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〜序章〜

〜序章〜 あなたの正体が分かりません!

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 (え…?俺、死ぬの…?)


 色んな人の悲鳴、スマホで録画をする音、パトカーのサイレンの音、救急車のサイレンの音。

 
 死にゆく凪の耳には様々な雑音が入り交じっていた。


 (そうか…俺死ぬのか…)


 見れば、脇腹からは血が吹き出ており、目の前にある救急隊員の男性の顔が霞んで見える。

 
 何を言っているのかも聞こえない。
 まるで水中に居るように。


 (そうか…死ぬのか…仕方ないよな…刺されたんだもんな…)


 凪はどこか、諦めるような考えに至っていた。そして次第に瞼が重くなり、目を閉じる。救急隊員の声が遠くなる。


 「……。……。きろ…。」


 (…?…!)


 「どっ、何処だよ…ここ…?」
 

 目が覚めるとそこは、まるで全てが光で包まれているかのように辺り一面白く、何も無い空間であった。
 凪は仰向けに寝ており、慌てて上半身を起こすと、


 (誰かに呼びかけられてたような…?)


 そんな気がし、何気なく振り返る。
すると、

 
 「……ぅ、うわぁぁぁぁ?!だっ…誰?! 誰だ?! 俺を殺した犯人か?!」



 振り返るとそこには、白いフードのような物を被った、人間が一人立っていた。



 「まあ落ち着け童。儂は…言わば転生先への案内人じゃな?端的に言おう。神じゃ。」


 自分を親指で指し、くいっくいっと強調しては。

    ・
 「童は先、通り魔に刺され死んだじゃろ?じゃから、この空間に飛ばされた。分かるな?」


 顔は見えなくとも、その声は柔らかく落ち着きがある、年上の女性のような声だった。


 「い……いやいや…落ち着けねえし…しかも何訳わかんねえ事を…なんだよ案内人って…?でも何で俺が、通り魔に刺されて死んだ事を…?」


 「じゃから、言っておろう?儂は神じゃぞ?何でも知っておる…と言うか儂がそうした。」


 溜息をつき、腕を組む。そしてどこか傲慢さを感じるような言葉遣いでそう淡々と話し。意味深なことを告げる。


 「何でも?じゃあ俺だけが知っている事言ってみろよ!当たってたら、その…神だ?ってのも信じてやる!」


 すっと立ち上がり、距離を取りつつそう言い放つ。すると神は


 「ふむ…中学二年生の時、イキってタトゥーシールを腕に貼り、消し方が分からず部屋で一人泣きながらティッシュで擦っていた。」



 誰も居ない空間だが、神と名乗る者はでかでかと、大きな声出そう言い放つ。
 凪の顔は真っ赤であり、


 「わっ、分かった!!分かった信じる!信じるからよぉ…」



 シー…シー…と顔を真っ赤にしながらハンドシグナルをして。



「でもそうしたって事は、アンタが俺が死ぬように操作したって事か?何でそんな事を…?俺はまだ未練が…」


 「まあ待て。勿論、儂も理由が無く童が死ぬようにしたのではい。落ち着いて聞け。」
 


 神は、しっかりと凪の目を見て、こう言った。





 「童に、救ってもらいたい世界がある」
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