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第十三章 ブラッディフェスト 序章
239.変身
しおりを挟む「クオード……さん?」
カウンターに集められていた各パーティーのリーダーがクオードの登場に目を見開いた。
「久しぶりだな、おめーら」
「クオードさん。あんた、魔王軍の襲撃でパーティーごとやられたって聞いたぞ」
「……まぁ瀕死だったことは確かだが」
その話を聞いた内気な冒険者の一人が不安そうな声で話し始めた。
「この案内所で最強のクオードさんでも太刀打ちできないなんて……それじゃあ僕たちは」
「……大丈夫だ」
「……へ?」
「次は負けない」
その冒険者の前に立ち真っ直ぐに目を見つめるクオード。
「……あ、はい」
真剣な眼差しに言葉が出ずただ返事をして会話を終えた。
「おい、クオード。さっさと話せ」
ヴィオネットが待ちきれない様子でクオードを急かす。
「すまねぇ。俺からも作戦の一つを伝えたい」
「クオードさんの作戦?」
「どういうことだクオード」
「作戦というかほとんど願望なんだがな」
クオードの言葉に首を傾げるリーダーたち。
「そんじゃ伝えるぜ……」
その後、各所で魔王軍との交戦が始まった。
「よし、レミアちゃんの作った地雷も完璧!」
「あぁ敵も動揺している。行くぞ!」
「「おぉ!」」
ヴィオネットらの作戦通りに動く冒険者たちは初動で完全に魔王軍を圧倒していた。
「俺らはとにかくここを守るのが役目だ!」
「分かってる。だがヴィオネットが言っていた通り、『受け身』ではなく『攻め』で敵の力を削っていくぞ」
「あぁ! そうすればきっと!」
「クオードの作戦通りになる!!」
「「「おおおおおおおぉぉぉぉ!」」」
その頃山麓の魔王軍本陣営では。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ディノールさま!」
「どうしたアギル、ダリア」
悠然と椅子に座り肘を掛けるディノールの前に息を切らしたアギルとダリアが現れた。
「申し上げます。現在山麓から侵攻を開始している各軍がどこも押されている状況です」
「ディノール様やばいよやばいよまじで!!」
慌てる二人の様子に一瞬眉をひそめたディノール。
「どういうことだ、各軍にはそれぞれ敵の要所になるところを攻めさせているだろう」
「それが……どの位置にも強力な冒険者どもが配置されており、罠も仕掛けられているとのことでどこも突破するには更に倍のモンスターが必要だとか……」
その話を聞いたディノールの指が小刻みに動きだした。
「なるほどな。すでに読まれていたか……とはいえモンスターどもを送るのは簡単だ、だが奴らも今の段階でそこまでの対策をしているのであれば、数を増やすだけでは付け焼刃にしかならん」
「いかがいたしましょうか」
「……ふふ、ダリアはわかるよ、ディノール様の言いたいこと」
焦りながらも自信ありげの二人の表情や様子を見たディノールの頬が上がった。
「やる気満々だな。アギル、ダリア」
「突破することができないなら、私たちでこじ開けてみせます」
「もー待ってたり偵察するだけじゃ体なまっちゃうしね」
「ふ、まぁ、時間もかけてられないしな。それにここが終わったら一度帰ってくるようにディアボリクス様からご指示があった」
「特に危ないと言われてるのは北側と南側だったな」
「はい」
「では二手に分かれて行ってこい。風穴を開けてやれ」
「「はっ!!」」
返事をした二人が一瞬でそれぞれの場所へと向かっていった。
「さて、ヴィオネット。初動は俺の負けだ。だがお前はここから我々の更なる脅威に押しつぶされることになるだろう。ふふふ。はははは。はっはっはっ!」
「では、俺も少し見て回ろう。グローリア案内所の冒険者たちを」
デンバード山脈、北側山麓にて。
「よし前衛にいる魔物は殆ど倒したぜ!」
「あぁ、数も削りながら戦線も押し上げられてる!」
「このままいけるぞ!」
「「おぉ!」」
北側を防衛していた冒険者パーティーらは互いに指揮を上げつつ善戦していた。
そして大方の魔物を片付け一息つこうとしようとしたその瞬間。
「何がいけるのかな?」
「「「!?」」」
「だ! 誰だ!?」
「四聖神官、フォースシート、ディノール様が配下。ダリアだよ」
「配下!?」
突然のサーティーンプリンスターの配下の出現に慌てて武器を構えなおす冒険者たち。
「全く余計なことしてくれちゃってさぁー困るんだよねぇそういう無駄な抵抗されるとさ」
「……配下と入ったが背の小さい女の子だぞ……」
「あいつが本当にクオードのパーティーを?」
「まぁ、時間もないし最初から全力で行っちゃおうかな!!」
「アァァァァァ!!」
「な、なんだ!! 地震!?」
「ち、ちがう! 前だ! 奴をみろ!」
ダリアが叫び始めた瞬間周辺で地響きが鳴り、赤褐色の龍の姿へと変身した。
「オマエラ、ココデゼンインシマツスル。ワガアルジノタメ」
「「くっ!!」」
同様に南側の山麓では。
「何だ? 小さな女の子?」
「おい嬢ちゃん、ここにいると危ない、ぞ……え……切られて……え」
「けがれた手で私に触るなくそ人間どもが」
一人の冒険者がアギルの肩に触れようとした瞬間、龍の爪で腹部を切り裂かれていた。
「おい! 大丈夫か!!」
「黒いマントに小さな背格好、そしてあの龍の爪……間違いない。サーティーンプリンスターの配下の一人! アギルだ!」
「……遅いよ。気づくの」
アギルはそういうとみるみるうちに巨大化し、赤褐色の龍の姿へと変わっていった。
「な! こ、この姿……」
「クオードが言っていた通りだ……」
「龍……」
「サア、ワレワレ、マオウグンノハンゲキノジカンダ」
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