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閑章 リオンside 蝶
閑話 07 サンドイッチ
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リオンが、目覚めると豪華な天井が目に飛び込んできた。
ゆっくりと体を起こす。
見たこともない部屋。
昨夜のことを思い出しながら、リオンはあたりを注意深く見ていた。
体は綺麗に清められて綺麗な白い寝巻に身を包んでいた。
目が腫れぼったいとリオンは、息を吐く。
昨夜、どうせ最後だと思い、王に思いをぶちまけて大泣きしたことは覚えていた。
「そのまま、気を失ったってことか…。」
泣きつかれて気を失ったリオンを、王と騎士団長がこの場所に連れてきたのだろう。
リオンにはここがどこかわからなかったが。
軽いノックの音がして、ジークハルトが顔を出した。
手には、食事を持っている。
「起きているようだな。もう昼だ。」
そう言ってサイドテーブルに食事を置くと食えるか?とリオンにジークハルトは問う。
リオンは、食べれると頷き、ベットの端に腰かけたままジークハルトが持ってきたサンドイッチを手に取る。
だが、そこで手が止まった。
「どうした?」
感情のこもっていないジークハルトの問いにリオンは、たべるとだけ言うと手を止めたままじっとしている。
「…ラスティ…に…サンドイッチをもらったことがあるんだ…」
涙腺が壊れたのだろうかとリオンは思う。
ぼたぼたと、涙がこぼれる。
「陛下に…聞いた。この世界のことを…。お前が知っているかは、わからないが、この世界は繰り返しているそうだ。今回も、あとは滅びるだけなのだろう。ならば…俺たちは、またラスティに会えるのだろう。」
リオンは、知っていると頷いた。
「世界が、繰り返しているのは…僕の所為です…。最初の失敗した時に…世界が終わった後に、僕は黒い空間で、誰かに聞かれたんだ…ここで終わるか…本当の聖者に世界を返すことができるまで繰り返すか…選べと。」
リオンは、息を吐いた。
「僕は…繰り返すことを選んだ。その選択が…こんな…こんな残酷なことになるなんて思ってもいなかった。全部…浅はかな僕の所為だ。」
ジークハルトは、頭をかくと仕方ないなぁとつぶやく。
「俺はお前のそう言うところが嫌いだ。世界がお前だけのモノではない。それと同時に世界がこうなったのはお前だけの責任ではないだろう。よく考えろ。聖者でないというなら力を失ったというなら別の力を使え。」
リオンは、顔を上げた。
涙がもうこぼれなかった。
「別の…力…」
そうだとジークハルトは頷く。
「お前に力がないなら、周りに助けを求めろ。助けてくれと言えば良かったのではないのか?お前の周りには、頼れるものはいたはずだ。」
リオンは、ぼんやりとジークハルトの言葉を聞いていた。
「ラスティは…周りをよく見る子だったからな…お前の無言の救いを求める声を聴いて助けてくれただろう。お前はラスティのみに救いを求めて他の者には表面の良い部分しか見せなかった。ラスティがいなくなったらすぐにお前は諦めた。何も言わなくても助けてくれる人が居なくなったからだ。助けてくれないといじけて、助けてほしいなら求めてくれと差し出されていた手をはねのけて…お前は結局何をしていた?」
ジークハルトの言葉は続く。
抑えていた彼の本音だろう。
「お前は…ラスティだけが好きだと言いながら…ラスティですら、見ていない。お前にとっての好きなラスティは自分を助けてくれる道具とでも思っているような…人として見ていない。大事な駒とかそういうレベルの扱いでしかない…お前にとって…この世界の人間はなんだ!!」
リオンの喉からひゅっと息が漏れた。
図星だった。
リオンにとってこの世界は…ゲームの世界でしかない。
自分自身もただの感覚のあるアバターくらいな感覚だった。
色々なものがマヒしている。
この世界は、ゲームみたいなものだとリオンは思っていた。
そう思わねば正気を保てなかった。
幾度も幾度も死ぬのだ。
男たちにもてあそばれ、ただ死んでくことを繰り返すのだ。
意味が分からなかった。
それを覚えているのだ。
事細かく覚えているのだ。
リオンは、そんな記憶と思いを抱えて正気でいられるほど強くはない。
この世界の人間を、人間だとは思っていなかった。
だから、ジークハルトの言葉に反論が思い浮かばなかった。
「お前にとってこの世界は、夢の中の世界のような感覚なのだろう。」
ジークハルトは、じっとリオンを正面から見据えて眉を吊り上げた。
「もうこの世界は、滅びるしかないのだろう。陛下の言葉だ。嘘はないと俺は信じる。この世界はラスティが死んだ時点で滅びが決まったのだという陛下の言葉を。だが…お前や陛下の言うように、本当に世界に次があるならば…皆を開放出来るように足掻け。みっともなく地べたをはい回ったとしても、この世界を生きる者としてどうするかを考えろ。本当に意味で生きてみろ。」
ふんとジークハルトは鼻をならしてからリオンをにらみつける。
「ともかく、さっさと食って最後まで生きるんだな。」
ジークハルトは、立ち上がると少し目を伏せた。
「昨日…エスター王子たちが来て陛下を襲った。俺が返り討ちにした。皆死んだぞ。」
ジークハルトが目を閉じる。
「最後まで生き残っていたのは…ロイスだ。あいつは…最後に陛下に願ったんだ。お前は関係ないから…お前を許してやってくれと。陛下は、その願いのためにお前を迎えに行ったんだ…。俺はお前を許さない。けど…陛下は許すといった。気高い騎士の最後の願いだからと…。お前は、ロイスの願いで生かされている。あいつの思いを…噛みしめて…生きろ。」
ジークハルトは乱暴に部屋を出て行った。
リオンは、手に持ったままだったサンドイッチをかじる。
美味しかった。
ラスティに、もらった時と同じくらいに美味しかった。
ボロボロと涙がこぼれる。
言葉は嗚咽となって意味をなさない。
リオンは、何度も頷く。
ジークハルトの言葉を、サンドイッチと一緒に咀嚼して飲み込む。
自分に出来ることを考えながら。
ゆっくりと体を起こす。
見たこともない部屋。
昨夜のことを思い出しながら、リオンはあたりを注意深く見ていた。
体は綺麗に清められて綺麗な白い寝巻に身を包んでいた。
目が腫れぼったいとリオンは、息を吐く。
昨夜、どうせ最後だと思い、王に思いをぶちまけて大泣きしたことは覚えていた。
「そのまま、気を失ったってことか…。」
泣きつかれて気を失ったリオンを、王と騎士団長がこの場所に連れてきたのだろう。
リオンにはここがどこかわからなかったが。
軽いノックの音がして、ジークハルトが顔を出した。
手には、食事を持っている。
「起きているようだな。もう昼だ。」
そう言ってサイドテーブルに食事を置くと食えるか?とリオンにジークハルトは問う。
リオンは、食べれると頷き、ベットの端に腰かけたままジークハルトが持ってきたサンドイッチを手に取る。
だが、そこで手が止まった。
「どうした?」
感情のこもっていないジークハルトの問いにリオンは、たべるとだけ言うと手を止めたままじっとしている。
「…ラスティ…に…サンドイッチをもらったことがあるんだ…」
涙腺が壊れたのだろうかとリオンは思う。
ぼたぼたと、涙がこぼれる。
「陛下に…聞いた。この世界のことを…。お前が知っているかは、わからないが、この世界は繰り返しているそうだ。今回も、あとは滅びるだけなのだろう。ならば…俺たちは、またラスティに会えるのだろう。」
リオンは、知っていると頷いた。
「世界が、繰り返しているのは…僕の所為です…。最初の失敗した時に…世界が終わった後に、僕は黒い空間で、誰かに聞かれたんだ…ここで終わるか…本当の聖者に世界を返すことができるまで繰り返すか…選べと。」
リオンは、息を吐いた。
「僕は…繰り返すことを選んだ。その選択が…こんな…こんな残酷なことになるなんて思ってもいなかった。全部…浅はかな僕の所為だ。」
ジークハルトは、頭をかくと仕方ないなぁとつぶやく。
「俺はお前のそう言うところが嫌いだ。世界がお前だけのモノではない。それと同時に世界がこうなったのはお前だけの責任ではないだろう。よく考えろ。聖者でないというなら力を失ったというなら別の力を使え。」
リオンは、顔を上げた。
涙がもうこぼれなかった。
「別の…力…」
そうだとジークハルトは頷く。
「お前に力がないなら、周りに助けを求めろ。助けてくれと言えば良かったのではないのか?お前の周りには、頼れるものはいたはずだ。」
リオンは、ぼんやりとジークハルトの言葉を聞いていた。
「ラスティは…周りをよく見る子だったからな…お前の無言の救いを求める声を聴いて助けてくれただろう。お前はラスティのみに救いを求めて他の者には表面の良い部分しか見せなかった。ラスティがいなくなったらすぐにお前は諦めた。何も言わなくても助けてくれる人が居なくなったからだ。助けてくれないといじけて、助けてほしいなら求めてくれと差し出されていた手をはねのけて…お前は結局何をしていた?」
ジークハルトの言葉は続く。
抑えていた彼の本音だろう。
「お前は…ラスティだけが好きだと言いながら…ラスティですら、見ていない。お前にとっての好きなラスティは自分を助けてくれる道具とでも思っているような…人として見ていない。大事な駒とかそういうレベルの扱いでしかない…お前にとって…この世界の人間はなんだ!!」
リオンの喉からひゅっと息が漏れた。
図星だった。
リオンにとってこの世界は…ゲームの世界でしかない。
自分自身もただの感覚のあるアバターくらいな感覚だった。
色々なものがマヒしている。
この世界は、ゲームみたいなものだとリオンは思っていた。
そう思わねば正気を保てなかった。
幾度も幾度も死ぬのだ。
男たちにもてあそばれ、ただ死んでくことを繰り返すのだ。
意味が分からなかった。
それを覚えているのだ。
事細かく覚えているのだ。
リオンは、そんな記憶と思いを抱えて正気でいられるほど強くはない。
この世界の人間を、人間だとは思っていなかった。
だから、ジークハルトの言葉に反論が思い浮かばなかった。
「お前にとってこの世界は、夢の中の世界のような感覚なのだろう。」
ジークハルトは、じっとリオンを正面から見据えて眉を吊り上げた。
「もうこの世界は、滅びるしかないのだろう。陛下の言葉だ。嘘はないと俺は信じる。この世界はラスティが死んだ時点で滅びが決まったのだという陛下の言葉を。だが…お前や陛下の言うように、本当に世界に次があるならば…皆を開放出来るように足掻け。みっともなく地べたをはい回ったとしても、この世界を生きる者としてどうするかを考えろ。本当に意味で生きてみろ。」
ふんとジークハルトは鼻をならしてからリオンをにらみつける。
「ともかく、さっさと食って最後まで生きるんだな。」
ジークハルトは、立ち上がると少し目を伏せた。
「昨日…エスター王子たちが来て陛下を襲った。俺が返り討ちにした。皆死んだぞ。」
ジークハルトが目を閉じる。
「最後まで生き残っていたのは…ロイスだ。あいつは…最後に陛下に願ったんだ。お前は関係ないから…お前を許してやってくれと。陛下は、その願いのためにお前を迎えに行ったんだ…。俺はお前を許さない。けど…陛下は許すといった。気高い騎士の最後の願いだからと…。お前は、ロイスの願いで生かされている。あいつの思いを…噛みしめて…生きろ。」
ジークハルトは乱暴に部屋を出て行った。
リオンは、手に持ったままだったサンドイッチをかじる。
美味しかった。
ラスティに、もらった時と同じくらいに美味しかった。
ボロボロと涙がこぼれる。
言葉は嗚咽となって意味をなさない。
リオンは、何度も頷く。
ジークハルトの言葉を、サンドイッチと一緒に咀嚼して飲み込む。
自分に出来ることを考えながら。
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