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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第165話 旅立ち(マリー視点)
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昨日、アルノさんのところに手紙の返信が届いたらしく、朝早くにアルノさんが紹介状を手にうちにやってきた。
「なるべく早い方がいいと思ったから、昨日の夜急いで紹介状を書いたんだ」
「わざわざありがとうございます」
紹介状をしっかりと受け取り、まだ訊いていなかった私が教わる回復魔法使いが誰なのかをアルノさんに尋ねる。
「俺が手紙を送ったのは、レネという回復魔法使いだよ。性格はちょっときついかもしれないけど、腕はたしかだ」
アルノさんから紹介してもらったのはレネさんという元シスターの回復魔法使い。昔は王都でシスターをしていて、そこから冒険者に転身し、今はルミーヴィアという街を拠点にしているらしい。
現役でAランクパーティ「無限の光」の一員として活躍していると聞いて私は驚いた。
まずその名前自体が私でも聞いたことがあるくらい有名だし、パーティの名前についている「光」が指し示す通り、回復魔法使いが優秀なことでも有名なのだ。
「無限の光」は今年に入ってAランクに上がったパーティだが、ランクが上がって有名になったわけではなく、「シスター出身で異常なほど練度が高い回復魔法使いがいる」と以前からBランクながら広く知られていた。
そんな回復魔法使いに教えてもらえるとは──これ以上ない師匠だろう。
そこまでの大物パーティのメンバーとどうして知り合いなのかと訊くと、合同討伐をしたことがあったらしい。
合同討伐の前から、お互いに新進気鋭のBランクパーティということで気になっていたそうで、合同討伐で一気に仲良くなったという。
これで回復魔法を学ぶ相手は見つかったけど、気がかりなのはパパのことだ。もし私がルミーヴィアに行ってしまえば、一人でパン屋をしていくことになる。
もともと私が仕込みをやらせてもらえるまでは、仕込みは一人でやっている期間もあったけど、私がいなくなると店番を休めなくなる。
お客さんはたくさん来るわけじゃないけど、休みがないのはきついだろう──そう考えているのが顔に出ていたらしい。
「何か心配なことでも?」
アルノさんに正直に話すと、それならとお昼時に少しになってしまうけど店番をしてくれることになった。
報酬はパパと相談ということになり、とりあえず一つ心配事がなくなった。あとは──どうやって私がルミーヴィアに向かうかだ。
「なるべく早い方がいいと思ったから、昨日の夜急いで紹介状を書いたんだ」
「わざわざありがとうございます」
紹介状をしっかりと受け取り、まだ訊いていなかった私が教わる回復魔法使いが誰なのかをアルノさんに尋ねる。
「俺が手紙を送ったのは、レネという回復魔法使いだよ。性格はちょっときついかもしれないけど、腕はたしかだ」
アルノさんから紹介してもらったのはレネさんという元シスターの回復魔法使い。昔は王都でシスターをしていて、そこから冒険者に転身し、今はルミーヴィアという街を拠点にしているらしい。
現役でAランクパーティ「無限の光」の一員として活躍していると聞いて私は驚いた。
まずその名前自体が私でも聞いたことがあるくらい有名だし、パーティの名前についている「光」が指し示す通り、回復魔法使いが優秀なことでも有名なのだ。
「無限の光」は今年に入ってAランクに上がったパーティだが、ランクが上がって有名になったわけではなく、「シスター出身で異常なほど練度が高い回復魔法使いがいる」と以前からBランクながら広く知られていた。
そんな回復魔法使いに教えてもらえるとは──これ以上ない師匠だろう。
そこまでの大物パーティのメンバーとどうして知り合いなのかと訊くと、合同討伐をしたことがあったらしい。
合同討伐の前から、お互いに新進気鋭のBランクパーティということで気になっていたそうで、合同討伐で一気に仲良くなったという。
これで回復魔法を学ぶ相手は見つかったけど、気がかりなのはパパのことだ。もし私がルミーヴィアに行ってしまえば、一人でパン屋をしていくことになる。
もともと私が仕込みをやらせてもらえるまでは、仕込みは一人でやっている期間もあったけど、私がいなくなると店番を休めなくなる。
お客さんはたくさん来るわけじゃないけど、休みがないのはきついだろう──そう考えているのが顔に出ていたらしい。
「何か心配なことでも?」
アルノさんに正直に話すと、それならとお昼時に少しになってしまうけど店番をしてくれることになった。
報酬はパパと相談ということになり、とりあえず一つ心配事がなくなった。あとは──どうやって私がルミーヴィアに向かうかだ。
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