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第十二章 ナヴィとグローリア案内所
205.一枚の写真
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「そのサーティーンプリンスターの上位が」
「く、来るって、たまたまダンジョンの近くに足を運んだだけかもしれないですよね……?」
「かもな。おっともうこんな時間だ。今日はここまでにしよう。明日も早いからな」
ナヴィとレミアが時計を見ると零時を回っていた。
「あ、もうこんな時間……」
「そういうことだ。それじゃ、また明日な」
椅子から立ち上がり自室に戻ろうとするヴィオネットをレミアが手を掴み止めた。
「ね、姉さま。まだお話は終わってないです」
「そ、そうですよ! かもなってそれだけで……」
「お前らを鍛える理由が分かれば十分だろ」
「そ、それは……」
「サーティーンプリンスターが来るかもしれない。そのために力をつける。今のお前らはそれだけでいい」
「「……」」
「それじゃあな……」
ヴィオネットはレミアの手を放し階段を登っていった。
「なーんか相変わらずヴィオネさんの考えてることってあたしにはよくわかんないなぁ」
両手を横に広げやれやれと首を振るナヴィにレミアも苦笑いで応える。
「ですよね……私も全然です」
「あんなお姉ちゃんを持つなんて大変ね」
「あはは……そ、そうですよね。妹の身にもなって欲しいです」
「そうそう、あたしのエンフィーも同じようなこと言ってたわ。姉には姉の考えがあるって一蹴することがあったりしたけど……」
「エンフィーさん、ナヴィさんの妹さんですね。姉には姉の考えがある。それは何となくはわかります。それでも……やっぱり何かあるなら言ってほしいものなんです。一人で抱え込まないでほしいんです」
レミアは顔を下に向け、細々とした声でナヴィに話す。
「レミア……あ、ちょっと待ってね。コーヒーもう一杯だけ飲もうか」
「あ、すみません。私がやるので……」
立ち上がるレミアの肩にナヴィは手を置いた。
「いいのよいいのよそこに座ってて。いつもやってもらってばかりだし」
「あれこの受付の裏にある写真って……」
コーヒーを入れようと受付の裏にあるキッチンに向かう途中ナヴィは写真立てを見つける。
「あぁ、ちょうど二年前くらいの写真ですね」
「左にレミア……んでこの真ん中の髪長いのってヴィオネさん!?」
「あははそうなんです、この頃は今よりも物腰柔らかい感じだったんですけどね」
「え、あれって性格的なものじゃないんだ」
「まぁ根本はそれで間違ってないと思いますけど……」
「それで、この右側にいる男の人は……」
「あ、ディノリアさんですね」
「ディノリア……?」
あれ……。
「二年前までここで働いていた方です」
「この腕の鱗……もしかして……?」
「はい、彼もまたドラゴン属の末裔の一人でした。当時アドバイザーとして姉さまと二枚看板でグローリア案内所の運営を行っていました」
「それでその人は今どこへ?」
「二年前の大規模侵攻で消息不明に」
「……そう、なんだ。って、ん? あれ、ヴィオネさんの左手に指輪!?」
「そうなんです実は姉さまとディノリアさんは」
「おい、レミア!」
レミアとナヴィの話し声が二階に聞こえていたのかヴィオネットが一階に降り二人の会話に口を挟んだ。
「ね、姉さま!?」
「ヴィオネさん!?」
「その写真捨てておけ。ディノリアはもうここにはいない」
「姉さま! でも消息不明なだけでまだ姉さまだって」
「もうあれから二年が経ったんだ。生きているわけねぇだろ」
「でも……」
「しつこい!」
「「!?」」
ヴィオネットの怒鳴り声がレミアとナヴィを怯ませた。
「す、すまん。いいからおめーらもさっさと寝ろよ」
そういうとヴィオネットは再度自室へと戻っていった。
「ヴィオネさん……」
あそこまで言う必要はないとは思ったけど。何か強い思い入れが……?
「す、すみませんナヴィさん。この話はまた今度にしましょう」
「そ、そうね」
二人は淹れなおしたコーヒーを一気に飲み干し、それぞれの部屋で夜を明かした。
翌日のまだ夜が明けているとは言えない時間。
レミアとナヴィがまだ就寝している頃、ヴィオネットは業務の支度をしていた。
「たくっ今日からはもっと忙しくなるな……」
業務の準備をし終わると、昨夜レミアとナヴィが目にしていた写真を手に取った。
「なんでこんなもん俺はずっと飾ってんだろうな……ディノリア」
ヴィオネットはネックレスとして首に掛けていた指輪を摩る。
「とはいえいつまで経っても過去に囚われているままじゃだめだよな」
あれからもう二年も経ってるのか。
業務が終わってレミアが同行しに行ってる時だったっけか。
『え、ちょっとディノリア? どうしたの、急にそんな真剣な表情で片足なんてついちゃって』
『ヴィオネット! 俺と結婚してくれないか……?』
『それ、ゆ、指輪……綺麗……!』
箱の中にこの指輪があったときはびっくりしたなぁ。
『ヴィオネット。この案内所を俺達で守っていこう。だからこの指輪を俺にはめさせてくれ!』
『……』
『ど、どうしたんだ? 顔真っ赤にして』
『い、言うなぁ! 恥ずかしくて心臓バクバクで何て言っていいか分かんなかったなんて口が裂けても……あっ!』
『……あはは。ほら手を』
『う、うん』
『ずっと一緒にいようヴィオネット』
『……はい』
「いつのこと思い出してんだ俺は……ディノリアはもういない。もういないんだ……」
この写真だって……。
その日の夕方。
「よーし。店も締め終ったな。早速だが特訓に移ろう」
「ちょ、ちょっと待ってください。少しきゅ、休憩を」
息を荒げ、膝に手を突くナヴィ。
「何だだらしねぇなぁナヴィ。お前はまだデスクワークだけだろ、レミアは今日同行してたんだぞ」
「それとこれとは話が別です。 相変わらず鬼のようなノルマで大変なんですよ!」
「あはは、ナヴィさん。頑張りましょう。サーティーンプリンスターは待ってくれませんよ」
「まぁそうだけどさ……あ、ヴィオネさん」
「何だ?」
「受付の裏にあった写真無くなってましたけど……」
「……あぁ。捨てたよ」
「あ、そうですか……」
しゅんとした二人の表情を見たヴィオネットが、声のトーンを上げ二人に向かって勢いよく話しだした。
「んなこたぁどうでもいい! さぁお前ら地獄の特訓の始まりだぜぇ。最後まで死ぬ気でついてこい」
その姿を見た二人は一度顔を見合わせ、呼吸を合わせた。
「「……はい!」」
「く、来るって、たまたまダンジョンの近くに足を運んだだけかもしれないですよね……?」
「かもな。おっともうこんな時間だ。今日はここまでにしよう。明日も早いからな」
ナヴィとレミアが時計を見ると零時を回っていた。
「あ、もうこんな時間……」
「そういうことだ。それじゃ、また明日な」
椅子から立ち上がり自室に戻ろうとするヴィオネットをレミアが手を掴み止めた。
「ね、姉さま。まだお話は終わってないです」
「そ、そうですよ! かもなってそれだけで……」
「お前らを鍛える理由が分かれば十分だろ」
「そ、それは……」
「サーティーンプリンスターが来るかもしれない。そのために力をつける。今のお前らはそれだけでいい」
「「……」」
「それじゃあな……」
ヴィオネットはレミアの手を放し階段を登っていった。
「なーんか相変わらずヴィオネさんの考えてることってあたしにはよくわかんないなぁ」
両手を横に広げやれやれと首を振るナヴィにレミアも苦笑いで応える。
「ですよね……私も全然です」
「あんなお姉ちゃんを持つなんて大変ね」
「あはは……そ、そうですよね。妹の身にもなって欲しいです」
「そうそう、あたしのエンフィーも同じようなこと言ってたわ。姉には姉の考えがあるって一蹴することがあったりしたけど……」
「エンフィーさん、ナヴィさんの妹さんですね。姉には姉の考えがある。それは何となくはわかります。それでも……やっぱり何かあるなら言ってほしいものなんです。一人で抱え込まないでほしいんです」
レミアは顔を下に向け、細々とした声でナヴィに話す。
「レミア……あ、ちょっと待ってね。コーヒーもう一杯だけ飲もうか」
「あ、すみません。私がやるので……」
立ち上がるレミアの肩にナヴィは手を置いた。
「いいのよいいのよそこに座ってて。いつもやってもらってばかりだし」
「あれこの受付の裏にある写真って……」
コーヒーを入れようと受付の裏にあるキッチンに向かう途中ナヴィは写真立てを見つける。
「あぁ、ちょうど二年前くらいの写真ですね」
「左にレミア……んでこの真ん中の髪長いのってヴィオネさん!?」
「あははそうなんです、この頃は今よりも物腰柔らかい感じだったんですけどね」
「え、あれって性格的なものじゃないんだ」
「まぁ根本はそれで間違ってないと思いますけど……」
「それで、この右側にいる男の人は……」
「あ、ディノリアさんですね」
「ディノリア……?」
あれ……。
「二年前までここで働いていた方です」
「この腕の鱗……もしかして……?」
「はい、彼もまたドラゴン属の末裔の一人でした。当時アドバイザーとして姉さまと二枚看板でグローリア案内所の運営を行っていました」
「それでその人は今どこへ?」
「二年前の大規模侵攻で消息不明に」
「……そう、なんだ。って、ん? あれ、ヴィオネさんの左手に指輪!?」
「そうなんです実は姉さまとディノリアさんは」
「おい、レミア!」
レミアとナヴィの話し声が二階に聞こえていたのかヴィオネットが一階に降り二人の会話に口を挟んだ。
「ね、姉さま!?」
「ヴィオネさん!?」
「その写真捨てておけ。ディノリアはもうここにはいない」
「姉さま! でも消息不明なだけでまだ姉さまだって」
「もうあれから二年が経ったんだ。生きているわけねぇだろ」
「でも……」
「しつこい!」
「「!?」」
ヴィオネットの怒鳴り声がレミアとナヴィを怯ませた。
「す、すまん。いいからおめーらもさっさと寝ろよ」
そういうとヴィオネットは再度自室へと戻っていった。
「ヴィオネさん……」
あそこまで言う必要はないとは思ったけど。何か強い思い入れが……?
「す、すみませんナヴィさん。この話はまた今度にしましょう」
「そ、そうね」
二人は淹れなおしたコーヒーを一気に飲み干し、それぞれの部屋で夜を明かした。
翌日のまだ夜が明けているとは言えない時間。
レミアとナヴィがまだ就寝している頃、ヴィオネットは業務の支度をしていた。
「たくっ今日からはもっと忙しくなるな……」
業務の準備をし終わると、昨夜レミアとナヴィが目にしていた写真を手に取った。
「なんでこんなもん俺はずっと飾ってんだろうな……ディノリア」
ヴィオネットはネックレスとして首に掛けていた指輪を摩る。
「とはいえいつまで経っても過去に囚われているままじゃだめだよな」
あれからもう二年も経ってるのか。
業務が終わってレミアが同行しに行ってる時だったっけか。
『え、ちょっとディノリア? どうしたの、急にそんな真剣な表情で片足なんてついちゃって』
『ヴィオネット! 俺と結婚してくれないか……?』
『それ、ゆ、指輪……綺麗……!』
箱の中にこの指輪があったときはびっくりしたなぁ。
『ヴィオネット。この案内所を俺達で守っていこう。だからこの指輪を俺にはめさせてくれ!』
『……』
『ど、どうしたんだ? 顔真っ赤にして』
『い、言うなぁ! 恥ずかしくて心臓バクバクで何て言っていいか分かんなかったなんて口が裂けても……あっ!』
『……あはは。ほら手を』
『う、うん』
『ずっと一緒にいようヴィオネット』
『……はい』
「いつのこと思い出してんだ俺は……ディノリアはもういない。もういないんだ……」
この写真だって……。
その日の夕方。
「よーし。店も締め終ったな。早速だが特訓に移ろう」
「ちょ、ちょっと待ってください。少しきゅ、休憩を」
息を荒げ、膝に手を突くナヴィ。
「何だだらしねぇなぁナヴィ。お前はまだデスクワークだけだろ、レミアは今日同行してたんだぞ」
「それとこれとは話が別です。 相変わらず鬼のようなノルマで大変なんですよ!」
「あはは、ナヴィさん。頑張りましょう。サーティーンプリンスターは待ってくれませんよ」
「まぁそうだけどさ……あ、ヴィオネさん」
「何だ?」
「受付の裏にあった写真無くなってましたけど……」
「……あぁ。捨てたよ」
「あ、そうですか……」
しゅんとした二人の表情を見たヴィオネットが、声のトーンを上げ二人に向かって勢いよく話しだした。
「んなこたぁどうでもいい! さぁお前ら地獄の特訓の始まりだぜぇ。最後まで死ぬ気でついてこい」
その姿を見た二人は一度顔を見合わせ、呼吸を合わせた。
「「……はい!」」
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