村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十二章 ナヴィとグローリア案内所

203.調査結果②

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「サーティーンプリンスター……ついに本格的に動き始めたのか」

 クオードの報告に頭を抱えるヴィオネット。

「あぁ、その中でもかなり強力な魔力を持つ上位の幹部だ」

「それ程モンスターの力が引き上げられていた、と?」

「……もちろんそこにそいつの姿はなかった。が、その痕跡はあったぞ」

「痕跡?」

「というか足跡だな、わずかだったが珍しい足の形をしていたのが印象に残ってな」

「覚えている限りでいいから書いてみてくれ」

「分かった。ペンと紙を用意してくれ」

 ヴィオネットの手渡したペンでそれを描こうとするがクオードの右手が一度止まる。

「クオード? どうした」

 何かを躊躇している様子のクオードにヴィオネットは声をかける。

「あんまり驚かないでくれよ……」

 クオードの手が動き始めた。

「これだ」

 その足跡を見た瞬間ヴィオネットの瞳孔が開いた。

「おいおい。まじかよ」

「俺も驚いた。まさかこんなことってあるのかよ……って」

「何しに来やがったんだこいつ」

「あぁ、ただこのダンジョンを通り過ぎたにしては出来過ぎた話だとは思わないか」

「こりゃまずいことになったな……」




「レミア」

「ナヴィさん、どうかしましたか?」

 一仕事を終えたナヴィが店を閉めているレミアの肩をトントンと叩いた。

「ねぇあのヴィオネさんの顔……」

 ナヴィが指さす方に視線を向けるレミア。

「難しい顔をしていますね。声のトーンからしても二人で深刻な話をしている感じですかね」

 ナヴィとレミアは話し込んでいる二人に気付かれないよう話が聴こえる距離まで近づいた。

「クオード。とりあえず今日はここまでにしよう。続きはまた後日だ」

「分かった。ここら一帯の調査の方は引き続き任せろ」

「頼んだ。こちらからも何かあればすぐに連絡する」

「あぁ。それと」

「?」

「覚悟はしておいた方が良いぞ。時間の猶予もそこまでないと見ている。その間にここを守れるようにはしておけよヴィオネット」

「「覚悟……?」」

 レミアとナヴィが顔を傾げながら目を合わせた。

「分かってる。どちらにせよ今は迷っている暇はないみたいだな。こちらの準備は確実にしておこう」

「……早急にだ」

 クオードはそう言い残すと、顔を合わせていたナヴィとレミアの目の前に立った。

「二人とも!」

「「ひっ!」」

 クオードに盗み聞きが気付かれていたのに驚く二人。

「ク、クオードさんいつから気付いて……」

 クオードは二人の頭を撫でた。

「「え?」」

「二人とも。ヴィオネットを頼んだぞ」

「「はい?」」

「おい! クオード!」

「あはは、すまんすまん。それじゃ!」

 クオードは案内所から立ち去って行った。

「たく、お前らは……」

 顔に手を当て大きくため息を吐くヴィオネット。

「す、すみません。二人とも深刻そうな顔をしていたのでついどんな話をしているのかなと」

「……この話は夕飯の時にしよう。とりあえず店を閉めるぞ」

「「は、はい」」

「ナヴィ。てめぇはまだ仕事終わってねぇだろ」

「ば! ばれてた!?」

「あたりめぇだ。さっさと終わらせろ」

「はーい」

 こうして今日のグローリア案内所の業務が終わりそこから一時間後、三人で食卓を囲んでいた。

「食べ終わったか二人とも」

「「はい」」

「ふぅ。これから話すことはこの案内所の方針だ」

「方針……?」

「姉さまっそれってどういうことでしょうか」

「簡単に言うと通常の業務とは別に、空いている時間でお前ら二人を俺が特訓する」

「「え!?」」

「ちょ、ちょっと待ってください。ヴィオネさんどうしたんですかいきなり」

 ナヴィは勢い余って立ち上がってしまう。

「そうですよ! それに普段の業務でもかなり手一杯なのにこれでは……」

「あぁ、だから業務が終わってからだ。もちろん普段の案内人としての仕事も怠るわけにはいかん。隙間の時間や夜を狙ってお前らをしごいていく」

「ヴィオネさん、あたしとしてはすごくありがたいことですが……今それをやり始める理由は何でしょうか?」

「もしかしてさっきの姉さまとクオード様の話ですか?」

「……端的に言うと近くに魔王の幹部最強の十三人。サーティーンプリンスターがここら辺をうろついているらしい」

「な!? そ、それ本当なんですか?」

「だからさっき姉さまはあんな顔を……」

「で、でもヴィオネさんはそのサーティーンプリンスターに無傷で勝ったって……」

「それは下位の幹部の話だ。十三から十まで。九から六まで、そして五から一まで。それぞれ大きな実力の差が存在している」

「たしか姉さまが倒したのはテンスシートの幹部でしたね」

「じゃあ今回もそれほどの幹部は……」

「いや、それは違う。今回この近くをうろついていたのはその中でもとびきりに強い『上位の幹部』だ」

 ヴィオネットの話を聞き興奮気味で立ち上がっていたナヴィが顔色を変えゆっくりと椅子に座った。

「うそ……」

 上位ってたしかあのミモザと一緒にいた……。ミモザが下位。だから同じ幹部でもあんなに怯えて……。

「ナヴィさん? 顔色が悪いですけど大丈夫ですか、それに体も震えていますけど……」

「あぁ、うん。大丈夫。それで、その上位の幹部がこの案内所を襲撃すると?」

「その可能性は低い。奴らもそれなりの準備段階だと思う」

「準備段階? 一体何の……」

「あ、とぼけたこと言ってんじゃねぇよ。お前もそのためにここに来たんじゃねぇのか?」

「え?」

「人類と魔物との『戦争』……だろ?」
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