不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第一章 終わりと始まり

12 護衛騎士?

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朝ごはんを食べて、陛下は朝議に。
流石に僕は陛下のお部屋でお留守番。
寝室のほうではなくて私室のほうね。
のんびりと絵本を眺めていた。

と、そんな僕の前に一人の少年が座っている。
僕の護衛騎士だという。
二歳年上の少年。

鋭い目つきをしているけれど、僕を見ている目はやわらかで優しい。
金の髪とラベンダー色の瞳。
陛下よりは少し青みが強い瞳かな。
髪の色も金と言うよりはクリーム色?
少し薄い感じがする。

朝議に行く前の陛下が呼んだ少年。
ジークハルト・チューベローズ。

騎士団長の息子で僕は違って王家に近い貴族の家柄。
公爵家の息子だ。

僕の護衛騎士になったのだという。
僕の幼馴染、未来の騎士団長でもう一人のラスボスでもある。

ゲームでは、とにかく固くて一撃が重い。
魔力での攻撃力はそこそこだけど、とにかく体力と防御力、攻撃力がやばい。
魔法防御力も強いから、魔法もだめ。
能力低下の任務をこなさないと一撃でゲームオーバーでたらめな強さ。

にこにこと目を細めているジークハルトの首をかしげる。
さっきこそっと鑑定を使ってみたら、数値はやっぱり異常。

8歳にして大人は軽く超えている。
彼の父、現在の騎士団長もかなりの強さだけどもな。
王家の血をっ持つものは破格の強さでも持っているのだろうか。

その割にはエスターへぼい。

「ラスティ王妃様、どうかしました?」

王妃…。
そうね、僕王妃ね。
うん、ちょっとその呼び方は慣れないな。
そう思いながら首をかしげる。

「王妃……様……が…慣れません……。」

違和感しかない。
ジークハルトは僕の様子を見て首を傾げた。
困惑している僕を見て、うーんと唸った。

「えっと…失礼でなければ…ラスティ様?」

うん、そっちの方が良いかな。

「はい。そちらがいいです。」

ぴしりと背中を伸ばして答える。
ジークハルトは、にっこりと微笑んだ。

「うふふ、可愛いなぁ。」

はい?
ジークハルトは、ついと頭をかいた。

「俺…こほん、私は幸せです。こんなにカワイイ王妃様に仕えることができるなんて。」

にこにこと微笑んでいるジークハルトに僕は困ってしまう。
実のところジークハルトが僕の護衛騎士になってくれたのはうれしい。
頼りになるお兄ちゃんって感じだし。
でも、護衛騎士になるということは、ジークハルトの将来にとっては良くないように感じる。

ジークハルトは、騎士団長になる人だ。
護衛騎士になったら騎士団長になるのが難しい。

騎士団は身分問わず強いものが集まる。
そこの団長になるには、やはり騎士団に入り実力を認められる必要がある。

護衛騎士は、王宮を守る騎士。
貴族の子息が多く騎士という称号だけだなどと言われてしまうこともある。
実際、大半の騎士がお飾り。

けれども、王や王子、王妃にも専属の護衛騎士は違う。
専属の騎士となれば血筋もさることながら優秀でなければならない。
ジークハルトは公爵家であり優秀だ。
能力だってダントツ。
護衛騎士の資格は十分にあるだろう。

けれども、専属の護衛騎士になれば、解雇されるまでずっとその地位。
この国の正式な騎士、聖騎士になることが難しくなる。
騎士団長になれる機会も失ってしまう。
騎士としては聖騎士になって、騎士団長になることが夢だろう。

ジークハルトは聖騎士であることを、とても誇りに思っていたのだから。

「ジークハルト様が…聖騎士になれなくなってしまいます。」

彼は不思議そうに首をかしげた。

「私は別に聖騎士になるつもりはありません。ラスティ様の護衛騎士のほうがいいです。」

ずっと傍で守ってあげれますから。
そうジークハルトは、笑う。
うむぅ??僕は初対面ではないけど、ジークハルトは、僕と初対面のはずだよなぁ。
ステータスの好感度は一旦おいといて。

「えっと…その、僕以前のことが曖昧で…僕…ジークハルト様に会ったことが?」

ジークハルトは、首を横に振った。

「いえ、その…ラスティ様が今回登城された時にお見かけしまして…かわいいなぁと…。」

ジークハルトは、僕を見つめたまま、うっとりとした目を向けた。
まて、ちょっとまて。

「あまりに私がその…ラスティ様を見ていたので…その…父が陛下に……。」

しどろもどろになっていくジークハルトに、僕は唖然とした。
いやいや…ジークハルトってこんな感じではなかったような。
頼れるお兄さんって感じで…えーと…あれ?

いや…僕にはやっぱりあまあまだったけどもだよ。



ここまででは、なかったよぅ~。
これが虹色好感度の威力ですか???
なにそれ???


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