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第2章
城島一華とアイ・ラッセル(sideノア)
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sideノア
話を少し巻き戻して、俺がクロエさんに呼び出された日の話をしよう。
٭❀*
「お邪魔します」
「よく来たね」
クロエさんはいつもと変わらない、素っ気ない対応だった。
今日俺は、アイの家に来ている。
しかし、アイは出かけているし、クロエさん以外の人間は誰もいない。
クロエさんは酸味の効いたコーヒーを出してくれた。
「美味しいです」
「そうかい。それは良かったよ」
長い沈黙だった。
まるで、クロエさんは話すのを躊躇っているようだった。
「……あたしが今日あんたを呼んだ理由は分かるかい?」
「はい」
俺はゆっくり息を吸ってから言った。
「アイの過去について続きを聞かせて下さい」
٭❀*
「最初に聞きたいことがあります。アイの昔の名前……記憶をなくす前の名前は、『城島一華』ですか?」
クロエさんのカップを掴もうとした手が止まった。
「そこまで知ってるなら話が早いね」
これではっきりした。
リュカが探している「イチカさん」はアイだ。
「その名前をどこで知ったんだい?」
俺は話した。
アイにそっくりな「イチカさん」を探している友人がいること。
彼女が2年前にいなくなったこと、俺がアイと出会った日のこと。
アイとイチカが同一人物だと辻褄が合うから、そう仮定していたこと。
「全部正解だよ、流石だね。そこまで知っていてまだ知りたいことがあるのかい?」
「ええっ、俺、クロエさんが話があるから来てくれって言われたんですよ!?」
「………覚えてたか」
舌打ちした!?
舌打ちされた!
何故、俺悪くなくないか?
「お前さんは頭が良すぎてあたしは好かないね」
えぇ……。
突然の告白に若干気落ちした。
が、しかし。
流されないぞ。
「俺が知りたいのは、どうしてアイに全部言わないのか、です」
クロエさんは笑った。
何故笑われたのかは分からない。
俺は誤魔化されないようクロエさんを見つめた。
「アイはね、………あの子は、記憶を失うのは2回目なんだよ」
「2回…目?」
「ああ、1度目はそうだ……6年ほど前だった。家族も親戚も、皆殺されたショックで倒れたんだ」
家族も、親戚も、皆…………!?
「従姉妹の誕生日パーティで親族全員が集まった時、アイの………いや、一華の父親が【オニノヤガラ病】を発症したんだ。一華の母親が彼女だけ逃がして他は全員死んだ」
「それじゃあ、アイは家族が亡くなっていることを知らないんですか……!?」
「あんたたちに会ってもう一度記憶喪失になるまでは知っていたよ。少しだけ、記憶を弄っていたけどね」
記憶を弄る?
俺がまゆをひそめるとクロエさんは教えてくれた。
「確か、毒殺された記憶にすり替えたと聞いたよ。実の父親が殺した記憶よりはマシだろうってね」
「それも残酷ですね…」
「そうだね。じゃあ、それよりも残酷なことは分かるかい?」
分からない。
まだあるのか、こんな辛い過去が。
自分の話ではないのに心臓が握り潰されそうだ。
「アイが記憶を取り戻すことだよ」
それを聞いてクロエさんの今までの行動が腑に落ちた。
「だから絶対に、守護者を目指して欲しくなかった」
アイが守護者になりたいと言った次の日、クロエさんにぶたれたと言って泣きながら電話をしてきたのを思い出した。
話を少し巻き戻して、俺がクロエさんに呼び出された日の話をしよう。
٭❀*
「お邪魔します」
「よく来たね」
クロエさんはいつもと変わらない、素っ気ない対応だった。
今日俺は、アイの家に来ている。
しかし、アイは出かけているし、クロエさん以外の人間は誰もいない。
クロエさんは酸味の効いたコーヒーを出してくれた。
「美味しいです」
「そうかい。それは良かったよ」
長い沈黙だった。
まるで、クロエさんは話すのを躊躇っているようだった。
「……あたしが今日あんたを呼んだ理由は分かるかい?」
「はい」
俺はゆっくり息を吸ってから言った。
「アイの過去について続きを聞かせて下さい」
٭❀*
「最初に聞きたいことがあります。アイの昔の名前……記憶をなくす前の名前は、『城島一華』ですか?」
クロエさんのカップを掴もうとした手が止まった。
「そこまで知ってるなら話が早いね」
これではっきりした。
リュカが探している「イチカさん」はアイだ。
「その名前をどこで知ったんだい?」
俺は話した。
アイにそっくりな「イチカさん」を探している友人がいること。
彼女が2年前にいなくなったこと、俺がアイと出会った日のこと。
アイとイチカが同一人物だと辻褄が合うから、そう仮定していたこと。
「全部正解だよ、流石だね。そこまで知っていてまだ知りたいことがあるのかい?」
「ええっ、俺、クロエさんが話があるから来てくれって言われたんですよ!?」
「………覚えてたか」
舌打ちした!?
舌打ちされた!
何故、俺悪くなくないか?
「お前さんは頭が良すぎてあたしは好かないね」
えぇ……。
突然の告白に若干気落ちした。
が、しかし。
流されないぞ。
「俺が知りたいのは、どうしてアイに全部言わないのか、です」
クロエさんは笑った。
何故笑われたのかは分からない。
俺は誤魔化されないようクロエさんを見つめた。
「アイはね、………あの子は、記憶を失うのは2回目なんだよ」
「2回…目?」
「ああ、1度目はそうだ……6年ほど前だった。家族も親戚も、皆殺されたショックで倒れたんだ」
家族も、親戚も、皆…………!?
「従姉妹の誕生日パーティで親族全員が集まった時、アイの………いや、一華の父親が【オニノヤガラ病】を発症したんだ。一華の母親が彼女だけ逃がして他は全員死んだ」
「それじゃあ、アイは家族が亡くなっていることを知らないんですか……!?」
「あんたたちに会ってもう一度記憶喪失になるまでは知っていたよ。少しだけ、記憶を弄っていたけどね」
記憶を弄る?
俺がまゆをひそめるとクロエさんは教えてくれた。
「確か、毒殺された記憶にすり替えたと聞いたよ。実の父親が殺した記憶よりはマシだろうってね」
「それも残酷ですね…」
「そうだね。じゃあ、それよりも残酷なことは分かるかい?」
分からない。
まだあるのか、こんな辛い過去が。
自分の話ではないのに心臓が握り潰されそうだ。
「アイが記憶を取り戻すことだよ」
それを聞いてクロエさんの今までの行動が腑に落ちた。
「だから絶対に、守護者を目指して欲しくなかった」
アイが守護者になりたいと言った次の日、クロエさんにぶたれたと言って泣きながら電話をしてきたのを思い出した。
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