村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十二章 ナヴィとグローリア案内所

202.調査結果

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「おいおい、そんな怒んなよナヴィ」

 ヴィオネットの呼びかけに対し、頬を膨らませ無視を続けるナヴィ。

「……怒ってません別に!」

「怒ってるじゃん!」

「怒ってません!」 

 はぁ、なんなのこれ、あたしの行動が全部ヴィオネさんに掌握されていたってことじゃない。

 あんなガサツな感じのヴィオネさんにそこまでしてやられた自分が腹立たしくてしょうがない……。

「一応聞きますけど、クオードさん」

「おう、なんだ!?」

「あの場所であたしと逢ったのは偶然ですか?」

 クオードはナヴィにそう問いかけられると頬をポリポリと掻き始めた。

「あぁー……あれな、あそこな。あははは」

 ナヴィから顔を反らし、ヴィオネットに助けてと言わんばかりの顔を向けた。

「ナヴィ。あれは偶然なんかじゃない。俺がクオードにあそこに行くように指示したんだよ」

「ヴィオネさんが……って何ですかそのしてやったり顔!! もー!!」

「あははははは、ざまぁねぇな天才上級ガイド様よー! 俺の手の上でころころと。可愛かったぜぇ!」

 ナヴィの頭をガシガシと撫でるヴィオネット。

「んんんんん! やめてください!」

 ナヴィは自分の頭に乗っていたヴィオネットの手を強くのけた。

「ナヴィさん。落ち着いてください。過程はどうであれ、ナヴィさんはここに戻ってこれた。それだけじゃなくて自分のこれからの指針も見つけることができた。それでいいんじゃないでしょうか」

「む、結果良ければ全てよしってやつね。妙に説得力のある言葉ね……あ、レミア」

 説得に入ってきたレミアに顔を近づけるナヴィ。

「は、はい!」

「まさかあなたも今回のヴィオネさんのこの作戦に乗ったわけじゃないでしょうね……?」

 ナヴィは顔をさらに近づけレミアを睨む。

「あーあの、ナヴィさん顔が……顔が」

「ないでしょうね」

 眉間にしわを寄せながらにっこりと笑うナヴィ。

「あーあの、私は姉さまの妹で……その、ぜ、全部じゃないですよ、まぁ半分くらい? いや、三分の一くらいですかねーあははは、はは……ナ、ナヴィさん。どうしたんですか固まって?」

「……ことは」

「へ?」

「てことは、ここにいる全員が共犯者じゃないですかー!!!」

 顔を真っ赤にしジタバタと暴れるナヴィに、ヴィオネットが一喝した。

「ったくいつまでもうっせぇな! レミアが言った通りだ。過程はどうでもいいんだよ。それよりてめぇは今日の分の仕事終わったのか? あ?」

「ま、まだです……」

「ぶー垂れてる暇があるならさっさと終わらせろ。じぇねぇと今日の飯は抜きだ」

「ぶー。っていつもはレミアが作ってるじゃないですか」

「金を出してるのは俺だ。口を動かす暇があるなら手を動かしやがれ雑魚」

「ざ、雑魚!? ……もう。分かりましたー」

「棒読みが過ぎますナヴィさん」

「レ、レミアまで!」

「あっはっはっは良かったじゃねぇか元気になって!」

「クオードさんもからかわないでください。とりあえず夕飯までは仕事します」

 がっくりと肩を落としたナヴィは自分のデスクへと戻っていった。

 クオードとヴィオネットはそのナヴィの背中を苦笑いをしながら見送った。

「それでクオード。どうだったんだ、ナヴィと探索した例のダンジョン」

 ヴィオネットは先ほどの表情とはがらりと変わり真剣な顔つきとなっていた。

「あぁ、それがヴィオネットの調査依頼通り、結構やばいことになってたぜ」

「やばい?」

「あぁ、ナヴィちゃんは多分初めてあのダンジョンに入ったから気づきはしなかっただろうが、頻繁に通っている俺から言わせればかなり様子が変わっていた」

「具体的には……?」

「そうだな。一つはまず全体的なところで言うと、ダンジョンそのものが外に放出する微量な魔力量が明らかに増えていた」

「なるほど、この案内所からもその違いはかすかに感じ取れてはいたが近づくとそれがはっきり分かるってことだな」

「あぁ、それにダンジョンで出くわすモンスターの形状に変化が見られていた」

「なに?」

「例えばファイアーアント。特徴的な触覚と見にまとう炎が特徴的なモンスターだが、その触角は固く鋭利なものに、身にまとっていた炎も黒炎という感じでわざと攻撃を受けてみたらこれが中々のダメージでな」

「雑魚モンスターの力が上がっている……?」

「もちろんそれだけじゃない。あのダンジョンのボスモンスター。オーガロックだ」

「あの溶岩鬼も?」

「……正直今までのあいつだったら何体でも相手にできたが今回のあいつの凶暴性や火力、スピードが全く別の次元で手を焼いたぜ見てみろよ、胸に火傷もできちまった」

 シャツのボタンを外し胸の傷を見せるクオード。

「珍しいな。お前がそこまでやられるなんて」

「まぁそれも興味本位で当たってみただけだけどな。別にいざとなればナヴィちゃんの魔法が無くても倒せせてはいた」

「ふーん。ってお前いつの間にレベル六十クラスに?」

「は? 結構前だぞ、ちょうど一年ぐらい前だな」

「いや、報告しろや、ずっとレベル五十クラスだと思ってたぜ」

「あーわりわり、つい忘れててな」

「まぁ元の実力から言えば今すぐにでもレベル七十クラスになってもおかしくはないんだがな」

「買いかぶりすぎな。んなわけねぇだろ」

「クオード。話を戻すがそこから導き出されたお前なりの結論を聞こうじゃないか」

「まぁ根拠があるかと言われればそういうわけではないんだが。俺は今回ダンジョン内のモンスターが強くなっている事例については『外的な誘発』が引き起こしたものだと考えてる」

「外的な……自分たちで進化していったわけではなく外側からの力が働いてるってことか?」

「あぁ、それも今回はとびきりの誘発だ」

「……まさか」

「あぁ、サーティーンプリンスターだ」
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