姫の血縁

姫宮瑠璃

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準備②

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「ぉ、おはようございます!」
「あ・・・⁈・・・あぁ、井上さん、おはよう。今日は体調大丈夫?」

嫌味に聞こえたかもしれないが、しょうがない。
嫌味なのだから。
学校に来れないとか、教室に入れないとかいうのは心の問題だから仕方ない。
そういう人は、保健室で勉強や課題をしたり、家庭学習をしてプリントを提出したりしている。
登校拒否を否定したい訳じゃない。
でも、井上浩美はそういった人とは少し違うのだ。
彼女はただのサボりだ。
よく保健室の世話になっているが、病気でも登校拒否でもない。
自主的に勉強している訳でも、課題を提出する事もしない。
私は、彼女のちゃんとしない所を軽蔑している。

「・・・た、たぶん。」

目が泳いでいる・・・。
っていうか、たぶんって何。
連日の疲れもあって、いつもより取り繕えそうにない。

「もうすぐ朝学習の時間だから、早く教室に入りましょう。」

早く彼女から離れて気持ちを切り替えないと、イライラのせいで余計な事を言ってしまいそうだ。
彼女に背を向けて教室に向かおうとする私に、井上浩美がまた話しかけてきた。

「・・・ぁあのっ、手伝います!」
「・・・はぁ?」
「ほ、放課後、宿直室で。・・・他にも手伝いの人、連れて来ます!」

馬鹿みたいにポカンとした私を残して、井上浩美は教室に走って行った。
今まで会話などできなかったというのに、今日は雷でも降るのだろうか。

ーーー何の話・・・、あぁ、購買部を手伝うって事?

宿直室は、学園祭終了まで、業者が届けてきた荷物の保管場所に使わせてもらっている。
そこでクラスの同じ荷物を台車に乗せてから、配達するのだ。

ーーー他の人も連れて来るって言ってたけど・・・友達いるの?

少し頭に引っかかるものがあったが、「まぁ、猫の手くらいにはなるでしょう」と、私は教室に向かった。
早くしないと遅刻になってしまう。

廊下を走らずに早足で歩き教室に向かうと、教室前の廊下にまた彼女がいた。
クラスの副委員長と話していた。
何を話しているのか聞こえなかったが、彼女が頭を下げてから教室に入って行った。

「おはよう。・・・井上さんと何かあった?」

副委員長の安堂康人に話しかけると、一瞬目を逸らした後、手に持っていたメモのような紙をグシャっと握り潰した。

「いや・・・、何でもない。」
「そう・・・?」

先に教室に入った安堂康人の後に続くように、私も教室に入る。
井上浩美はもう席についていて、プリントをやっているようだった。
やはり、今日は雷が降るらしい。
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