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   クラウディア視点

「クラウディア様、ちょっとレイモンド様に注意して下さい。私の為にお金を使いすぎです。お家の人に叱られないんですか?」
 レイモンドがリリアンに家を贈ったそうだ。
「あいつ個人の金だから大丈夫だよ。
 自分の領地を持ってるし、投資で儲けてるらしい。
 今まで使い道がなかった金だから遠慮しなくていいさ。
 そうだ、南の島を買ってもらおうぜ。」
「バカなこと言わないで!本当に買いそうで怖い。」
 その後、島ではないが湖の近くの別荘は買ったらしい。
 ある意味リリアンの選択は間違いではなかっただろう。皇室は金はあるようで自由には使えない。カイル殿下ではこんな贅沢はさせてやれなかった。
 ただ想像以上にレイモンドがリリアンにのめり込んでいるようで怖い。
 ほったらかしにしていたアレン殿下だが、不気味なほど接触して来ない。
 カイル殿下に殴られた跡がよっぽどひどいのか?
 放っておいても良さそうだが、やっぱり知っている情報があるなら知りたいのが本音だ。
 リリアンが俺が転生者だという事を秘密にした事を利用しよう。
 内密にアレン殿下の宮を訪問した。
 何かあればすぐに逃げられるように庭園で話す事を提案する。
 やっぱりまだ殴られた跡が残っているから社交界には出てこれなかったようだ。いいきみだ。
「わたくし、アレン殿下が理由もなくあのような事をなさるとは信じられなくて…。」
 しおらしい令嬢を装うと、
「そうなんだ!ああ、やっぱりクラウディアは私を想ってくれていたんだね。」
 いやなぜそうなる?
「実はね、あれはリリアンにやってもらわなくてはならない事があって、あいつを喜ばせなくてはならなかったんだ。」
 は?…はぁっ?
 喜ばすために強姦ってどこのエロマンガだよ?
「こんな事清らかな君には聞かせたくないんだけど、あいつはすごい男好きで抱かれた男の言うことなら聞いてくれるはずだったんだ。」
 きしょっ!
 だがここは我慢して聞かなければ。
 ハンカチを握りしめ怒りで震える口元を隠す。
「それで…リリアンに何をさせたかったのです?」
「実はね、信じられない事だろうけどこの世界を作ったのは私なんだ。」
「ええっ?」
「あ、作ったって言うか、ここは私が書いた小説の世界なんだ。」
 作者?
 作者がこんなクズだったなんて…どうりで腐った世界だ。
「よく…理解できませんわ。」
「だろうね。
 だけどね、リリアンはこの世界を壊す存在なんだ。私はリリアンに原作どうりの正しい行動をしてもらいたかっただけなんだ。
 この小説のヒロインはクラウディア、君なんだよ。
 君をヒロインにするためにはリリアンにカイルを誘惑してもらわないといけないんだ。」
 ますます意味がわからん。
「リリアンに誘惑されたカイルは真実の愛をみつけたと、君に婚約破棄を言い渡す。
 君はリリアンとカイルのでっち上げの罪で断罪されるけれど、そんな事実は無いし、カイルのふるまいは皇太子に相応しくないと廃嫡されるんだ。」
 なるほど、それが原作のストーリーか。
 そしてお前が皇太子になり、俺と結婚(おぇっ)するってか?
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