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クラウディア視点
なんともよくあるストーリーだ。
俺がこいつに惚れるなどありえんのだが、こいつの頭の中では原作が優先されているのだろう。
「でも困りましたわね。リリアンはとても良い娘なのですよ。」
「そんなのは君の前で猫かぶっているだけだ。」
「カイル殿下だってそんなにバカじゃございませんし。」
「私のほうが皇太子に相応しい!」
何を根拠に?
「どうしたら良いのかしら?」
「とにかく、リリアンをそそのかして連れてきてくれないか?」
「そしたらリリアンと…いたすのでしょう?わたくしの想う方がリリアンとなさるなんて…。」
両腕をつかみすがるように、
「仕方ないんだ、本当は君を愛しているんだけどわかってくれ。」
キモい。心底キモいんだが。
ちょっとマジでやめてくれないかな?
抱きしめて何する気?
顔がだんだん近づいてくる。
ぞわぞわする。
「いけませんわ!」
「本当は私だって君としたいんだ。だから今…。」
ぎゃー!唇を突きだすんじゃねぇっ!
もう限界だった。
握った拳がアレン殿下の左頬を撫でた。
か弱いわたくしが殿下を殴るはずございませんもの。
そう、撫でただけですのに後ろにすっ飛びあそばしましたわ。
「ああああああっ!きっしょっっっ!てめぇいい加減にしろよ!全身鳥肌たつわ!」
「なっ、なっ、何を?」
無様に床にへたりこんで何が起こったか分からないという様子だ。
「リリアン!もう出てきていいぞ。」
念のため物陰でリリアンに様子を伺ってもらっていた。
万が一危ない事になりそうなら笛を吹いて衛兵を呼んでもらう為。よけいな心配だった、こいつへなちょこだぜ。
「騙したのか?」
「用心しただけですわ。」
「クラウディア、さてはお前も転生者だな?」
「当たり。」
「ならわかるだろ?二人でハッピーエンドにしよう。」
「は?キモいっつてんだろ?」
リリアンがごそごそ植え込みから出てきた。頭に葉っぱを乗っけて。まったく何をやらせてもあざといぜ。
「キモい!あんたなんかとやったって気持ち悪いだけ!想像しただけでも吐き気がする。」
「そんなはずはない、お前はいやらしい奴なんだよ!そういうふうに私が作ったんだ。おっぱいを大きくしたのも、そのバカみたいな名前をつけたのもみんな私だ!私がこの世界の神なんだ!」
「神様なんて前世も今も何もしてくれないじゃない!どんなにお願いしてもカビたパンのひと欠片さえくれなかった。私を救ってくれたのも名前を付けてくれたのもおばあ様だよ。あんたなんかじゃない。」
「ハッ!だからどうだって?助けられたとしてもお前は卑しい身分のままだ。この世界のヒロインはクラウディアで生まれながらにすべてを持ち、愛されるのも高みから見下ろすのもクラウディアだ!お前はどう足掻いても一生地べたに這いつくばり卑しく惨めに死ぬ運命だ。クラウディアを妬みながらな!」
なんともよくあるストーリーだ。
俺がこいつに惚れるなどありえんのだが、こいつの頭の中では原作が優先されているのだろう。
「でも困りましたわね。リリアンはとても良い娘なのですよ。」
「そんなのは君の前で猫かぶっているだけだ。」
「カイル殿下だってそんなにバカじゃございませんし。」
「私のほうが皇太子に相応しい!」
何を根拠に?
「どうしたら良いのかしら?」
「とにかく、リリアンをそそのかして連れてきてくれないか?」
「そしたらリリアンと…いたすのでしょう?わたくしの想う方がリリアンとなさるなんて…。」
両腕をつかみすがるように、
「仕方ないんだ、本当は君を愛しているんだけどわかってくれ。」
キモい。心底キモいんだが。
ちょっとマジでやめてくれないかな?
抱きしめて何する気?
顔がだんだん近づいてくる。
ぞわぞわする。
「いけませんわ!」
「本当は私だって君としたいんだ。だから今…。」
ぎゃー!唇を突きだすんじゃねぇっ!
もう限界だった。
握った拳がアレン殿下の左頬を撫でた。
か弱いわたくしが殿下を殴るはずございませんもの。
そう、撫でただけですのに後ろにすっ飛びあそばしましたわ。
「ああああああっ!きっしょっっっ!てめぇいい加減にしろよ!全身鳥肌たつわ!」
「なっ、なっ、何を?」
無様に床にへたりこんで何が起こったか分からないという様子だ。
「リリアン!もう出てきていいぞ。」
念のため物陰でリリアンに様子を伺ってもらっていた。
万が一危ない事になりそうなら笛を吹いて衛兵を呼んでもらう為。よけいな心配だった、こいつへなちょこだぜ。
「騙したのか?」
「用心しただけですわ。」
「クラウディア、さてはお前も転生者だな?」
「当たり。」
「ならわかるだろ?二人でハッピーエンドにしよう。」
「は?キモいっつてんだろ?」
リリアンがごそごそ植え込みから出てきた。頭に葉っぱを乗っけて。まったく何をやらせてもあざといぜ。
「キモい!あんたなんかとやったって気持ち悪いだけ!想像しただけでも吐き気がする。」
「そんなはずはない、お前はいやらしい奴なんだよ!そういうふうに私が作ったんだ。おっぱいを大きくしたのも、そのバカみたいな名前をつけたのもみんな私だ!私がこの世界の神なんだ!」
「神様なんて前世も今も何もしてくれないじゃない!どんなにお願いしてもカビたパンのひと欠片さえくれなかった。私を救ってくれたのも名前を付けてくれたのもおばあ様だよ。あんたなんかじゃない。」
「ハッ!だからどうだって?助けられたとしてもお前は卑しい身分のままだ。この世界のヒロインはクラウディアで生まれながらにすべてを持ち、愛されるのも高みから見下ろすのもクラウディアだ!お前はどう足掻いても一生地べたに這いつくばり卑しく惨めに死ぬ運命だ。クラウディアを妬みながらな!」
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