パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編

第166話 旅立ち 其の二

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  ルミーヴィアは王国の北東部にあり、ここからだとかなり遠い。歩いて向かえばどんなに頑張っても三日はかかる。

 そんな長い道のりを私一人で行くわけにはいかない。

 私は回復魔法は使えるが、とりわけ剣の腕がたつわけでも攻撃魔法が使えるわけでもない。だから道中で盗賊に襲われでもしたら殺されておしまいだろう。

 冒険者ギルドに護衛の依頼を出してみる? 三日かかるということは帰りも含めて拘束時間は六日──高額になるに決まっている。

 だったら馬車を頼んでみる? こっちも護衛と同じほどお金がかかる。早く着けるのはいいことだが、徒歩よりは可能性が低いが、馬車だって襲われるリスクはある。

 この辺はそうでもないが、王国には治安が悪い地域もある。身を守るすべもないのに一人で行動している女なんて格好の餌食でしかなく、ルミーヴィアに辿り着けないのは確実だ。

 お金がないせいでこの村から出られないなんて……やっと教えてもらえる人が見つかって、せっかくアルノさんに最高の師匠を紹介してもらったのに。

 ラムハまで出て、護衛を雇えるほどの金額が貯まるまで働くという選択肢もあるが、きっと自分の食い扶持を稼ぐので手いっぱいになるだろう。街を出られるのは何年後か分からない。

 あーあ、パーティが散り散りになってなかったらな……四人でなら時間がかかっても歩いて行けたのに。もしそうだったら途中で野営をしたり、狩ったモンスターをその場で捌いて焼いて食べたり──そんな未来があったのかな。

 でも、私の都合でそんな遠くまで付き合ってもらうわけにもいかなかったかも。なんて、ね──都合のいい妄想をしても現状は変わらない。

 パーティ、か……一応、コルネに手紙を出してみようか。出せる報酬もないのに三日間も護衛を頼みたいだなんて、都合がよすぎるのは私だって分かってる。

 でも、もうそのくらいしか手はない。アルノさんはもう冒険者としては活動しないと言っていたから、当然護衛として働いてほしいなどとは頼めない。他の冒険者はそんな割に合わない依頼など受けるはずがない。

 私はもうしばらく使っていないペンを取り出し、手紙をしたためる。
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