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クク王子視点
シオンの姪のアンジュリンと一緒にいると皇女とその他の子供達が集まって来た。
皇女は確かエリザベート。マティアス殿下の腹違いの妹らしい。
僕にはあまり好感は持ってないみたいだ。腕を組んであからさまにじろじろ見ている。
「ふーん、ジグリアだけどあんまり茶色じゃないのね。」
肌の事を言っているのだろう。
アンジュリンが何も言えない僕とエリザベートの間に割って入って、
「皇女殿下、ご挨拶申し上げます。」
優雅にカーテシーをしてみせる。
僕もあわてて帝国式のお辞儀をしたが、皇女はふんぞり返ったままだ。
「まあ?皇女様?淑女はお辞儀をされたらお返しするのではないの?わたくしの間違いかしら?」
頬に手をあてて、コテンと小首をかしげる。
回りの大人の一人が「ぶっ!」と吹き出した。
皇女はそれを見てばつが悪そうに渋々カーテシーをして、
「アンジュリン様、こんなジグリアと一緒にいては良いご縁が得られないわよ。」
そうか、シオンは一緒にいろと言ったけど、アンジュリンには迷惑だったんだ。当然だよね、悪いことしちゃった。
敗戦国の王子。それが僕の身分だ。
「クク王子は一国の王子ですのよ?帝国の皇族に次ぐ身分、公爵家同等と習いましたけど違いますの?」
「まあっ!アンジュリン様ったらそんな事本気で言ってるの?
ねえ、リシャルテ公爵家のリリアナ様、メリーアン様。あなた達とジグリアが同じ身分ですってよ?」
「嫌ですわ…そんな。」
リリアナと呼ばれる娘が眉をひそめる。
メリーアンは、
「一緒にしないで下さい。不愉快ですわ。まあ…伯爵家から養女になられたあなたならそうね。そうだわ、あなた達お似合いなんじゃない?
あはははは。」
他の子供達も笑った。
僕は申し訳ない気持ちと情けなさで涙がこぼれそうなのをこらえるのに必死だった。
「でもきっとダメよ。贅沢なアンジュリン様がジグリアなんかに嫁ぐはずないもの。」
「そうよね、ドレスも宝石もない所なんて我慢できるはずないもの。」
反論はできない。帝国に来て思い知った。城にしたって工業技術にしたって、まったく規模が違う。経済力に圧倒的な差があるんだ。
アンジュリン、もう僕なんて庇わなくていいのに。
「おかしな事をおっしゃるのね。ドレスや宝石が無いなら買えばいいじゃない?」
きょとんとした顔をして答える。
「「「………。」」」
「ぷっ!あーははははっ!」
「ばかなの?はははは!お金がないから買えないのに!」
「さすが、伝説の悪女の娘ね。」
「あはは、何それー!」
「相手にするのも馬鹿らしいわ!あちらに参りましょ、皆様。」
嘲笑いながら去って行った。
「アンジュリン…ごめんね。僕なんかといたばっかりに…。」
「ご自分を卑下なさってはいけませんわ。クク王子ほどの貴いお方はおりませんのに。」
世間知らずを馬鹿にされる必要は無いんだ。
だってアンカレラ公爵家は個人の資産なら皇室をしのぐほどを持っている大金持ちだ。
馬鹿でも世間知らずでも、綺麗な物だけ見て幸せに暮らしていけるもの。
「皆様本当に馬鹿なのかしら?お金がないなら稼げばよろしいのに。」
アンジュリン?
「ねえ、クク王子。ジグリアには鉱山資源が沢山あるのをご存じ?
わたくしとご縁を結んでいただけたら採掘の技術提供と資金援助をアンカレラ公爵家がお約束いたしますわ。」
「アンジュリン、君は…。」
彼女は世間知らずでも馬鹿でもなかった。
「うふふっ、わたくしの事、野心家だと思ったでしょ?」
言葉とは裏腹に実に無邪気で愛らしい笑顔を見せた。
「だってお金は大事よ。
愛はお金で買えないっていうけど、愛を失ってもお金があれば生きていけるもの。」
シオンの姪のアンジュリンと一緒にいると皇女とその他の子供達が集まって来た。
皇女は確かエリザベート。マティアス殿下の腹違いの妹らしい。
僕にはあまり好感は持ってないみたいだ。腕を組んであからさまにじろじろ見ている。
「ふーん、ジグリアだけどあんまり茶色じゃないのね。」
肌の事を言っているのだろう。
アンジュリンが何も言えない僕とエリザベートの間に割って入って、
「皇女殿下、ご挨拶申し上げます。」
優雅にカーテシーをしてみせる。
僕もあわてて帝国式のお辞儀をしたが、皇女はふんぞり返ったままだ。
「まあ?皇女様?淑女はお辞儀をされたらお返しするのではないの?わたくしの間違いかしら?」
頬に手をあてて、コテンと小首をかしげる。
回りの大人の一人が「ぶっ!」と吹き出した。
皇女はそれを見てばつが悪そうに渋々カーテシーをして、
「アンジュリン様、こんなジグリアと一緒にいては良いご縁が得られないわよ。」
そうか、シオンは一緒にいろと言ったけど、アンジュリンには迷惑だったんだ。当然だよね、悪いことしちゃった。
敗戦国の王子。それが僕の身分だ。
「クク王子は一国の王子ですのよ?帝国の皇族に次ぐ身分、公爵家同等と習いましたけど違いますの?」
「まあっ!アンジュリン様ったらそんな事本気で言ってるの?
ねえ、リシャルテ公爵家のリリアナ様、メリーアン様。あなた達とジグリアが同じ身分ですってよ?」
「嫌ですわ…そんな。」
リリアナと呼ばれる娘が眉をひそめる。
メリーアンは、
「一緒にしないで下さい。不愉快ですわ。まあ…伯爵家から養女になられたあなたならそうね。そうだわ、あなた達お似合いなんじゃない?
あはははは。」
他の子供達も笑った。
僕は申し訳ない気持ちと情けなさで涙がこぼれそうなのをこらえるのに必死だった。
「でもきっとダメよ。贅沢なアンジュリン様がジグリアなんかに嫁ぐはずないもの。」
「そうよね、ドレスも宝石もない所なんて我慢できるはずないもの。」
反論はできない。帝国に来て思い知った。城にしたって工業技術にしたって、まったく規模が違う。経済力に圧倒的な差があるんだ。
アンジュリン、もう僕なんて庇わなくていいのに。
「おかしな事をおっしゃるのね。ドレスや宝石が無いなら買えばいいじゃない?」
きょとんとした顔をして答える。
「「「………。」」」
「ぷっ!あーははははっ!」
「ばかなの?はははは!お金がないから買えないのに!」
「さすが、伝説の悪女の娘ね。」
「あはは、何それー!」
「相手にするのも馬鹿らしいわ!あちらに参りましょ、皆様。」
嘲笑いながら去って行った。
「アンジュリン…ごめんね。僕なんかといたばっかりに…。」
「ご自分を卑下なさってはいけませんわ。クク王子ほどの貴いお方はおりませんのに。」
世間知らずを馬鹿にされる必要は無いんだ。
だってアンカレラ公爵家は個人の資産なら皇室をしのぐほどを持っている大金持ちだ。
馬鹿でも世間知らずでも、綺麗な物だけ見て幸せに暮らしていけるもの。
「皆様本当に馬鹿なのかしら?お金がないなら稼げばよろしいのに。」
アンジュリン?
「ねえ、クク王子。ジグリアには鉱山資源が沢山あるのをご存じ?
わたくしとご縁を結んでいただけたら採掘の技術提供と資金援助をアンカレラ公爵家がお約束いたしますわ。」
「アンジュリン、君は…。」
彼女は世間知らずでも馬鹿でもなかった。
「うふふっ、わたくしの事、野心家だと思ったでしょ?」
言葉とは裏腹に実に無邪気で愛らしい笑顔を見せた。
「だってお金は大事よ。
愛はお金で買えないっていうけど、愛を失ってもお金があれば生きていけるもの。」
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