18 / 81
第1章
友達が欲しいのです
しおりを挟む
sideアイ
船から下りると、爽やかな風が吹き抜けた。
サン国に比べて少し涼しい気がする。
港町の風景から、異国に来たという実感が湧く。
私はノアとルークくん、それからアリスさんとレイさんと共にアン国へ到着した。
大きな馬車に乗り込み、全員でマクファーソン家を目指した。
隣に座っているルークくんはすっかり寝てしまって、私の肩に寄りかかっている。
赤茶の髪を撫でると、この間のノアを思い出した。
あれから、ノアと話すのがちょっと恥ずかしい。
あの夜は何も考えていなかったけどそう言えば私は同級生の男子に触った経験などないはず。
思い返せば距離もすごく近かった。
相当恥ずかしいことをした。
ルークくんを挟んで横にいるノアを盗み見る。
ノアはあの日のことなど全く気にしている様子はない。
私が一方的に意識してしまっているのは、慣れていないからだ。
ただ、それだけ。
あの日はノアを近くに感じたけど、また遠ざかってしまったみたいで悔しい。
私は結構負けず嫌いみたいだ。
٭❀*
「お帰りなさいませ」
玄関で数人の使用人さんがお辞儀で出迎えてくれた。
す、すごい。
やっぱり相当お金持ちなんだ。
サン国の別荘もすごかったけど、本宅はもっと豪華なんだ…。
馬車から降りてからずっとキョロキョロしている私を不思議そうな目でノアとルークくんが見ていた。
「アイ、どうしたの?」
「アイちゃんぐあいわるい?」
「な、何でもないよ!」
「アイの部屋を用意して貰ったから、ベティに案内してもらって。分からないことがあれば全部彼女に聞けば教えてくれるから」
後ろを向くと、モカブラウンの髪の女の子が立っていた。
私と同じくらいの歳に見える。
「ベティ・ハドソンです!よろしくお願いします!」
可愛い~。
愛くるしい笑顔は、向けられると頬が緩んでしまう。
「アイと言います、よろしくお願いします」
緩んだ顔のまま取り敢えず挨拶をした。
「私のことはベティって呼んでくださいね!あと、敬語は取ってください」
「ベティ…は、歳は同じかな?」
いきなりの呼び捨てに躊躇いながらも言ってみる。
くりっとした大きな目が輝いた。
「先月で14になりました」
「そうなんで………そうなんだ」
同じだ!
でも、使用人としては先輩になるのかな。
仲良くなりたいな…。
「歳が同じだから話しやすいだろ?ベティはアイの教育係ってところな。小さいけど仕事は早いし正確なんだよ」
「ノア様、小さいは余計です!…さっ、アイ様。お部屋に案内しますわ」
アイ「様」って…。
聞き慣れなくてむずむずする。
「ベティ、様付けしなくて良いよ、私もマクファーソン家の使用人だし。歳も同じだから」
「何を仰っているんですか!アイ様は今日からラッセル家のお人ですわ。しかも、ルーク様の命の恩人だとお聞きしましたわ」
うーーん…。
確かにそうとも言うんだけど、大袈裟なんだよなぁ。
今日から私はアイ・ラッセルとして生活させてもらえるわけだけど、そんなの形だけだし、ルークくんの命の恩人って言い過ぎな気がするし…。
それと、1番ベティに言いたいことは。
「あのね、ベティ。私実は記憶がまだ戻ってなくて女の子の友達がいないから…」
恥ずかしくて声が小さくなってしまった。
「友達になって欲しいの」
聞こえたかな?
ベティは黙って震えている。
どうしたんだろう。
…もしかして、嫌なのかな?
「ご、ごめんね。変なこと言っ………」
「もちろんですわ!!!!!私がいくらでも友達になりますわ!!!!!」
ベティは叫びながら私に熱い抱擁。
く、苦しい…。
船から下りると、爽やかな風が吹き抜けた。
サン国に比べて少し涼しい気がする。
港町の風景から、異国に来たという実感が湧く。
私はノアとルークくん、それからアリスさんとレイさんと共にアン国へ到着した。
大きな馬車に乗り込み、全員でマクファーソン家を目指した。
隣に座っているルークくんはすっかり寝てしまって、私の肩に寄りかかっている。
赤茶の髪を撫でると、この間のノアを思い出した。
あれから、ノアと話すのがちょっと恥ずかしい。
あの夜は何も考えていなかったけどそう言えば私は同級生の男子に触った経験などないはず。
思い返せば距離もすごく近かった。
相当恥ずかしいことをした。
ルークくんを挟んで横にいるノアを盗み見る。
ノアはあの日のことなど全く気にしている様子はない。
私が一方的に意識してしまっているのは、慣れていないからだ。
ただ、それだけ。
あの日はノアを近くに感じたけど、また遠ざかってしまったみたいで悔しい。
私は結構負けず嫌いみたいだ。
٭❀*
「お帰りなさいませ」
玄関で数人の使用人さんがお辞儀で出迎えてくれた。
す、すごい。
やっぱり相当お金持ちなんだ。
サン国の別荘もすごかったけど、本宅はもっと豪華なんだ…。
馬車から降りてからずっとキョロキョロしている私を不思議そうな目でノアとルークくんが見ていた。
「アイ、どうしたの?」
「アイちゃんぐあいわるい?」
「な、何でもないよ!」
「アイの部屋を用意して貰ったから、ベティに案内してもらって。分からないことがあれば全部彼女に聞けば教えてくれるから」
後ろを向くと、モカブラウンの髪の女の子が立っていた。
私と同じくらいの歳に見える。
「ベティ・ハドソンです!よろしくお願いします!」
可愛い~。
愛くるしい笑顔は、向けられると頬が緩んでしまう。
「アイと言います、よろしくお願いします」
緩んだ顔のまま取り敢えず挨拶をした。
「私のことはベティって呼んでくださいね!あと、敬語は取ってください」
「ベティ…は、歳は同じかな?」
いきなりの呼び捨てに躊躇いながらも言ってみる。
くりっとした大きな目が輝いた。
「先月で14になりました」
「そうなんで………そうなんだ」
同じだ!
でも、使用人としては先輩になるのかな。
仲良くなりたいな…。
「歳が同じだから話しやすいだろ?ベティはアイの教育係ってところな。小さいけど仕事は早いし正確なんだよ」
「ノア様、小さいは余計です!…さっ、アイ様。お部屋に案内しますわ」
アイ「様」って…。
聞き慣れなくてむずむずする。
「ベティ、様付けしなくて良いよ、私もマクファーソン家の使用人だし。歳も同じだから」
「何を仰っているんですか!アイ様は今日からラッセル家のお人ですわ。しかも、ルーク様の命の恩人だとお聞きしましたわ」
うーーん…。
確かにそうとも言うんだけど、大袈裟なんだよなぁ。
今日から私はアイ・ラッセルとして生活させてもらえるわけだけど、そんなの形だけだし、ルークくんの命の恩人って言い過ぎな気がするし…。
それと、1番ベティに言いたいことは。
「あのね、ベティ。私実は記憶がまだ戻ってなくて女の子の友達がいないから…」
恥ずかしくて声が小さくなってしまった。
「友達になって欲しいの」
聞こえたかな?
ベティは黙って震えている。
どうしたんだろう。
…もしかして、嫌なのかな?
「ご、ごめんね。変なこと言っ………」
「もちろんですわ!!!!!私がいくらでも友達になりますわ!!!!!」
ベティは叫びながら私に熱い抱擁。
く、苦しい…。
0
あなたにおすすめの小説
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる