村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十三章 ブラッディフェスト 序章

252.日課

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「おーい、ヴィオネットいるんだろ!? 早く出て来いよ!!」



「はっ!?」



「姉さま、玄関の前に昨日の男が……」



 なんであいつ……昨日ぼこぼこにして諦めたんじゃ。



「レミア、悪い。受付を頼む」



「あ、はい」







「お、開いた! ヴィオネット今日も……」



「何の用だ」



「何の用って、テストだよテスト」



「はっ? テストは昨日終わっただろ」



「『組み手をして戦闘中に一回でも膝を着かせたらお前の勝ち。ここで案内人として雇ってやる』だったよな? 昨日だけとは言ってなかったぞ」



 なんつうどや顔でこっち見てんだこいつ。



 ……まぁこっちの説明の仕方が悪かったのもあるか。



 しょうがない。



「はぁ、こっちも仕事中で忙しいっつーのによぉ。まぁいい今日は本気で行くぞ。お前の減らず口が一生でないようにな」



「おう、望むところだ」



 昨日あんだけやったのに、すげぇ自信満々な顔するじゃねぇか。

 何か策があるのか、それともただのあほなのか。



 数分後。



「よし準備できたなヴィオネット。ルールは昨日と同じでいいな!?」



「あぁ、お前が今日俺にぼこぼこにされたらこのテストは一生やらんと加えさせてもらおう」



「ぐっ、気づかれたか。そのまま行けると思ったんだけどな」



 こいつ、へらへらしやがって。



「なめるなよ。雑魚が!」



 俺の渾身の一撃でお前を山脈の麓までぶっ飛ばしてやる。



「……はっ!」



「なに!?」



 よ、避けられた!? そんな、俺のスピードについてこれたのか!?



「にやっ」



 いらっ。殺す。



「ふん!」



「ぎゃーーーーー!!」



 あ、ついニ撃目も本気でやっちまった……。てかニ撃目は普通に当たるんかい……。



 ディノリアはニ撃目の俺の攻撃をもろに食らい綺麗な弧を描いて山の麓まで飛んでいった。



「それよりも、あいつの目……あの一瞬だけ<バーサーク>状態だったな。確かに初撃は昨日と全く同じ攻撃の仕方だったが」



 いや、考えすぎだな。俺のあの攻撃レベルなら、レミアの方がもっと上手く対応できる。



 昨日よりも多少強くなったところで雑魚は雑魚だ。



 うちの案内人としては必要ない。



 それにちゃんと今日はルールを変えたしな。



「さて、業務に戻るか……」





 翌朝。



「これは、どういうことだ……ディノリア」



「あははは、さぁ、今日もテスト頼むぜヴィオネット!」



「……」



「ほら、今日は明朝だ! まだ業務開始の時間じゃないだろ?」



「……昨日は『お前が今日俺にぼこぼこにされたらこのテストは一生やらん』と追記させてもらったはずだが」



「ぼこぼこ……? じゃあなんで今お前の目の前に俺が立ってるんだ?」



「ちっ……」



 こいつ……ぶっ殺す!!



「はぁぁぁぁぁ!!」



 今回ばかりはぜってぇぼこぼこにしてやる!!



「お、今日はすんなりとテストをやってくれるんだな! 今日も頼むぜヴィオネット!」



「ほざけ! 今日で終わりにしてやる!!」



 もちろんこの日も俺の圧勝だった。



 文字通り動けなくなるほどディノリアをぼこぼこにして、再度山の麓へとぶっ飛ばした。



「流石にこれでもう来ねぇだろ」



 今日はニ撃目も避けられた。それに初撃は昨日とは違うパターンで攻撃したはずなのに……。



「一体何なんだあいつは……」



 次の日も。



「おーいヴィオネット」



「なっ! また……」



「姉さま。そろそろしつこいので私が……」



「いや、いい。俺がやる」



 正直めんどくさいしだるいが流石にレミアにこの処理をさせるのは。



 その次の日も。



「おーいヴィオネット」



「ちっ」



 そのまた次の日も。



「おーいヴィオネット」



「……」



 望んででもいない日課が続いた。



 何度も何度もぼこぼこにしては、次の日には傷が完治して、ぴんぴんな状態で俺の目の前に現れる。



 そんな毎日が数週間ほど続いたとある日の戦闘のことだった。



「これで今日も終わりだ!!」



 俺の全力の拳があいつの顔面をぶち抜いた。



 はずだった。



「か、躱された。まだ見せてないパターンだぞ!?」



 これは<バーサーク>状態!? 最近使っていなかったのは今日のための布石だったか。



 くっ、だが。まだ!



「おらぁぁぁぁぁぁぁ」



 後ろか、いつの間に……!



「くっ!」



 ディノリアの蹴りが俺のガードした腕を弾き飛ばした。



 そしてニ撃目の蹴りを俺に入れた。



「く……てめぇぇぇぇぇ!!」



 ぜってぇやり返す!



「ストーーーーーっプ!!」



 ディノリアは両手を前に出し攻撃の意志がないことを俺にアピールした。



「は?」



「いやいや、テストテスト! ほら、ヴィオネット今俺の蹴りで膝着いただろ!」



「あ……」



 やべぇ。俺としたことが数日経ったあたりからすっかり……。



「まさかお前……それを狙って」



「にやり」



「ぶっ殺す!!」



「な、なんでだー! 今日から一緒に働く仲間を殺そうとするなよー!!」



「知るか! お前みたいなやつグローリア案内所にはいらん!」



 そこから少しの時間ディノリアの生死を掛けた鬼ごっこが行われた。 



 数分後。



「ということで。俺のテストに合格し。今日から働くことになったディノリアだ」



「よろしくお願いいしまーす!!」



 この満面の笑み。ぜってぇ許さん。



「姉さま。頭抱えてる……」



「じゃあさっそく業務に入る」



「え、それだけ? 仕事の説明は!?」



「いちいちうるせぇな。やりながら覚えろ」



「……まぁいいか、それよりヴィオネット」



「あ?」



「テストは終わったがあの日課は続けてもらうぞ!」



 ……まぁ。いいか。めんどくせぇけど。



「ふん。望むところだ」



 こうしてディノリアというドラゴン属の男がグローリア案内所で勤め始めた。
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