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第2章
決戦の日 3
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sideアイ
《おい、お前なァ、負けたいのか?》
「ごめんなさい…」
《負けたら守護者になる近道が潰れるだろうが!》
権蔵さんの言葉が突き刺さる。
分かってる、分かってるけど……。
さっきの紅花ちゃんの顔と言葉が頭から離れない。
《次は絶対満点だからな》
私は力なく「はい…」と返事をした。
次は塔のてっぺんにあるボタンを押すまでのタイムを計測する高所テストだ。
テスト用に建てられた塔の「地獄の螺旋階段」に、毎年新入生は悲鳴を上げるらしい。
そして、その噂はどうやら本当のようだ。
目の前にそびえ立つ塔を見て、私は冷や汗をかいた。
これ、昨日まで無かったよね……?
私の心を読んだみたいに、権蔵さんは言った。
《テスト用に1日で造られたんだ。終わったら直ぐ無くなる》
そ、そんな。
建てるのも壊すのも早すぎじゃない?
やっぱ魔法と科学の融合ってすごいんだなぁ。
《じゃ、並ぶか》
「は、はい……」
٭❀*
1年生は皆、試行錯誤しながら塔を登っていた。
地道に登る人もいたけれど、相当大変そうだった。
これは結構頭脳戦のようだ。
列に並ぶ人は精霊と一緒に作戦を練る。
《オレらは風だからな》
「もちろん。イメージは一応、してます」
塔を登るテストは毎年恒例だと聞いていたので対策はしてきた。
いつも通りやれば、いける!
自分を奮い立たせていると、前の方から歓声があがった。
《なんだうるせェな》
「わっ…リュカくんだよ」
1年生は3日間で全クラス合同でテストを行うので、クラスが離れていても見かけることがある。
テスト中のリュカくんを見るのは初めてだった。
「火魔法をあんなに上手く使ってる…、すごい」
手から燃焼ガスを噴射させることにより、階段を使うことなく登っている。
ほぼ飛んでいる様なものだ。
約20メートルを、一瞬で登りきった。
塔のてっぺんで高らかに笑っている。
それを見て周囲の女の子たちは「リュカさま~」と声援を送っているのだ。
「確かにすごいけど……」
《天狗になりすぎだなァ、金髪小僧》
権蔵さんと私は顔を見合わせた。
リュカくんほど残念なイケメンって見たことない。
降りる時もドヤ顔が止まらないリュカくん。
ああ、まずい、目が合ってしまった。
「お、アイ!」
やめて、やめて。
女の子たちの目線が痛いんだから。
「もしかして俺のこと見てたか!?」
「うん、並んでたからね。すごかったよ」
私が正直に言うと、リュカくんは眉間に皺を寄せて硬直した。
どうしたんだろう。
「リュカくん?」と声をかけてみた。
「………らしくねぇ!!」
ずささっっと、後ろ足で距離を取られた。
………はぁ?
「気持ち悪りぃ!」
……………はぁぁぁ??
怒っているようで、顔が真っ赤だ。
リュカくんは非常に失礼な言葉を吐いて、さっさとどこかへ行ってしまった。
《何だァ今の。気持ち悪いってさ》
権蔵さんは笑いを噛み殺しながら言った。
いや、私が1番知りたい。
さっきまで私を睨んでた女の子たちから「可哀想に…」みたいな目で見られてる気がする。
最近ちょっと仲良くなったからって油断してた自分を呪った。
最悪の初対面を忘れかけていた。
「リュカくんて、そう言えばあぁいう人だったよ」
本当に、サシャさんと兄弟なんて信じられない。
サシャさんは優しくて、大人びてて、絶対気持ち悪いとか言わない。
顔と声は似てるけど、性格は真逆!
《アイ、ショックだろうけど次ピンク女だぞ。ちゃんと見とけ》
笑いながら言われても説得力無いし。
そう思いながら塔の真下を見ると、紅花ちゃんがスタンバイしていた。
集中しているキリッとした顔も可愛い。
一体どんな魔法を使うんだろう。
「始め」の合図があると、紅花ちゃんの周りの地面がボコボコし始めた。
何だろう。
《土を使うのか。面白れェな》
私は権蔵さんの話を聞いておらず、紅花ちゃんの表情を確認するのに夢中だった。
やっぱり、顔色が変だ。
色白で、頬はいつでも桃色の紅花ちゃんが、今は青白く見える。
1日目から具合が悪そうに見えたのは、当たりだったのかもしれない。
「権蔵さん、あれって結構魔力使ってるよね?」
《ああ、地面を隆起させるレベルの高い土魔法だ。満点狙いに行ってるな》
まずい。
体調が万全でない時に魔力を使いすぎたら───
私は人をかき分けて前に進んだ。
紅花ちゃんが私以外の人と話しているのはあまり見た事がない。
顔色が悪いことなんて誰も気付いてない!
紅花ちゃんは既に真っ青だ。
いつ倒れてもおかしくないくらいに。
既に塔の半分の高さまで地面はぐんぐん上昇している。
「紅花ちゃん!!!!」
叫んだ時には、紅花ちゃんの体は傾いていた。
私は風を使って周りの人を飛び越えた。
そして、風の絨毯をつくり、紅花ちゃんをキャッチした。
今更周りはざわつき出し、「誰?」「どうしたの」という言葉が飛び交う。
「紅花ちゃん!」
返事が無い。
私は風の絨毯から紅花ちゃんを下ろし、何度も名前を呼んだ。
しかし、反応が無い。
人混みの中から声が聞こえた。
「アイ!どうしたんだ」
ノアの声だ。
「紅花ちゃんが……」
「医務室に行くぞ」
ノアは倒れている紅花ちゃんを確認すると直ぐに横抱きにし、「行こう」と言った。
紅花ちゃんの顔は青白いままで、呼吸が荒くなってきた。
「紅花ちゃん、大丈夫だよ」
私は願いを込めて、そう言った。
《おい、お前なァ、負けたいのか?》
「ごめんなさい…」
《負けたら守護者になる近道が潰れるだろうが!》
権蔵さんの言葉が突き刺さる。
分かってる、分かってるけど……。
さっきの紅花ちゃんの顔と言葉が頭から離れない。
《次は絶対満点だからな》
私は力なく「はい…」と返事をした。
次は塔のてっぺんにあるボタンを押すまでのタイムを計測する高所テストだ。
テスト用に建てられた塔の「地獄の螺旋階段」に、毎年新入生は悲鳴を上げるらしい。
そして、その噂はどうやら本当のようだ。
目の前にそびえ立つ塔を見て、私は冷や汗をかいた。
これ、昨日まで無かったよね……?
私の心を読んだみたいに、権蔵さんは言った。
《テスト用に1日で造られたんだ。終わったら直ぐ無くなる》
そ、そんな。
建てるのも壊すのも早すぎじゃない?
やっぱ魔法と科学の融合ってすごいんだなぁ。
《じゃ、並ぶか》
「は、はい……」
٭❀*
1年生は皆、試行錯誤しながら塔を登っていた。
地道に登る人もいたけれど、相当大変そうだった。
これは結構頭脳戦のようだ。
列に並ぶ人は精霊と一緒に作戦を練る。
《オレらは風だからな》
「もちろん。イメージは一応、してます」
塔を登るテストは毎年恒例だと聞いていたので対策はしてきた。
いつも通りやれば、いける!
自分を奮い立たせていると、前の方から歓声があがった。
《なんだうるせェな》
「わっ…リュカくんだよ」
1年生は3日間で全クラス合同でテストを行うので、クラスが離れていても見かけることがある。
テスト中のリュカくんを見るのは初めてだった。
「火魔法をあんなに上手く使ってる…、すごい」
手から燃焼ガスを噴射させることにより、階段を使うことなく登っている。
ほぼ飛んでいる様なものだ。
約20メートルを、一瞬で登りきった。
塔のてっぺんで高らかに笑っている。
それを見て周囲の女の子たちは「リュカさま~」と声援を送っているのだ。
「確かにすごいけど……」
《天狗になりすぎだなァ、金髪小僧》
権蔵さんと私は顔を見合わせた。
リュカくんほど残念なイケメンって見たことない。
降りる時もドヤ顔が止まらないリュカくん。
ああ、まずい、目が合ってしまった。
「お、アイ!」
やめて、やめて。
女の子たちの目線が痛いんだから。
「もしかして俺のこと見てたか!?」
「うん、並んでたからね。すごかったよ」
私が正直に言うと、リュカくんは眉間に皺を寄せて硬直した。
どうしたんだろう。
「リュカくん?」と声をかけてみた。
「………らしくねぇ!!」
ずささっっと、後ろ足で距離を取られた。
………はぁ?
「気持ち悪りぃ!」
……………はぁぁぁ??
怒っているようで、顔が真っ赤だ。
リュカくんは非常に失礼な言葉を吐いて、さっさとどこかへ行ってしまった。
《何だァ今の。気持ち悪いってさ》
権蔵さんは笑いを噛み殺しながら言った。
いや、私が1番知りたい。
さっきまで私を睨んでた女の子たちから「可哀想に…」みたいな目で見られてる気がする。
最近ちょっと仲良くなったからって油断してた自分を呪った。
最悪の初対面を忘れかけていた。
「リュカくんて、そう言えばあぁいう人だったよ」
本当に、サシャさんと兄弟なんて信じられない。
サシャさんは優しくて、大人びてて、絶対気持ち悪いとか言わない。
顔と声は似てるけど、性格は真逆!
《アイ、ショックだろうけど次ピンク女だぞ。ちゃんと見とけ》
笑いながら言われても説得力無いし。
そう思いながら塔の真下を見ると、紅花ちゃんがスタンバイしていた。
集中しているキリッとした顔も可愛い。
一体どんな魔法を使うんだろう。
「始め」の合図があると、紅花ちゃんの周りの地面がボコボコし始めた。
何だろう。
《土を使うのか。面白れェな》
私は権蔵さんの話を聞いておらず、紅花ちゃんの表情を確認するのに夢中だった。
やっぱり、顔色が変だ。
色白で、頬はいつでも桃色の紅花ちゃんが、今は青白く見える。
1日目から具合が悪そうに見えたのは、当たりだったのかもしれない。
「権蔵さん、あれって結構魔力使ってるよね?」
《ああ、地面を隆起させるレベルの高い土魔法だ。満点狙いに行ってるな》
まずい。
体調が万全でない時に魔力を使いすぎたら───
私は人をかき分けて前に進んだ。
紅花ちゃんが私以外の人と話しているのはあまり見た事がない。
顔色が悪いことなんて誰も気付いてない!
紅花ちゃんは既に真っ青だ。
いつ倒れてもおかしくないくらいに。
既に塔の半分の高さまで地面はぐんぐん上昇している。
「紅花ちゃん!!!!」
叫んだ時には、紅花ちゃんの体は傾いていた。
私は風を使って周りの人を飛び越えた。
そして、風の絨毯をつくり、紅花ちゃんをキャッチした。
今更周りはざわつき出し、「誰?」「どうしたの」という言葉が飛び交う。
「紅花ちゃん!」
返事が無い。
私は風の絨毯から紅花ちゃんを下ろし、何度も名前を呼んだ。
しかし、反応が無い。
人混みの中から声が聞こえた。
「アイ!どうしたんだ」
ノアの声だ。
「紅花ちゃんが……」
「医務室に行くぞ」
ノアは倒れている紅花ちゃんを確認すると直ぐに横抱きにし、「行こう」と言った。
紅花ちゃんの顔は青白いままで、呼吸が荒くなってきた。
「紅花ちゃん、大丈夫だよ」
私は願いを込めて、そう言った。
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