不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第三章 学園生活の始まり

48 漸く昼休み

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リオンのお昼一緒に食べたーい攻撃をかわしてジークハルト達と静かなお昼。
天気も良くてボカボカお日様。
ああ、幸せだ。
このまま、静かに昼寝したい。

「はぁぁ~つかれたぁ…。」

僕はようやく息が付けた。
そんな感覚だった。

「おつかれさまです…」

僕の横でリオンの質問攻撃のとばっちりを受けていたマールがトリスティの横に座って苦笑している。
僕は、ジークハルトとノルンに挟まれているけども。
お昼はみんなで。

まぁ…トリスティはちょっと強引に入ってきたのもあるけども。
トリスティとジークハルトは、お弁当を持参。

僕は、料理長特製のサンドイッチがつまったバスケットをノルンとマールがもって来ていた。
学園には食堂もある。
品数はそこまで多くないけど、無料ランチも食堂にはある。
二年間は、全員、学費は免除されている。
家が学費を払えないという理由で二年で卒業の子も多い。
けれど、優秀な子は、そのまま無料で6年間通える。
一応12歳で入園だけど就職クラスは、年齢はバラバラだとも聞いている。

陛下は、この制度でいいのかってまだ協議中って言っていた。
二年だと読み書きと簡単な計算位。
もっと小さな頃から学校として子供を保護したいけど財政的にこれが限界だという。

皆、頑張っているけど、先の戦争の影響はまだまだある。
いや…先の戦争だけではなく、周りの国が戦っているから。
逃げ込んでくる他の国の力のない人たち。
調査して問題がなければ一応は受け入れるけども、そこまで多くの人を受け入れるはずもない。
豊かにはなっているけど、復興の途中でもある国なのだ。
少しずつ膨らんでいく国の状況に陛下は、頭を悩ませていた。

私の手はそこまで大きくないんだよ。
そう陛下は言う。
全てを救うことなど誰にもできない。

でも、陛下なら…。
と、いう期待を皆が持っていた。
過剰な期待が陛下を苦しめている。

自分のことで精いっぱいで僕は何も見えていなかったんだなと陛下の傍にいると感じる。
生を繰り返して繰り返して…僕は一体何を見ていたのだろう。

明るくノリのいい陛下は本当に表面だけだ。
その心の奥は、僕には見せてくれない。

僕を質問攻めしてくるリオンも…どこか陛下と同じ匂いがする。
彼は、表面では明るくしている。
けれど何か抱えている。

僕に何かを、本当は何か別のことを言いたいのだろう。
そこはわかる。
それが違和感の正体だと。
でも、内容がわからない。

僕は、思考を振り払う。
いま考えることではない。
そう思いながら、周りを見渡すと見回りをしている騎士が目に入った。

そう食堂。

少し興味はあるけど、僕の警護のこともあるので、食堂の使用はできない。

僕はお弁当。
リオンは、食堂。
本当はリオンだってお弁当の立場だ。
リオン曰く、教会のご飯は味がない、とのこと。

結局それが、本日は救いとなる。
すっかり僕は自分が食堂の利用が出来ないことを忘れていた。
お弁当が頭になかった。
だから、しっかり準備してくれていた二人に感謝しかない。

「助かったよ…二人とも…」

僕の言葉に二人は苦笑する。

「美味しいランチを作ってくれた料理長に言ってくださいね。」

もちろんと言いながらも、僕はサンドイッチに手が出ない。
疲労困憊。
本当にそんな感じだった。

「はぁ…質問でお腹いっぱい…。」

お弁当ではないリオンは、食堂でご飯。
だから、質問攻めから逃げられた。

「もう…ラスティ様ったら…。」

ノルンの呆れたという声にごめんと言いながらノルンの肩を借りる。
今はぐったりしたい。
幸い周りに人は、他にはいないから、少し甘える。

温室の一角にある飲食できるスペースを借りて皆でご飯。
僕が植物が好きだからということで、学園が用意してくれた専用スペース。
少し離れたところに騎士が、立っている。

王族って面倒だなとは思うけど。
王子の時はもっと自由だったんだけどな。

「聖者様の勢いがすっごかったですからね。」

マールの苦笑に僕は頷く。
漸く彼の質問攻めから解放されたのだ。
彼の質問の間に、挨拶に来る他の生徒の相手。
数日のことだろうとは思うけども。
疲れる、とっても疲れる。
愛想笑いを張り付けていた顔の筋肉が痛い。
顔って筋肉痛になるっけ?

「どうしたんだろうなぁ…。」

頬をむにむにマッサージしながら考える。

リオンは、どうしてしまったのか。

今日の所は……と彼はランチを一緒にするのを諦めた。

でも明日からは、と言っていたからきっと明日も突撃してくるだろう。
準備させると言っていたから、お弁当も準備してくる気だ。
ジークハルト達と約束しているとも伝えたけど。
返事は、まぜてまぜてだ。
嫌がられているのは、わかっていると思う。

いや…わかっていないのか?

なんなんだろうあの聖者。
思考がぐちゃぐちゃぐるぐるする。

ノルンの肩を借りたまま考えているとぬっと目の前にカツサンドが出てきた。

「ラスティ様、お疲れはわかりますけれど…がんばって食べましょうね?」

そういいならが、カツサンドをノルンは僕の口にねじ込んできた。
おいしいけども文字通りねじ込まないでください。

もぐもぐと口を動かす。
甘めのソースの味が口いっぱいに広がる。
美味しい。
幸せ。
そう思いながらも午後の授業を考えると気分は重い。

お昼のあと僕とマールの授業は一時間。
ジークハルトとトリスティとノルンは二時間。
あと少し。
あと少しの我慢。
そう自分に言い聞かせた。
あと一時間したら…。
僕とマールには、騎士の迎えに来る。

ちらりとマールを見る。
今は、目の前でトリスティを介抱している。

なんで、トリスティが倒れてマールに膝枕されてるんだよ。

トリスティの弱ってるときはマールが慰める…とそんな感じになってるんだよなぁ。
やっぱり、トリスティはとりあえず、当たって砕けてください。




僕のマールだぞ。





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