不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第五章 変わる関係

99 続編の存在

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マールとノーマが僕の付き添いに来たのでバルハルト公は、一旦公務に戻った。
ジークハルトにはジェン公が付いているというのでノルンは留守番をしつつジェン公の補助をしているという。

ロイスは意識を失ったままなのでマールがついている。
僕は陛下と一緒に奥の間に帰ることになったので陛下が公務を終わらせるのを待っていた。
ロイスは、バルハルト公が連れて帰る予定とのことだ。
念のため、陛下が解呪の魔法をかけてみるという予定らしい。
呪われているわけでもないので、気休めだけどと笑っていた。

「うーん…それって…僕が迷惑かけまくってるなぁ。たぶん今までいなかったのに『ノーマ』が出てきたからかもしれない。」

ノーマがそういうとため息をついた。

「なんでさ?」

僕が問うとノーマは少し考えてから首を傾げた。

「そっか…ラスティ様が亡くなった時は…続編、でてないものな。」

僕は目を丸くする。

「は???続編???」

そうとノーマは頷いた。
どうやら、あのゲームは続編があるらしい。
ノーマが説明してくれた。
続編は、破滅を防げた二年後という設定で前提条件はリオンが誰とも結ばれていないエンド後という話だという。
内容は大まかに、聖者リオンの他に聖者候補が現れて選抜されるというもの。

「リオンは、ほんとトラブルメーカーだなって感じの発端なんだけどね。」

ノーマは、うんうんと唸りつつ自分でも頭の中身を整頓しているようだ。

「リオンが攻略対象とは何も無くて試練だけこなして、教会に、戻っただけのエンド後なのね。」

ぽつりと、あ…でも続編の方がもしかして今の状況に似てるのかも…とノーマは、唸っている。

「攻略対象は…前作キャラからエスター、トリスティ、ロイスの3人と…ノルンとマール……花の聖者側には、レスリル…森の聖者側は、真ルートっていうのが追加されて、そこで攻略キャラが追加されるんだ。」

そこでノーマは僕をちらりと見る。
僕は口が開いていた。
知ってる人ばかりでは???

「だから森の聖者側ではあと二人いるのだけど……とりあえずはストーリーね。」

主人公は、花の聖者候補と森の聖者候補と呼ばれる2人。
花の聖者は、前作主人公。
何かの理由で力を失った聖者リオンが宝玉に力を補充できなくなって、新しい聖者候補が現れる。
けど…その子は異端の金の瞳の王族だった。
教会は認めずリオンを花の聖者候補として、新しい聖者候補を王家が支援することになって、森の聖者候補として試練を行い競い合うことになった。

「対象年齢が下げられて、Hイベントはない感じなのが残念だけど…。」

最初は花の聖者一択。
一定期間繰り返して攻略していくと攻略ポイントがたまって、森の聖者候補ルートが解放されるのだという。

「王族の運命がどうこうっていうのは、続編で追加されている設定だよ。王族の方は未来の家族になる者の可能性を感じることができて、可能性のあるものを守るって言うの。任務とか試練とかを増やすためにちょっと無理に追加した感じもするけど…そういう設定…王族側の追加の設定が続編には多くてね。たぶん、森の聖者候補って言う王族の聖者が現れているからだと思う。」

前作は、教会側一択だったが、続編では王家側の話もあるからとノーマはそこで考え込んだ。

「『ノーマ』は森の聖者の世話役として出てくるんだ。元王子の従者という形で。花の聖者側は、神官のニルスって子なんだけど…ニルスは実は教会にいるんだ。ラスティ様は会ったことないと思う。」

ノーマは、うぬんと考えている。
何か気になることがあるのだろうか。

「…前作ではなく…続編のほうだったのかな…だったら…第二王子が生きている状態でも…可能かもしれない…だって…宝玉のかわりになるものはあるわけだし…」

ぶつぶつと考えていたノーマは、僕の手をぎゅうと握り締めた。

「いけるかも!!いけると思う!!第二王子が無事で世界も無事な未来…きっと行けるよ。そのためには…ラスティ様が、森の聖者にならないと!」

僕は首をかしげる。

「えっと??」

ノーマは、頷く。

「続編は前作での話があまり入ってなくて…国王はディオス様で、ジークハルトは騎士団長を辞めてて国王陛下の側近になってるの。ラスティ様のことは語られてなくて…森の賢者のディフォルトネームが『ラス』」だから…続編は前作とは別の世界で…森の聖者がラスティ様なのでは??て言われてるの。公式は肯定も否定もしてないけどね。」

ノーマは、なんで忘れたのに思い出したんだろうと首をかしげていたが、にやにやと笑い出した。

「とりあえずは…ラスティ様が18歳になるときに全員そろってないとダメなんだ…エスター王子も助けないと。」

そこでノーマは、眉を寄せた。

「でも…それなら…おかしいな…」

僕は首をかしげる。

「何がおかしいの??」

ノーマが僕を見て眉を寄せた。

「続編という逃げ道があるんだ…なのに…どうして強制力みたいな…ものがあるんだろうと思って…」

もしかして…とノーマはつぶやくと考え込んでしまった。
僕は、正直言って混乱していた。
少し気になってとマールとロイスの方を見たが、ディーの結界が張ってあったようで僕とノーマの話は漏れていないようだった。

考え込んで黙ってしまったノーマを見て僕は首を傾げた。


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