不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第三章 学園生活の始まり

54 宿題

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陛下の悪戯から抜け出して、温室で宿題を広げた。
基本的な計算の宿題。
マールも一緒にやるというので並んで宿題をやる。
30分で全部終わるだろうという感じ。

のそのそと進めながら、今日のことを振り返っていて今更のことを思い出す。

「あれ?」

同じように宿題をしていたマールが首をかしげた。

「マール…なんで僕と同じ学年?」

マールが可愛いい系だから忘れてた…。
そうだ…マール年上だよ。
僕忘れすぎだぞ。
マールは苦笑する。

「僕とノルンは、就職クラスになりますが…学園の卒業資格を持っていますから。」

そうだ。
マールとノルンは陛下が迎えに行ったくらい優秀な僕の教育係なのだ。
今更学園に行かなくていい。
つまり…僕の所為ではないか。

「うわぁ…僕ってみんなに迷惑かけてるぅ。」

マールは楽しいからいいのですよと笑ってくれるが、がっくりと肩を落とす。
学校に行けると聞いてから浮かれていたが、増えてる警護の騎士に、マールとノルンの仕事は増やしている。
ジークハルトの騎士訓練だって邪魔しているし、トリスティはよくわからないけど、彼だって公務をもっているから僕につきあうのは大変だろう。

陛下も情緒不安定になってたし、聖者リオンに付きまとわれる。

「はぁ~…どうしよう。」

学校行くだけでこれだけ迷惑をかけてしまうとは。
がっくりと肩を落とす僕にマールがトントンと机をたたいて見せた。

「ラスティ様、さっさと宿題終わらせないと。薬学のお勉強もありますし…。」

そうだねと僕は宿題にとりかかる。
陛下は、三人が帰ってきたら王宮の方の執務室に戻ると言っていた。
そろそろ、帰ってくるだろう。
宿題を進めているとマールがそういえばと首をかしげた。

「ラスティ様、陛下にいいました?聖者リオンのこと。」

僕が首を横に振るとやっぱりとマールはため息をついた。

「もしかしたら陛下も知らないかもしれないからお知らせはしてください。教会が隠していたら陛下も彼が学校に通っていることがわからないかもしれません。たぶん…聖者様の希望でしょうけれど…少し嫌な予感がするのです。」

マールの言葉に、僕は首をかしげたが頷いた。
陛下に知らせておくことはした方がいいだろう。
ノルンが温室に入ってきた。

「おつかれさまです。そうそう、陛下はすぐに王宮の方にお戻りになりました。」

ノルンの言葉に、僕は陛下に聖者のことを話した?とノルンに問う。
いいえと、返されてマールを見ると僕から言った方がいいと言われた。

「ジークハルトとトリスティ様は?」

今日は、帰りましたよとノルンは苦笑した。
どうやら二人ともとても疲れたのだという。

「ああ…明日は朝からジークハルト様とトリスティ様は用事があって学校に行けないと言っていました。」

そっか~と頷きつつ、少し考える。
僕も行かないという選択肢はあるのだが、それをすると二人は気にしてしまうだろう。
少し考えて僕は頷いた。

「僕は…行こうかな…。大丈夫?」

ええ、とノルンは頷く。
マールは、少し考えていたが、そうですねと頷いた。

「料理長にお弁当をお願いしておきますね?」

リクエストはありますか?と聞かれて果物が欲しいという。
ジークハルトとトリスティがいると肉が中心になるんだよね。
ノルンは苦笑しながら伝えてくると温室を出た。

「マールは、リオン君が苦手?」

考え込んでいるマールにそう声をかける。
マールは、少し考えてから頷いた。

「少し…苦手です…あの噂は本当なのかなと思ってしまいますし…。」

噂?と僕は首をかしげた。

「……聖者様は、聖者の能力が無いという噂です。」

僕は首を傾げた。

「でも…予言は?」

マールは、ええと頷く。

「彼は…それしかできないという話なのです…。本来聖者は予言の脳力はないです。光の魔法の使い手で癒しとかそちらの力です。でも…聖者リオンはその力はないのではという噂です。…あくまで噂ですが…。」

僕は、ふと思い出す。
初めて彼を見た時に使った鑑定スキル。
そうあの時の神力。
0だったことを。

「聖者が…力を失っている?」

僕の死がなくても…物語が進んでいるということだろうか。
僕の死を阻止しようとするリオン。
夢で見たという言葉。

変わってしまったリオン。
いや…あのリオンを僕は知らないだけかもしれない。

力を失って外の世界を知ったゲームの主人公は積極的になっていく。
今のリオンが当てはまるともいえる。

「噂ですよ?」

マールはそう言いながら、眉を寄せた。





「でも…ぼく…聖者様は嘘がつけないのに…リオン様は嘘をついているような気がするんです…。」




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