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第六章 運命の一年間
123 門番さん
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ノルンにエスコートされて王宮へ行くことになった。
奥の間を出るといつもの門番さんにも誕生日を祝われた。
「どうかしましたか?」
僕の様子に門番さんは、優しく微笑む。
門番さんは、元陛下の剣術指南役で陛下にとってはもう一人の父親のような人らしい。
本当は、側近の一人として支えてほしいと陛下は思っていたらしいが、門番さんが断った。
陛下を見守るという任務に就きたいという彼の希望を検討した結果、奥の間の警護主任という立場になったという。
彼の名を僕は知らない。
奥の間にいる者の中では陛下しか知らないという。
だから皆門番さんや門番様と呼んでいる。
噂では今でも陛下より強いのではないかと言う噂のある老騎士。
王宮でもあまり彼を知るものがいないという不思議な人でもある。
「いえ…」
門番さんは、深いしわのある顔を柔和に微笑ませて僕の言葉を促した。
「ラスティ様、何か不安がおありなのでは?」
僕は、どうしようかと思っていると勝手に口が動いた。
『…その…16になったということは…そろそろ子をと議会で陛下が言われていると…聞いていたので…』
門番さんは、ああと頷いた。
『俺』のやつぅと内心思いながら顔が赤くなる。
なんてことを門番さんに相談させるんだ。
「ああ…そのことですか…お気になさらず、成人してからゆっくり考えればよいことです。確かにしばらくうるさいかもしれませんが…」
ええと『俺』は頷いた。
『陛下もそうおっしゃいましたが…側室の話も多く出ているとも聞きますから…』
僕は、以前聞いたことがあるなとは思い出したが、陛下が否定していたのでなくなったものと考えていた。まだまだあるらしく有力な貴族から息子をという声が上がっていると『俺』がため息交じりに門番さんに言う。
門番さんにというよりは、僕に聞かせてるのだろう。
このまま王宮に行って噂を耳にする前にと『俺』なりの気遣いのようだが。
門番さんは、苦笑する。
『それに…聖者リオンをとの声も…』
僕は内心、ええ??と思う。
それは知らなかった。
門番さんは、おやおやと笑う。
黙って聞いていたノルンが、少し憤慨したように答えた。
「あくまで噂で、それは無いでしょう。」
ご心配なさらずと笑う門番さんに、『俺』はそうですねと頷く。
「ラスティ様は今日引きこもりたいとおっしゃっていたのは…その噂ですか?」
『俺』は軽く首を横に振った。
『まぁ…色々…思うところもあって。』
たしかにいろいろ考えたけども。
僕がそう思っているとノルンが、首を傾げた。
「陛下はラスティ様が18歳になるまでは待つと宣言されていますし…それまでにラスティ様が別の人を選んだらそれも受け入れると…」
『俺』は、そうだねと頷く。
『うーん…それなんだよねぇ。』
ノルンは『俺』の言葉に首を傾げた。
「なにか?」
『俺』は少し拗ねたようにつぶやく。
『だって…陛下にとっては…僕は他の人に譲れるくらいの価値なんだよね?』
ノルンは、青くなる。
門番さんはおやおやと苦笑した。
僕は『俺』の言葉にだよねぇと思う。
陛下は、ラスティをいつでも手放せるように、一歩引いている。
それはなんとなく感じていた。
まぁ…一瞬でも独占欲を感じてしまった僕がいう事ではないが。
「違います…陛下は…本当に…」
分かっているよと頷く『俺』にノルンは言葉を探しているようだった。
門番さんは、そうですねと頷いた。
「まぁ…もう少し待ってやってくださいラスティ様。」
僕はおや?と思う。
『俺』も同じことを思ったようだった。
門番さんは微笑んでいる。
「手放す気なら、もっとはやく手放しているでしょう。陛下は、ラスティ様を手元に置きたいと願っておられますから…ご安心ください。ふふ…」
門番さんの態度に僕は首をかしげる。
『俺』はそっと僕と入れ替わっていた。
「ああ…失礼しました、陛下はラスティ様に対しては少し臆病になっているなと…いつでも手放すことができるようにと考えているようですが…無理なのでしょうなと…。」
ノルンも頷く。
「ええ、陛下は手放す気はないでしょうね。」
頷きあう二人に僕は困惑するだけだった。
奥の間を出るといつもの門番さんにも誕生日を祝われた。
「どうかしましたか?」
僕の様子に門番さんは、優しく微笑む。
門番さんは、元陛下の剣術指南役で陛下にとってはもう一人の父親のような人らしい。
本当は、側近の一人として支えてほしいと陛下は思っていたらしいが、門番さんが断った。
陛下を見守るという任務に就きたいという彼の希望を検討した結果、奥の間の警護主任という立場になったという。
彼の名を僕は知らない。
奥の間にいる者の中では陛下しか知らないという。
だから皆門番さんや門番様と呼んでいる。
噂では今でも陛下より強いのではないかと言う噂のある老騎士。
王宮でもあまり彼を知るものがいないという不思議な人でもある。
「いえ…」
門番さんは、深いしわのある顔を柔和に微笑ませて僕の言葉を促した。
「ラスティ様、何か不安がおありなのでは?」
僕は、どうしようかと思っていると勝手に口が動いた。
『…その…16になったということは…そろそろ子をと議会で陛下が言われていると…聞いていたので…』
門番さんは、ああと頷いた。
『俺』のやつぅと内心思いながら顔が赤くなる。
なんてことを門番さんに相談させるんだ。
「ああ…そのことですか…お気になさらず、成人してからゆっくり考えればよいことです。確かにしばらくうるさいかもしれませんが…」
ええと『俺』は頷いた。
『陛下もそうおっしゃいましたが…側室の話も多く出ているとも聞きますから…』
僕は、以前聞いたことがあるなとは思い出したが、陛下が否定していたのでなくなったものと考えていた。まだまだあるらしく有力な貴族から息子をという声が上がっていると『俺』がため息交じりに門番さんに言う。
門番さんにというよりは、僕に聞かせてるのだろう。
このまま王宮に行って噂を耳にする前にと『俺』なりの気遣いのようだが。
門番さんは、苦笑する。
『それに…聖者リオンをとの声も…』
僕は内心、ええ??と思う。
それは知らなかった。
門番さんは、おやおやと笑う。
黙って聞いていたノルンが、少し憤慨したように答えた。
「あくまで噂で、それは無いでしょう。」
ご心配なさらずと笑う門番さんに、『俺』はそうですねと頷く。
「ラスティ様は今日引きこもりたいとおっしゃっていたのは…その噂ですか?」
『俺』は軽く首を横に振った。
『まぁ…色々…思うところもあって。』
たしかにいろいろ考えたけども。
僕がそう思っているとノルンが、首を傾げた。
「陛下はラスティ様が18歳になるまでは待つと宣言されていますし…それまでにラスティ様が別の人を選んだらそれも受け入れると…」
『俺』は、そうだねと頷く。
『うーん…それなんだよねぇ。』
ノルンは『俺』の言葉に首を傾げた。
「なにか?」
『俺』は少し拗ねたようにつぶやく。
『だって…陛下にとっては…僕は他の人に譲れるくらいの価値なんだよね?』
ノルンは、青くなる。
門番さんはおやおやと苦笑した。
僕は『俺』の言葉にだよねぇと思う。
陛下は、ラスティをいつでも手放せるように、一歩引いている。
それはなんとなく感じていた。
まぁ…一瞬でも独占欲を感じてしまった僕がいう事ではないが。
「違います…陛下は…本当に…」
分かっているよと頷く『俺』にノルンは言葉を探しているようだった。
門番さんは、そうですねと頷いた。
「まぁ…もう少し待ってやってくださいラスティ様。」
僕はおや?と思う。
『俺』も同じことを思ったようだった。
門番さんは微笑んでいる。
「手放す気なら、もっとはやく手放しているでしょう。陛下は、ラスティ様を手元に置きたいと願っておられますから…ご安心ください。ふふ…」
門番さんの態度に僕は首をかしげる。
『俺』はそっと僕と入れ替わっていた。
「ああ…失礼しました、陛下はラスティ様に対しては少し臆病になっているなと…いつでも手放すことができるようにと考えているようですが…無理なのでしょうなと…。」
ノルンも頷く。
「ええ、陛下は手放す気はないでしょうね。」
頷きあう二人に僕は困惑するだけだった。
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