助けが来るのを待っていた。
「うーなんでこうなっちゃったのですか……」
確か強そうな大型モンスターに追いかけられたのが夕方でそこからこのダンジョンに立てこもり始めてもう十数時間。モンスターの気配がするからあんまりこの部屋からでたくないのです……。
「それに。もう。せっかくあの憧れのナヴィさんの案内所に行けるってなったのに初日からこんな有り様でもうアミスはなんて言ったらいいのか……」
「ん?」
「シャー!」
「これって……フロストボア……?」
「シャー!!!!」
「え、待って待って、なんでそんなに大きな声で鳴くのですか!?」
「シャー!」
「シャー!」
「シャー!」
「シャー!」
「シャー!」
「あ、あはは、そん、そんなまさか仲間を呼んでたってことなのです?」
「「「「シャー!!」」」」
「きゃー!! 一斉に襲い掛かってきたのですー!! フロストボアさんたち! アミスは食べてもおいしくないのです! 来ないでほしいのですー!」
アミスは立ち上がり、襲い掛かってくるフロストボアを避けながら部屋を脱出した。
「よし、これでとりあえずは……ってうそ……」
「「「「シャー!!」」」」
「部屋の外にもこんなにたくさん……」
二手に分かれた通路の一方は騒ぎを聞きつけたフロストボアの群れで埋まっていた。
「仕方ないからこっちに行くのです!」
あれ……たしかこのマップってこっち側は確か……。
と、とにかく今はこのフロストボアの群れから逃げないといけないのです。 なりふり構っていられないのです!
ナヴィさん。もう少しだけ待っていてほしいのです!
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