躁鬱の父さん

躁鬱の父さん

僕の父さんは躁鬱病だ。おそらく6年前から躁鬱病だ。
僕の父さんは自分が責められると言い訳をする。プライドが高いから自分の非を認めたくないのだろう。
僕の父さんは皿洗いはする。だけど汚れがいつも落ちきってない。
僕の父さんはなにがしたいのかわからない。この前は急に別居しようと言い出して家を出て、40分後ぐらいにかえってきた。
僕の父さんは子供が抜けきってない。もしかしたら家を出たのはかまってほしいだけなのかもしれない。
僕の父さんは絵が上手い。美大に行きたかったらしいけど、親に反対されて、仕事をついだ。
僕の父さんはたくさん趣味があった。けれど全てやめてしまった。
僕の父さんは釣りが好きで、小学生の頃はよく一緒に行った。今は倉庫に釣り道具がたくさん雑に置かれてる。
僕の父さんは筋トレをしてて、力持ちだった。トレーニング道具はもうどこにあるかわからない。
僕の父さんは将棋が好きだった。この前棚を整理をしていたら、駒が散乱してた。
僕の父さんはおじいちゃんとが死んでからおかしくなった。見てて辛かったのは最初だけだった。
僕の父さんは自分は死んだほうがいいんだろうと心にもないことを言う。みんなはただ鬱を直して欲しいだけだ。
僕の父さんは家族以外にはヘラヘラ笑っていい顔をする。僕はそれが1番気に食わない。
僕の父さんは明るかった。しつこかったが、明るかった。
僕は思う。父さんはどうしてこうなってしまったのか。父さんの何がそうさせるのか。僕にはわからない。僕にはもうどうすることもできない。時々、父さんが作った革のキーホルダーを見ると考えてしまう。僕は父さんのことをどう感じてるのだろうと。