初恋と悪あがき

村上りく

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第1章

波紋 3

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sideアイ

ルーシュベルト魔法学校はアン、アール、サン、キャトル、フィーア、ピャーチの6大国のちょうど真ん中にあるコソング島の半分以上の面積を占めている巨大な学校。
魔法学校の中では最難関と言われていて、多くの凄腕魔法医や有名な研究者を輩出している。
化学と魔法の発達の賜物と言われている「魔動式列車」を使って登下校することで船で2日以上かかるのを1時間に抑えた。
そのため、寮で生活しなくても良いので年々受験者数が増えている。
超人気学校だ。

私はノア、それからルークくんと一緒に魔動式列車に乗り学校を目指した。

はっやい…。

恐るべし現代技術、だ。
あっという間に目的地に着いた。



「ルーシュベルト魔法学校」
校門前には大きな銘板があった。
銀色に光る大きな門をくぐり、緑豊かな並木道を歩くと校舎が見えてきた。
磨き抜かれた窓と白い壁がキラキラしている。
校舎内には金の校章の刺繍が煌めく紺色のブレザーを着た生徒がパンフレットを配っている。
約1時間、生徒や学校長の挨拶は続いた。
その後は来校者お待ちかねのアピールタイムだ。
校舎内を自由見学して良い時間になると、一斉に「個別相談」の旗の前に行列ができた。

「少し出遅れちゃったね。俺たちは校内を回って、昼食をとった後で並ぶか?」

ノアの提案に賛成し、体育館や教室などを見て回った。
設備がどこも充実している。
お昼時に、食堂へ足を運んだ。

「すごぉーい!ぼくもこの学校にいきたいな」

広くて綺麗な食堂を見てルークくんがはしゃいでいる。
高級レストランみたいだ。
私、すごく場違いな気がする…。
一応9月から通う予定の学校の制服を用意してもらったので着てきた。
服装的には浮いてないかもしれないけど、ノアやルークくんを含め、周りにいる人たちはオーラがすごい。
きっと良い家柄の人達ばかりなんだろう。


「あそこの席空いてるから……」

「ほんとだ座ろっか……ノア?」

ノアは入口の方を見て動きを止めた。

「ロミさん…?」

呟いて、走り出した。
ロミさんって昨日の?
暫くするとノアはプラチナブロンドの髪を1つにまとめ、白衣を着た女性と一緒に戻って来た。

「ルークも来てたんだ!久しぶりー」

女性はにかっと白い歯を見せて笑った。

「ロミちゃん、ひさしぶり。……ここで会うなんて、ぐうぜんだね」

ルークくんは何故か歯切れが悪い。

この人がロミさんなんだ…!
切らなかったら伸びてしまった、と言う感じの前髪に黒縁の眼鏡。
格好にはあまりこだわりがないように見える。
でも、整った顔立ちの女性。

「アイ、紹介するな。ロミルダ・アードルングさん、ここの3年生なんだ」

「この子が噂のアイちゃんかー!よろしく、ロミって呼んでよ」

「…よろしくお願いします!」

先輩だったんだ。

「ロミさん、今日は研究室に籠るんじゃないんですか?」

「うん、昨日から泊まってた。お腹すいちゃったからさー。パンでも買おうと思って来た」

「泊まりって、体壊さないでくださいよ?」

「ノアは心配症だなー」

「ロミさんは熱中すると周りが見えなくなるじゃないですか…」


………なんだろう。
ノアの雰囲気がいつもと違う。
さっきも人混みの中からロミさんを見つけた瞬間走って行ったし。
不思議と幼く見える気がする。
何より、笑顔が違うんだ。


自分でもよく分からない感情を抱えたまま、結局4人で昼食をとることになった。


٭❀*


ロミルダ・アードルングさん…ロミさんは魔法生物について研究していて、かなり優秀な成績を収めているらしい。
ロミさんとノアの会話を聞いてきても知らない単語が飛び交う。

「今から研究室見学に来る?」

ロミさんの問にどきっとした。
私が居て邪魔じゃないかな。
もしかしてノアはロミさんと2人きりになりたいんじゃないかな。
それ以上に、「これ以上2人が仲良くしているのを見たくない」と思っている自分に戸惑った。


どうしよう……。


「えっと…それじゃあ」
「アイちゃんはぼくと遊ぶんだよ!」

「行きます」と言おうとして遮られた。
ルークくんだった。

「きのう約束したもんねー?」

「あ、そうだったね」

ルークくんがそう言ってくれてほっとしてしまった。

「そうなのか。じゃあ、2人で待っててもらっても良いか?」

「いいよー。だって、ロミちゃんのところ怖い虫とかいていやだもん!」

「あはははっ。確かにそうだね、でもそれが可愛いんだけどねー」



私は豪快に笑うロミさんを愛おしそうな目で見ているノアに気づいてしまった。
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