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第十一章 サラの魔法道場編
第255話 アドレアとの再会
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一度最初のマーナ・ガルムと闘ったところまで戻って死体を回収し、それをサラさんに渡してから魔法道場に帰ってくる。
Aランクモンスターは手強かったし、何よりあのままサラさんが来なかったら生きて帰れていたか……速いと思っていた俺の逃げ足もマーナ・ガルムの速度には勝てなかった。
しかしここの山は恐ろしいな──Aランク相当のモンスターが何体も襲ってくるのだから。これを退けられる冒険者パーティなどAランクの中にいくつあるのやら。
まだ昼前だというのに三日分くらい疲れている気がする。お弟子さんに布をもらって傷の手当てをした後に、とりあえず寮で休もうとふらふら歩いていると、突然聞き覚えのある声がする。
「あれ!? コルネ──コルネだよね?」
「ん? アドレア、知り合いなの?」
振り向くと、そこには食堂で炎魔法を使っていたリサさんと──アドレアがいた。
「まさか……ほんとに?」
俺の言葉が消える前に昼食を報せる鐘が鳴り響く。俺たちは顔を見合わせた後、喋りながら食堂へと向かった。
「──というわけで定期的にここに通ってるんだ」
アドレアがここに来ている理由をひととおり語って、ランチのサンドにかぶりつく。
アドレアの話は食堂に着くまで続くほど長かったのだが、要約すると「アクスウィルの学校がやっていたプログラムに参加したら見込みがあると言われサラさんに魔法を教えてもらうことになった」ということらしい。
聞けばプログラムに参加した他の生徒がその後ここに来ているのは見たことがないそうなので、アドレアはサラさんに直接力量を認められたということになる。幼馴染として鼻が高い限りだ。
「コルネはAランクのモンスター狩りに来てるんでしょ? もしかしてその傷──」
「ああ、ちょっと今朝ね。深くはないから大丈夫だよ」
アドレアに傷の心配をされて大丈夫だと返す──そのやりとりを横で見ていたリサがニヤニヤと笑っている。
「ふ~ん、なるほどねぇ」
「ちょっと、リサ。何がなるほどなのさ」
「別にぃ、なんでもないけど~?」
きっとリサさんはアドレアが俺のことを好きなんじゃないかと揶揄っているんだろう。アドレアは一緒に育った家族みたいなものだからそういうのはないと俺は思っている──ただ、前に会ったときに比べて大人っぽく落ち着いた雰囲気になったアドレアに正直ドキッとはしたけど。
Aランクモンスターは手強かったし、何よりあのままサラさんが来なかったら生きて帰れていたか……速いと思っていた俺の逃げ足もマーナ・ガルムの速度には勝てなかった。
しかしここの山は恐ろしいな──Aランク相当のモンスターが何体も襲ってくるのだから。これを退けられる冒険者パーティなどAランクの中にいくつあるのやら。
まだ昼前だというのに三日分くらい疲れている気がする。お弟子さんに布をもらって傷の手当てをした後に、とりあえず寮で休もうとふらふら歩いていると、突然聞き覚えのある声がする。
「あれ!? コルネ──コルネだよね?」
「ん? アドレア、知り合いなの?」
振り向くと、そこには食堂で炎魔法を使っていたリサさんと──アドレアがいた。
「まさか……ほんとに?」
俺の言葉が消える前に昼食を報せる鐘が鳴り響く。俺たちは顔を見合わせた後、喋りながら食堂へと向かった。
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アドレアの話は食堂に着くまで続くほど長かったのだが、要約すると「アクスウィルの学校がやっていたプログラムに参加したら見込みがあると言われサラさんに魔法を教えてもらうことになった」ということらしい。
聞けばプログラムに参加した他の生徒がその後ここに来ているのは見たことがないそうなので、アドレアはサラさんに直接力量を認められたということになる。幼馴染として鼻が高い限りだ。
「コルネはAランクのモンスター狩りに来てるんでしょ? もしかしてその傷──」
「ああ、ちょっと今朝ね。深くはないから大丈夫だよ」
アドレアに傷の心配をされて大丈夫だと返す──そのやりとりを横で見ていたリサがニヤニヤと笑っている。
「ふ~ん、なるほどねぇ」
「ちょっと、リサ。何がなるほどなのさ」
「別にぃ、なんでもないけど~?」
きっとリサさんはアドレアが俺のことを好きなんじゃないかと揶揄っているんだろう。アドレアは一緒に育った家族みたいなものだからそういうのはないと俺は思っている──ただ、前に会ったときに比べて大人っぽく落ち着いた雰囲気になったアドレアに正直ドキッとはしたけど。
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