不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第二章 運命を壊す方法

36 魔術師長

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バルハルト公とジークハルトが来たので、ノルンとマールが居間に彼らを案内してきた。
無言でへこんでいる陛下を見て、バルハルト公は、またかとため息をついた。

「で?何をしでかした、ディオス…。」

バルハルト公の言葉に陛下は、私ではないよと答えた。

「なんでこういう日にお前がいないわけ?」

陛下の言葉にバルハルト公は、はぁ??と首をかしげる。
バルハルト公は本日は城には言っていなかったらしい。

「しかたないだろうが…教会関係のことを他のやつに任せられん。」

公共施設の方での警護の騎士が、不審な冒険者を捕えたという報告があった。
どうやら偽造の通行書を持って防壁の門をくぐっていたようだ。
ただ、依頼書の方は本物で、冒険者は送られてきたから使っただけとのこと。
バルハルト公は、ギルド長に問い合わせたところ冒険者ギルドとはかかわりがなかった。
色々調べた結果、教会の依頼であり教会側は、偽造のものとは知らなかったという。

「まぁ…正直、知っていて使ったとは思ってるが証拠がない。お前だってだからオレに行かせたんだろうが。」

入手経路を調べたが足取りが途絶え、バルハルト公は、裏に何か組織があると考え登城せず調査していたとのこと。
陛下はそちらを優先してくれと、バルハルト公のフォローをしていたらしい。
いろいろ抜け道があるものだと、話を聞いて思った。
そのため、バルハルト公は城で何が起ったか知らない。

陛下はわかっていても、言わずにはいられなかったようだ。

恨めし気に、陛下はバルハルト公をにらんだ。

「ジェンだよ、ジェン。」

バルハルト公は首を傾げた。

「あ??ジェンがどうしたよ??」

ジークハルトも首を傾げた。
ジェンとは、バルハルト公のパートナー。
魔導師長であり、ジークハルトの母でもある。
バルハルト公と共に陛下の側近中の側近。
まだ、バルハルト公の屋敷には帰っていないらしく、彼は何も聞いていないと陛下に言う。

「宰相が、自分の息子をラスティの話し相手にどうだってごり押ししてきたんだよ。」

バルハルト公は、はぁ???と口を開けた。
宰相のご子息は優秀との噂だが、表には出てきていない。

「まさか、お前受けたのか??」

陛下は、まさかと首を横に振った。
宰相のご子息は、あまり僕を相性は良くないだろうと陛下とバルハルト公は思っているようだ。

「断ったよ。私は。けど、ジェンのやつが、宰相の味方になって強引に魔術師長権限使ってセッティングしたんだが?どういうつもりだ?」

あちゃぁ~とバルハルト公が天を仰いだ。
魔術師長…ジェン公は、相性が悪いと保護者が決めることではないだろうと言ったという。

「会っても居ないのに、何を言ってるのか…と言ってな。」

とりあえず合わせてから決めないと後々禍根が残るとジェン公は考えだったようだ。

「ジェンは…まぁ…そう言うだろうな。」

ジェン公は、陛下とバルハルト公の僕への扱いにモノ申したいところが、ずっとあったらしい。
バルハルト公は、彼の性格をよく知っている。

「ラスティ様にまともにジェンは会っていないだろう?」

そもそもジークハルトのことも任せはしたが、ここまで勝手に進めるとは思っていなかったと王子の称号を受けた時に喧嘩になったらしい。

「ジェンは俺にラスティ様を引き取ってきてほしかったらしいからなぁ。」

本人が良いと言っているのでジークハルトについては、良しとしたが僕のほうがどうなのか気にしているという。
宰相の息子とのセッティングついでに、ジェン公は僕と落ち着いてあいたいと思っている。

「だからと言って…宰相の息子は無いだろう……。」

陛下の言葉に、バルハルト公は、顔をゆがめた。

「うわぁ…それは…すまん…本気ですまん…。」

ジークハルトも、それを聞いて嫌な顔をしている。
彼自身も、あまり宰相の息子とは相性がよくないという。

「彼は王族が嫌いで仕方がないみたいですから。」

顔を合わせると、嫌味を言ってくるらしい。
しかも的確に、ジークハルトの嫌うことを選んで。

宰相の息子ってあいつだよなぁと僕も内心嫌な気持ちになった。
ある意味、断片を思い出すだけでのたうち回りたい羞恥心を煽る記憶の原因を作った人だ。
まぁ、前の生の彼であって今の彼ではないけれど。
鑑定スキルの数値的にはとても嫌われている。
きっと???の一人だろう。

わざわざ、会いたくはない。

「一度も顔合わせもしないで断るとか失礼すぎるとな……。」

バルハルト公が頭を抱えた。
最近彼は頭を抱えてばかりだ。


「よりによって…宰相の息子にラスティ様を合わせると……あいつは…やったのか?」



そうだよ…と陛下は、むすりと口を尖らせた。




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