村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十三章 ブラッディフェスト 序章

250.それぞれの力

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「ヴィオネットォォォォ!!!!」



ヴィオネットの挑発に腹を立て爆発的に魔力を解放させたディノール。



「くっ、なんだこの魔力……さっきまでのビリーと戦っていた時の魔力とはけた違いだ……」

「こりゃ本気でやばいな」



 クオードがため息をつき檄を構えた瞬間だった。



「あ、えっ……」



 ディノールは目にも留まらぬ速さでクオードに接近し目と鼻の先の距離まで詰めていた。



 クオードがそれに気づいた時には既に脇腹にディノールの蹴りがめり込むほどの威力で入っていた。



「がはっ……」



「吹き飛べ」



 その足に力を込めたディノールの蹴りでクオードは壁まで吹き飛ばされる。



「ぐあっ!!」



「クオード!!」



「がはっ!!」



「よそ見をするなヴィオネット!! 俺は大丈夫だ! 来たぞ、前!!」



「!?」



「甘いぞ、ヴィオネット!」



「くそっおらぁ!!!」



 二人の強烈な拳がぶつかり合う。



 その二人の拳は強烈で周りにある壁や柱に無数のひびを入れるほど巨大な風圧を起こしていた。



「ぐっ!!」



「ちっ」



 拳の反動で二人もそれぞれ後退した。



「……いって」



「ふん。今のでお前も吹き飛ばそうと思っていたんだがな」



「ほざけ。てめぇ程度に俺が吹き飛ばされるわけねぇだろ」

「……とは言ったが」



 ちっ。右腕がいったか……。ほとんど感覚がねぇ。



 なんつー力だ。あの一撃。それにクオードですら追えなかったあのスピード。



 うちの並みいる冒険者どもを殲滅していったのも確かに頷ける。



「ふん。そこそこは強くなったみてぇだな。ディノリア」



「そういうお前はもう右肩下がりに力が無くなっていっているようだなヴィオネット」



「はっ? 馬鹿言ってんじゃねぇ。俺は常に今が最強であり続けるんだよ」



「ほう、ならさっきの一撃でお前の足元に何枚鱗が落ちたんだ?」



「何……?」



 ヴィオネットは自分の足元を確認すると。五枚の鱗が落ちていた。



「俺達ドラゴン属はその鱗の数が強さの象徴とされている。鱗の枚数があればあるほど、その力は強大なものとなり、逆にその力を使えば使うほど剥がれ落ちていく」



「……何が言いたい」



「随分無理をしていたようだなヴィオネット。俺がお前といた頃とは比べ物にならないほど鱗の数が減っているじゃないか……。鱗に隙間が見えているぞ」



「……ちっ」



 気づいていやがったか。



「今回は消耗戦のつもりだった。最後にヴィオネット。貴様を仕留めるために大量の魔王軍を送り込み冒険者共々疲弊させるところまで追い込み、そこから総攻撃を仕掛ける。そんな作戦だった」



「……」



「だが、まさかお前の方から来てくれるとはな。ヴィオネット」



「は?」



「急いでいるんだろう。完全に力を失ってしまう前に何とか俺を倒したい。だからお前はここに来た」



「……」



「ヴィオネット何突っ立ってんだ!」



 起き上がったクオードがヴィオネットの隣に立った。



「クオード。大丈夫か?」



「あぁ、それより早くあいつを倒さねぇと。ここでちんたらやってたら外にいる連中も疲弊しちまう」



「……そうだな」



「それに、必ず戻るって言ったんだろ。レミアとナヴィちゃんに」



「……その通りだ」



「行くぞ!!」

「あぁ!」



 二人は息を合わせディノールへと向かっていく。



「そうだ、それでいい!」



 自分へと向かってくる二人の姿に不敵な笑みを浮かべるディノール。



 ヴィオネットとクオードはディノールに息の合った攻撃を見せるもひらひらと躱されていた。



「くっ、攻撃が全然当たらねぇ!!」



「落ち着けクオード! 攻撃し続ければ必ず隙ができる!! !? ぐあっ!!」



「な! ヴィオネット!! ぐっ!!」



 ディノールは二人の一瞬の隙を突きまとめて蹴り飛ばす。



「くっそ……」



「ふふふ。俺は強くなった。ヴィオネット、クオード、お前らを超えるほどにな」



「魔族の力でか……」



「そうだ」



「魔王に首を垂らした反逆者め」



「何を言っている。ヴィオネットの天性のドラゴン属の力、お前の炎の精霊ウルカヌスの力。そして俺の魔王様から頂いた力。お前らと何が違う」



「はぁ、はぁ……力に関しちゃ文句はねぇ。戦いにおいて自分の持っている武器を最大限に使うのは至極当然なことだ」



 蹴り飛ばされたヴィオネットが壁にもたれながらも立ち上がる。



「ほう。流石はヴィオネット。よく分かっているじゃないか」



「だが。大事なのはどんな力を持っているかじゃない。その持っている力をどう行使するかだ。そしてディノリア。お前のその力の使い方は絶対に間違っている」



「俺が間違っているだと。この力を手に入れ最強になった俺が?」



「そうだ。そしてそれは俺達人間。いや、このグローリア案内所の俺たちが止めなければならない」



「ここまで圧倒的な差を見せつけてまだそんなことを……」



「一筋縄じゃいかねぇのは分かってたが、クオード」



「……あぁ」



 二人は目を合わせ無言で頷いた。



「一気に決めるぞ」

「あぁ!」



「「はぁぁぁぁぁ!」」



「!? 二人の魔力が一気に……」



「現れろ!! <炎の精霊 ウルカヌス!>」

「バーサーク!! アナザーフォーム!!」



「な、なんだ!?」



 ディノールが顔の前に両腕を出し吹き飛ばされないよう身を守ろうとした瞬間、ヴィオネットとクオードはそれぞれ姿を変えていた。



「その炎の鎧はウルカヌスの炎だな。そして……なんだ、あのヴィオネットの姿は。あんな姿見たことないぞ……」



「ここからは一瞬だぞ。ディノリア」

 ヴィオネットは拳をディノールの前に出し、にやりと笑った。
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