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眠り姫③
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メアリーの手は震え、それを押さえようとしているのか右手で握られた左手は、白っぽく変色していた。
「わ、私は、悪いことはしていません!」
メアリーの喉がゴクリと鳴った。
「じゃあ、お前は何もしてないと?
・・・どうやら地下牢がご希望らしいね。」
その場にいる人達がメアリーを睨むように見つめる中、ニコラスだけが冷たく微笑んでいる。
それがメアリーには、ものすごく怖かった。
「ま、待って下さい。
・・・確かに私は、この部屋に居たお嬢様を攫いました。でもそれは、旦那様の為にやったんです!」
「・・・どういう事か話しなさい。」
「はい・・・。」
観念したメアリーは、おずおずと話し出した。
メアリーは、公爵夫人に旦那様の手伝いをするように言われた時、もう1つ別のお願いをされていた。
そのお願いというのが、『黒髪の少女の誘拐』である。
始め、夫人にこの話をされた時、メアリーは1度断ったのだが、「旦那様の為なのだ」と説得された。
それというのも、旦那様が娘でもない少女を自身の娘だと騙されているというのだ。
しかもその少女は、聖女様のような黒髪を持っている事を利用し、聖女様と同じ名前を付けているという。
そんな不道徳な事は許されない。
だからこそ、早々に旦那様から引き離し、罰を与えなければならない、と。
だから、これは悪い事ではなく、むしろ善行なのだ、と。
話を聞いてもメアリーが渋っていると、「ここまで話したのに聞けないと言うなら、奴隷商にお前を売らなければならなくなる」と脅された。
脅された時点で怪しいのだが、「旦那様の為」「聖女様の為」と何度も言われ、夫人のお願いを聞く事に賛同してしまった。
城の外に連れ出すまでが、メアリーが課せられた事で、その後は知らない。
どんなやり方でも良いから、夫人の使いの者に少女を渡す事が、メアリーの仕事だった。
ニコラスと横になっている姫小路裕美が部屋で話をしていた時、メアリーは同室に居たのだから、その時の話を聞けば、聖女の血縁だと名前の件については誤解が解けていたはずなのだが、「どうやって外に連れ出そうか」と考えていたメアリーの耳には届いていなかった。
もし届いていたなら行動に移していなかっただろう。
メアリーにとっては『娘うんぬん』より、『聖女様を冒涜している』という方が許せなかったのだから。
「おい。直ぐにベルローズ公爵邸に行き、公爵夫人を捕らえ、家捜しをしろ!」
「はっ!」
王子が側にいた騎士に指示を出す。
騎士が駆け出そうとしたが、ニコラスが待ったをかけた。
「お待ち下さい、殿下。」
「なんだ?自分の不始末になるから、揉み消そうと言うのか?」
王子は不満気にニコラスを睨みつけた。
「いえ、そうではありません。
妻は捕らえるべきですが、大っぴらに行動すれば、隣国との外交問題に発展する可能性があります。
あと、たぶんもう邸には少女は居ないと思います。」
ニコラスの冷静な態度に、王子は尚更不満を覚えて、舌打ちをした。
「じゃあ、どこに居るというんだ!」
ニコラスはアランに目配せをし、アランは頷き走り去って行く。
「奴隷商に。
邸にはアランを行かせます。アランが妻を捕らえるでしょう。」
その言葉を聞いて、王子が指示を出した。
「何人かをアランに付けるよう指示を出せ!こちらにも何人か騎士を寄越すように!」
「はっ!」
騎士が命令に従い、走り去って行くのを見ながら、ニコラスはメアリーに質問をした。
「さて、メアリー。
妻の元に来る商人と、その頻度を教えて欲しいのだが?」
「わ、私は、悪いことはしていません!」
メアリーの喉がゴクリと鳴った。
「じゃあ、お前は何もしてないと?
・・・どうやら地下牢がご希望らしいね。」
その場にいる人達がメアリーを睨むように見つめる中、ニコラスだけが冷たく微笑んでいる。
それがメアリーには、ものすごく怖かった。
「ま、待って下さい。
・・・確かに私は、この部屋に居たお嬢様を攫いました。でもそれは、旦那様の為にやったんです!」
「・・・どういう事か話しなさい。」
「はい・・・。」
観念したメアリーは、おずおずと話し出した。
メアリーは、公爵夫人に旦那様の手伝いをするように言われた時、もう1つ別のお願いをされていた。
そのお願いというのが、『黒髪の少女の誘拐』である。
始め、夫人にこの話をされた時、メアリーは1度断ったのだが、「旦那様の為なのだ」と説得された。
それというのも、旦那様が娘でもない少女を自身の娘だと騙されているというのだ。
しかもその少女は、聖女様のような黒髪を持っている事を利用し、聖女様と同じ名前を付けているという。
そんな不道徳な事は許されない。
だからこそ、早々に旦那様から引き離し、罰を与えなければならない、と。
だから、これは悪い事ではなく、むしろ善行なのだ、と。
話を聞いてもメアリーが渋っていると、「ここまで話したのに聞けないと言うなら、奴隷商にお前を売らなければならなくなる」と脅された。
脅された時点で怪しいのだが、「旦那様の為」「聖女様の為」と何度も言われ、夫人のお願いを聞く事に賛同してしまった。
城の外に連れ出すまでが、メアリーが課せられた事で、その後は知らない。
どんなやり方でも良いから、夫人の使いの者に少女を渡す事が、メアリーの仕事だった。
ニコラスと横になっている姫小路裕美が部屋で話をしていた時、メアリーは同室に居たのだから、その時の話を聞けば、聖女の血縁だと名前の件については誤解が解けていたはずなのだが、「どうやって外に連れ出そうか」と考えていたメアリーの耳には届いていなかった。
もし届いていたなら行動に移していなかっただろう。
メアリーにとっては『娘うんぬん』より、『聖女様を冒涜している』という方が許せなかったのだから。
「おい。直ぐにベルローズ公爵邸に行き、公爵夫人を捕らえ、家捜しをしろ!」
「はっ!」
王子が側にいた騎士に指示を出す。
騎士が駆け出そうとしたが、ニコラスが待ったをかけた。
「お待ち下さい、殿下。」
「なんだ?自分の不始末になるから、揉み消そうと言うのか?」
王子は不満気にニコラスを睨みつけた。
「いえ、そうではありません。
妻は捕らえるべきですが、大っぴらに行動すれば、隣国との外交問題に発展する可能性があります。
あと、たぶんもう邸には少女は居ないと思います。」
ニコラスの冷静な態度に、王子は尚更不満を覚えて、舌打ちをした。
「じゃあ、どこに居るというんだ!」
ニコラスはアランに目配せをし、アランは頷き走り去って行く。
「奴隷商に。
邸にはアランを行かせます。アランが妻を捕らえるでしょう。」
その言葉を聞いて、王子が指示を出した。
「何人かをアランに付けるよう指示を出せ!こちらにも何人か騎士を寄越すように!」
「はっ!」
騎士が命令に従い、走り去って行くのを見ながら、ニコラスはメアリーに質問をした。
「さて、メアリー。
妻の元に来る商人と、その頻度を教えて欲しいのだが?」
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