姫の血縁

姫宮瑠璃

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寮①

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寮に向かう馬車の中で、私は、お父様とお兄様に倉庫?について話をした。

◯今現在、倉庫?の中には、私(もしくは真也と康人)が向こうの世界から持ち込んだ物が入っている。
◯声で命令、もしくは心で願えば、出し入れ可能(しまう時は、その物を触って命じれば、固有名称を言わなくてもしまえる)。
◯中から出した物は、他の場所に呼び出す事が出来る。
◯まとまっている物(箱や鞄に入っている物)を個別で呼び出すには、前もって中身を見て確認していないと出来ない。
◯中に入っていた物を人にあげたら、所有権が移行される為、入れる事は出来ない。
◯こちらにある物も、出し入れ可能(ただし、他の人の所有物は入れれない)。

他の人の物を勝手に入れる事が出来ないという事に関しては、メイだけでなく、お父様のカフスやお兄様のブローチで、出来ない事を確認した。
今度、真也や康人、なんならジルベルト殿下にも試させてもらおう。
何か物が無くなった時に、疑われる事があるかもしれない。
証人は多いに越した事は無い。

「では、明日また入学式に来るから。
今日は早めに寝るんだぞ。」
「お父様も早めに寝て下さいね。」

馬車から降りたお兄様と私に手を振って、お父様はそのまま仕事に向かった。
私達は学園の警備兵に案内されて、寮に向かう。
荷馬車や荷車が並ぶ中、私達は手ぶらでぞろぞろと警備兵に付いて行った。

「こちらが男子寮になります。」

案内された男子寮の前には同じ様な荷馬車や荷車が雑然とし、侍従や従僕達がせっせと荷物を運んだり、風魔法で浮かせて動かしていた。

「ではご令嬢は、女子寮にご案内させて頂きます。」

学園の警備兵は、お兄様を案内し終わり、私を女子寮に案内しようと向きを変えた。

「あ。待って下さい。
お兄様のお部屋へ寄って行きたいので。」

そう言って警備兵を止めると、顔を歪めて不思議そうに尋ねてきた。

「ご令嬢がですか?
女子は男子寮に、男子は女子寮に入れない事になっておりますが。」
「でも、荷物をお兄様のお部屋に運んで差し上げたいの。」
「ご令嬢がですか⁈」

私はコクンと頷いた。

「・・・まあ、無駄だと思いますが、管理人に話してみてはいかがでしょう?」

警備兵は不思議そうな顔をしながら、「こちらでお待ちします」と、私達を男子寮に送り出した。
荷物を運び込む為、ドアが開けっ放しになったロビーは、2階分吹き抜けになっていて階段が両側にあり、両端の階段傍に2対のテーブルとソファーが置いてあった。
正面奥にカウンターがあり、数人の男性が、訪ねて来る人を対応している。
私達はカウンター前まで行き、お兄様の侍従の1人が中の男性に声をかけた。

「アラン=ライ=ベルローズ様のお部屋はどちらでしょう?」

カウンターの中にいる男性は、こちらを気にしながら、台帳の様な物を確認した。

「左手3階の307号室になります。」
「ありがとうございます。
あと、こちらの妹君のヒロミ様の入室を許可して頂きたいのですが。」

カウンターの男性は、顔を顰めるとお兄様と私に頭を下げた。

「申し訳ありませんが、規則で女性の入寮は出来ない事になっております。」
「10分くらいで良いのですが。」

私がそう言うと、眉間に皺を寄せて私達を見た後、もう一度頭を下げた。

「申し訳ありませんが、規則ですので。」

私はシュンとうなだれて、お兄様達に頭を下げた。

「ごめんなさい。あまりお力になれなくて。
私が入れたら、簡単に済むのだけれど。」
「いや、充分ヒロミは役に立ってくれたよ。」

お兄様が私の頭を撫でる。
お兄様の侍従の人達も、頷いた。
私はロビーの人がいない、何も置いて無い場所に移動すると、荷物を呼び出した。

「《お兄様の荷物を出して》」

いくつもの大きなバッグや長持が出て、積み上がっていく。
カウンターにいた男性や、ロビーにいた人達が、目を見開いて固まった。

「本当にごめんなさい。
荷物はここに置いておきますね。」
「いやいや、ヒロミのおかげで助かったよ。
荷馬車で運んできたら、寮の前まで来るのはいつになることやら。」
「では、お兄様。私は女子寮に行きますね。」
「ああ、また明日。」

私は、お兄様達に手を振って、男子寮を出た。
後ろで、お兄様の侍従達が頭を下げている。
外で待っていた学園の警備兵の人に、女子寮に案内してもらうと、こちらも荷馬車や荷車でごった返していた。


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