村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十二章 ナヴィとグローリア案内所

204.戦争の根幹

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「人類と魔物との『戦争』……だろ?」

 ヴィオネットの発言に一瞬時が止まったかのように硬直した二人。

「ま、魔物ってモンスターのことですよね。それに戦争は大げさじゃないですか?」

 ナヴィは苦笑いをしながらヴィオネットの発言に言葉を返した。

「いいや、お前はなんもわかっちゃいない」

「え……?」

「ナヴィ。お前はどうして魔物と人間がこういう敵対関係になったか知っているか?」

「そ、それって元からそういう風になっていたんじゃないですか?」

「違う。対立の根幹には必ずその理由が存在する」

「理由……それじゃ昔はまるで人間とモンスターが一緒に暮らしていたみたいな言い方じゃ……」

「間違っちゃいねぇな」

「……」

 そんな本を確かおじいちゃんの部屋で読んだことがあるような……。でもあくまでもそれは作り話のフィクションで著者の希望とか願いみたいなものだったはず。

「今から数百年前の話。この世界にまだ冒険者や案内人。魔法やスキル、そしてこの胸のタトゥーのような概念が存在しなかった時代の話だ」

「え!? 冒険者や案内人って元々あったのもじゃなかったんですか? それに魔法やタトゥーも」

「あぁ、最初は突発的なものだったらしくてな。特にタトゥーに関しては解明するのに長い年月がかかったそうだ」

「そうだったんですね」

「無論俺たちの持つこの案内人のタトゥーもそうだ」

「なるほど、それで解明した後は……」

「先人らは、ある一定の条件をクリアしたものに胸のタトゥーが表れること、そしてそれがどうやらその人の持つ強さに直結することに気が付いたそうだ」

「強さ……確かに冒険者のレベルはタトゥーの多さで決まりますよね」

「ここで当時それを聞いたあほな奴らはこう思ったそうだ。『俺が一番だとタトゥーの数を増やして強さを証明する』とな」

「ま、まぁ何となくは想像できます」

「そしてそのレベルの上げ方は今も同じ。つまり、分かるな」

「モンスターを倒すこと……」

「そうだ、だが正確に言えば『生命を奪った数』といってもいいだろう」

「それで狙われたのが……」

「おう、モンスターだ。当時はそういう概念もないものだから全ての人類とモンスターが共存し、ともに助け合いながら生活していたそうだ。しかし、人類はそのモンスターの見た目や奇怪さにちょっとした不信感や疑問を持ちながら生活をしていた」

「……不信感」

「そう、モンスターを倒すことにより増えるタトゥー。それが冒険者という概念を生んだんだ」

「うそ……」

「そこからは目まぐるしく状況が変わっていった。自分の強さを証明するために剣を取り、魔法を覚えた者たちは、『人類の平和のために』という理不尽な正義を振りかざし。モンスターを殺しまくったそうだ」

「……」

「しかしもちろんモンスターも自分の命が掛かっているんだ。いくらかの反撃や抵抗はしたが、人間の持つ知恵には遠く及ばず、長きにわたり人類と共存してきた生活圏を放棄し生い茂った森や底なしの深い海、人間の足では到底上ることのできない山々、散り散りになっていったそうだ」

 その話を聞いて目を見開くナヴィ。

「……待ってください、それじゃああたし達がやっているダンジョン探索ってまさかその名残……?」

「……」

「つまり、当時の冒険者が自分たちの私利私欲のために平和に共存していたモンスターをダンジョンに追いやったってことですよね」

「そういうことになるな。だが逃げたはいいものの結局冒険者らは今度は討伐ではなく、『ダンジョン探索』と名目を変え、その中にいるモンスター倒し経験値を得るっていうことになっていったそうだ」

「それじゃあたし達人類が完全に悪者じゃ……」

「そうだな。分かると思うがモンスターもただダンジョンに籠って余生を過ごしていたわけではない。それぞれが形状を変え、進化をし、人類に抵抗できる力を着々と付けていった」
「まぁざっくりと話をしたがここが人類と魔物との敵対関係を最初に生んだ出来事だな」

「そこまでの話だったとは……正直驚きました」

 それにあたし達が今やっていることも……仕事としてやっていたけれどこれはこれでくるわね。だってモンスターと昔は共存できていたわけなんだし……。

 固唾を飲み、喉を大きく動かすナヴィにヴィオネットは彼女の頭に手を置いた。

「昔の話だ。間違っても同情なんてするな。それに」

「……?」

「モンスターによって大勢の人間が死んでいるのもまた事実だ。それを忘れるんじゃねぇ」

「……それは……はい」

 そうか……これはお互いの生存を掛けた戦争なんだ。

「どっちが手を出したかも大事だが、今となっては関係ない。『ただ生きるために戦う』理由はそれだけで十分だろ」

「ヴィオネットさんはそれであたし達を鍛えるって?」

「まぁそういうことだ」

「ですけど姉さま、その辺のモンスターが出ても私たちなら戦えます!」

 見くびられては困ると机をどんと叩くレミア。

「その辺のモンスターじゃなかったら?」

「……どういう意味ですか」

「最初の話に戻ろう。近々来るかもしれないんだ……」

「「え?」」

「そのサーティーンプリンスターの上位が」
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