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第十二章 ナヴィとグローリア案内所
217.傷跡
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「ありがとうございましたー!」
ナヴィは受付最終の冒険者に深々とお辞儀をした。
「ふぅー疲れたー!」
籠っちゃったレミアの分の冒険者もこっちに来ちゃったから最後はかなりバタバタだったけど何とかなったわね。
「さて、ヴィオネさんはどこかなっと……いた!」
ヴィオネットは受付をするカウンターではなく、受付待ち用の椅子に一人の冒険者と座っていた。
「ってあれ? クオードさん?」
ヴィオネット達に近づき声を掛けるナヴィ。
「おや、ナヴィちゃん久しぶりだな」
「ナヴィ。終わったか」
「あ、はい! それより、クオードさんどうしたんですかその怪我は!?」
クオードの身体は五体満足ではあるが、重装甲の鎧にはいくつものひびが入り、武器である檄の刀身も折れ、体には無数の傷がついていた。
「こいつは大丈夫だ。が、一応心配だから回復魔法を掛けてくれるか?」
「おいおいひどいなぁヴィオネット。けど、お願いしてもいいかな?」
「もちろんです!」
<ヒール!>
ナヴィが魔法を唱えるとクオードの身体に緑色の光が差し込みみるみるうちに傷が消えていった。
「おいおいまじかよすげえなこの<ヒール>、俺が普段他の冒険者のヒーラーに受けてる<ヒール>とはレベルが違うぞ……」
「ははは、そうだろそうだろ」
「なんでヴィオネさんが誇らしげなんですか……」
「そりゃ俺が教えたからな」
「ヒントを頂いただけでここまで昇華することができたのはあたしの力です!」
ナヴィは頬を膨らませヴィオネットに反抗する。
「ちょうどいい、ナヴィ。お前も話を聞いてろ」
「え、まぁ、はい」
三人は椅子に並んで座り、クオードが話の続きをし始めた。
「あーどこまで話したっけか」
「依頼してたダンジョンの調査の道中でここらじゃ見たことのない女二人組に襲われたっつー話だろ」
「え、クオードさん女二人組に襲われたんですか!? 襲ったんじゃなくて……?」
ナヴィは目を細めクオードをじっと見つめた。
「いやいや、違う違う! 相手は女じゃなくて女の子だ!」
「「は、女の子?」」
ナヴィとヴィオネットのクオードを見る目がさらに冷ややかなものへと変わっていった。
「嫌だから違うって! その女の子たちに道中で奇襲にあったんだ」
「奇襲……ですか」
「ダンジョンの道中といったが頼まれていたサラド神殿の入り口が見えてきた頃だった……」
「俺達は今回ヴィオネットに頼まれて、指示通り実力者揃いのパーティーで今回の調査に臨んだ」
「ヴィオネさんの指示ですか?」
ナヴィはヴィオネットに視線を向ける。
「そうだ。最近あそこに入った冒険者の数名から聞いていた推奨レベルと実際のダンジョンにいるモンスターのレベルが明らかに違うって報告があってな、前回クオードからもそのような調査結果もあって手練れの冒険者と一緒に探索してもらおうと思ってたんだ」
「手練れの……」
「それがこのリストだ」
ヴィオネットは腰に差していた冒険者情報の資料をナヴィに渡す。
ナヴィはその紙を受け取りパラパラとめくっていく。
「シャギーさま、ネリウルさま、サナさま、アヴィロさまって皆さんレベル四十、五十クラスの冒険者揃いじゃないですか!」
「あぁ、俺はヴィオネットにここまでの人間を揃える必要はないって言ったんだがな」
「……すまない。俺の……俺のミスだ」
ヴィオネットはクオードに頭を下げた。
「……ヴィオネさん」
手……震えてる。それに声も。
「ナヴィ……」
「はい?」
「もうその資料は捨ててくれ」
「えっ」
ヴィオネットの発言に目を丸くするナヴィ。
「死んだ冒険者の資料は残していられない」
「……うそ……じゃあここに書いてある冒険者さま達は……」
「……」
「ヴィオネさん……」
クオードは下唇を噛み、目を逸らしながらナヴィに説明した。
「俺以外全滅した」
「えっ。それってまさかさっき言っていた女の子二人組の……」
「あぁ。ダンジョンから出てきた彼女らに襲われて……な」
「彼女らって二人の女の子ですよね? まさかたった二人にあの人たちがそんな簡単にやられるなんて……私全然想像できません……」
「あぁそうだよな。それは一緒にいた俺もあいつらも思っていた。その子たちを初めて見たときに少々の油断があったのは認める。けどそれを抜いても猛者と呼ばれた俺らに死角はない、そう思ってはいたんだが……」
ヴィオネットが下げていた顔を少しずつ上げていくと、クオードの鎧の傷に何か気が付いた。
「おい、クオード……」
「ん? どうしたヴィオネット。そんな顔をして」
「ヴィオネ……さん?」
「その鎧の傷……本当にただの女の子にやられただけなのか……?」
「あーえっと。彼女ら俺らを見るとすぐにダンジョン内にいたモンスターを呼び出したんだ」
「え、じゃあモンスターに付けられた傷ですか?」
ナヴィはクオードの鎧の傷を観察し始めた。
あれ、この傷……。どこかで見たような。
「クオード、どんなに強いモンスターでもお前たちがやられるとは到底思えないぞ」
「あぁ、もちろん襲ってきたモンスターは普段の倍は強かったがそれでも俺らの敵ではなかった」
「ヴィオネさん……このクオードさんの鎧の傷。私見たことあります」
「気づいたか、ナヴィ」
ナヴィは無言で頷き、クオードに話の続きをするように視線で訴えかけた。
「俺らはモンスターをあらかた片付けたところで彼女らを狙おうとした。その瞬間だった……」
この傷はあたしが前にレミアと戦闘したときに付けられた爪痕とそっくりだ。普通のモンスターには出せない傷の付き方。
「俺達が奴らに向かおうと一息入れた瞬間、目の前に大量の風が発生し……その風が止み終わったとき」
つまり……その二人の女の子は。
「目の前には二体の龍が待ち構えていたんだ」
ナヴィは受付最終の冒険者に深々とお辞儀をした。
「ふぅー疲れたー!」
籠っちゃったレミアの分の冒険者もこっちに来ちゃったから最後はかなりバタバタだったけど何とかなったわね。
「さて、ヴィオネさんはどこかなっと……いた!」
ヴィオネットは受付をするカウンターではなく、受付待ち用の椅子に一人の冒険者と座っていた。
「ってあれ? クオードさん?」
ヴィオネット達に近づき声を掛けるナヴィ。
「おや、ナヴィちゃん久しぶりだな」
「ナヴィ。終わったか」
「あ、はい! それより、クオードさんどうしたんですかその怪我は!?」
クオードの身体は五体満足ではあるが、重装甲の鎧にはいくつものひびが入り、武器である檄の刀身も折れ、体には無数の傷がついていた。
「こいつは大丈夫だ。が、一応心配だから回復魔法を掛けてくれるか?」
「おいおいひどいなぁヴィオネット。けど、お願いしてもいいかな?」
「もちろんです!」
<ヒール!>
ナヴィが魔法を唱えるとクオードの身体に緑色の光が差し込みみるみるうちに傷が消えていった。
「おいおいまじかよすげえなこの<ヒール>、俺が普段他の冒険者のヒーラーに受けてる<ヒール>とはレベルが違うぞ……」
「ははは、そうだろそうだろ」
「なんでヴィオネさんが誇らしげなんですか……」
「そりゃ俺が教えたからな」
「ヒントを頂いただけでここまで昇華することができたのはあたしの力です!」
ナヴィは頬を膨らませヴィオネットに反抗する。
「ちょうどいい、ナヴィ。お前も話を聞いてろ」
「え、まぁ、はい」
三人は椅子に並んで座り、クオードが話の続きをし始めた。
「あーどこまで話したっけか」
「依頼してたダンジョンの調査の道中でここらじゃ見たことのない女二人組に襲われたっつー話だろ」
「え、クオードさん女二人組に襲われたんですか!? 襲ったんじゃなくて……?」
ナヴィは目を細めクオードをじっと見つめた。
「いやいや、違う違う! 相手は女じゃなくて女の子だ!」
「「は、女の子?」」
ナヴィとヴィオネットのクオードを見る目がさらに冷ややかなものへと変わっていった。
「嫌だから違うって! その女の子たちに道中で奇襲にあったんだ」
「奇襲……ですか」
「ダンジョンの道中といったが頼まれていたサラド神殿の入り口が見えてきた頃だった……」
「俺達は今回ヴィオネットに頼まれて、指示通り実力者揃いのパーティーで今回の調査に臨んだ」
「ヴィオネさんの指示ですか?」
ナヴィはヴィオネットに視線を向ける。
「そうだ。最近あそこに入った冒険者の数名から聞いていた推奨レベルと実際のダンジョンにいるモンスターのレベルが明らかに違うって報告があってな、前回クオードからもそのような調査結果もあって手練れの冒険者と一緒に探索してもらおうと思ってたんだ」
「手練れの……」
「それがこのリストだ」
ヴィオネットは腰に差していた冒険者情報の資料をナヴィに渡す。
ナヴィはその紙を受け取りパラパラとめくっていく。
「シャギーさま、ネリウルさま、サナさま、アヴィロさまって皆さんレベル四十、五十クラスの冒険者揃いじゃないですか!」
「あぁ、俺はヴィオネットにここまでの人間を揃える必要はないって言ったんだがな」
「……すまない。俺の……俺のミスだ」
ヴィオネットはクオードに頭を下げた。
「……ヴィオネさん」
手……震えてる。それに声も。
「ナヴィ……」
「はい?」
「もうその資料は捨ててくれ」
「えっ」
ヴィオネットの発言に目を丸くするナヴィ。
「死んだ冒険者の資料は残していられない」
「……うそ……じゃあここに書いてある冒険者さま達は……」
「……」
「ヴィオネさん……」
クオードは下唇を噛み、目を逸らしながらナヴィに説明した。
「俺以外全滅した」
「えっ。それってまさかさっき言っていた女の子二人組の……」
「あぁ。ダンジョンから出てきた彼女らに襲われて……な」
「彼女らって二人の女の子ですよね? まさかたった二人にあの人たちがそんな簡単にやられるなんて……私全然想像できません……」
「あぁそうだよな。それは一緒にいた俺もあいつらも思っていた。その子たちを初めて見たときに少々の油断があったのは認める。けどそれを抜いても猛者と呼ばれた俺らに死角はない、そう思ってはいたんだが……」
ヴィオネットが下げていた顔を少しずつ上げていくと、クオードの鎧の傷に何か気が付いた。
「おい、クオード……」
「ん? どうしたヴィオネット。そんな顔をして」
「ヴィオネ……さん?」
「その鎧の傷……本当にただの女の子にやられただけなのか……?」
「あーえっと。彼女ら俺らを見るとすぐにダンジョン内にいたモンスターを呼び出したんだ」
「え、じゃあモンスターに付けられた傷ですか?」
ナヴィはクオードの鎧の傷を観察し始めた。
あれ、この傷……。どこかで見たような。
「クオード、どんなに強いモンスターでもお前たちがやられるとは到底思えないぞ」
「あぁ、もちろん襲ってきたモンスターは普段の倍は強かったがそれでも俺らの敵ではなかった」
「ヴィオネさん……このクオードさんの鎧の傷。私見たことあります」
「気づいたか、ナヴィ」
ナヴィは無言で頷き、クオードに話の続きをするように視線で訴えかけた。
「俺らはモンスターをあらかた片付けたところで彼女らを狙おうとした。その瞬間だった……」
この傷はあたしが前にレミアと戦闘したときに付けられた爪痕とそっくりだ。普通のモンスターには出せない傷の付き方。
「俺達が奴らに向かおうと一息入れた瞬間、目の前に大量の風が発生し……その風が止み終わったとき」
つまり……その二人の女の子は。
「目の前には二体の龍が待ち構えていたんだ」
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