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第十三章 ブラッディフェスト 序章
238.迎撃作戦
しおりを挟むデンバード山脈の山麓ではヴィオネットの指示により、冒険者たちが配置されていた。
北側のある冒険者パーティー四人組がせっせと準備を行っていた。
「よし、ここら辺が俺らが守るところだな」
「あぁ、いつでも来やがれってんだ。っておい、どーしたんだ」
「おい、口開きっぱなしだぞ?」
その中の一人の冒険者が双眼鏡を覗いていた。
「……来たよ」
「「来た?」」
「あぁ。魔王軍だ。それもすげぇ数」
「すげぇな」
「あぁ、すげぇ」
四人は顔を見合わせにやりと笑った。
「「「「ヴィオネットの言った通りだ」」」」
その瞬間、攻めてくる魔王軍の一団の足元が大爆発を起こした。
「流石は俺らの案内人だぜ」
「あぁ。こっからが勝負だ」
北側にいた冒険者の全員が武器を構える。
「行くぞおめぇーら!」
「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
数時間前。グローリア案内所ではヴィオネットにより士気が上がった冒険者と、レミア、ナヴィ、ヴィオネット、その他案内人で作戦会議を行っていた。
そして各パーティーのリーダーがカウンターの地図を囲みヴィオネットが作戦を告げていく。
「いいかお前ら。ここデンバード山脈頂上にあるこのグローリア案内所はもちろんだが一帯には緑が生い茂り、高低差も激しい」
「おいおいヴィオネット。そんなのここ一帯のダンジョンのモンスターを狩りつくした俺らなら地図が無くてもわかるぜ」
「あぁ、その通りだ。ここからは予測だが敵の攻め方は主に二つだ。至極当然のことだが空からの敵と陸からの敵だ。ナヴィ」
「はいヴィオネさん。こちらの地図をご覧ください」
「この地図。書き込みがすげぇな」
「あぁ、これはナヴィちゃんが?」
「はい。ヴィオネさんやレミアと過去のデータや山脈の詳細な情報を処理し、この地図に反映させました」
「このバツ印は?」
「死角になる場所。攻められそうな場所の一覧になっています。皆さんが強者揃いだということは重々承知しておりますが、やはりそれでもこの広大なデンバード山脈一帯に今いる冒険者さまを満遍なく配置するのは逆に各防衛のラインの層が薄くなっていしまう可能性があります」
「なるほどな。つまりそのバツ印がついたところを重点的に守るっつーわけだな」
「はい。逆を言えばここが抜かれたら一気に落とされる危険があります。敵も何度かここに足を踏み入れているため、このデンバード山脈の攻め方も研究しているはずです」
「ほほう。ということは敵もこのバツ印の場所に攻めてくる。と?」
一人の冒険者の問いかけに額に汗を流しながら無言で頷くナヴィ。
「ですがそれはどのパーティーも必ず魔王軍との戦闘になるということです」
「「「……」」」
ナヴィの発言に対しあんぐりと口を開ける各リーダーたち。その様子を見たナヴィが動揺した。
「え、あ、あの。私。何か変なこと、言いました!?」
慌てふためくナヴィの姿に、冒険者たちが一斉に笑い出した。
「あはははは!!」
「ふふふ!」
「あーっははは!」
「え!? え!?」
「ナヴィちゃん。あんた優しいんだな」
「え?」
「俺達を死なせたくないんだろ?」
「それは……もちろん。できればここにいる皆さんにはお世話になってばかりでしたし……できることなら生きて帰ってきてほしいです」
顔を俯かせながら恥ずかしそうに話すナヴィの姿に冒険者たちの顔が真剣な表情になった。
「へへ、俺らは大丈夫だ、ナヴィちゃん忘れちまったのか? 俺らは冒険者だぜ?」
「冒険者……?」
「俺達は死ぬために戦うんじゃねぇんだよ。生きるために戦ってるんだ。守るために戦ってるんだ。死んだら何も守れなくなっちまうだろ? そんなこと絶対にしねぇよ。そうだろ、皆!!」
「「あぁ」」
「何だあいつ! たまにはいいこと言うじゃねぇか」
「皆さん……」
「ナヴィ。マップの説明は以上だな。後は各パーティーにそれぞれの配置を伝えておけ」
「ヴィオネさん。分かりました」
「次にレミア」
「あ、はい。姉さま。各パーティーのリーダーの皆さん。こちらをお使いください」
レミアは大きな巾着袋の中から赤い魔法石をカウンターの上に出した。
「ん? レミアちゃん。これは魔法石?」
「はい。私のドラゴン属の力を込め、『爆破』が付与された魔法石となっております。端的に言えば『地雷』です」
「地雷……?」
レミアの隣にいたヴィオネットがその赤い魔法石を冒険者に見せつけるように手に取る。
「その通りだ。レミアの作ったこれは言うなれば牽制と先制攻撃用だ。ナヴィのマップに記されていた場所にはほぼ百パーセント魔王軍が攻めてくる。そこにこの地雷を埋めておけ」
「この爆破はどのくらいの威力なんだ?」
その質問を聞いたグローリア姉妹が顔を見合い頷く。
「俺の自慢の妹のドラゴン属の力だぞ? 生半可なもんじゃねぇからお前らも吹き飛ばされないように気を付けろよ」
「すげぇなレミアちゃん。こんなことができたのか……」
「あぁ、姉妹そろって頼もしいぜ」
「ばか! 俺は最初からレミアの優秀さに気づいていたぜ」
そんな言い合いをする冒険者たちを見てレミアはくすりと笑った。
「よし、大方の作戦は以上だ。それでは最後、クオード」
「「「え!? クオードさん?」」」
冒険者たちの前に裏で控えていた完全武装をしたクオードがカウンターに現れた。
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