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手鏡③
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警察官は、姫小路裕美、藤川真也、安堂康人の行方不明について質問して来た。
もちろん、井上浩美は「知らない」と答えた。
宿直室の鍵を井上浩美が預かっていた事や、佐藤の証言などを言われるが、井上浩美は無言を貫いた。
埒があかないと、「また来ます」と言って警察官は帰って行ったが、きっと家を見張っている事だろう。
母親は相変わらず、「浩美ちゃん、どういう事なの⁈」とうるさく喚く。
井上浩美は、母親を無視すると、自室に閉じこもった。
警察が動くなど、井上浩美の頭には無かったのだ。
ただ、姫小路裕美さえ居なくなれば、すぐにでも姫小路家から、「ぜひ次期当主に」と迎えが来ると思っていた。
井上浩美は、おとぎ話のヒロインに自分がなっているとでも思っているかのように感じながら、今まで生きてきたのだ。
姫小路裕美という魔女が滅んで、悲劇が終わり、主人公は幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
なのに、その幸せを皆が邪魔をする。
母親からの連絡があったのか、父親がいつもより早く帰って来て、井上浩美の部屋をノックした。
「浩美ちゃん、いったい何があったんだい?お父さんに話してくれないかな?」
いつもの甘ったるい、井上浩美を猫可愛がりする声で、ドア越しに父親が話しかけるが、井上浩美からの反応は無かった。
「浩美ちゃんは、関係ないんだろう?
ちゃんと話せば、皆分かってくれるよ。」
翌日、警察官はまたやってきた。
今度は、見てもらいたい物があると、母親と共に警察署へ連れて行かれた。
見せられたのは、防犯カメラの映像だった。
宿直室に私が向かうところから、私が植物図鑑を回収した後すぐに先生達と佐藤が宿直室に入るところまでの。
井上浩美は、学校に、防犯カメラが設置されているなんて、思いもしていなかった。
私立ではなく、公立の学校に、しかも校舎周りや校門ならともかく、構内にあるなんて思いもしなかった。
だからこそ、この映像は脅威だった。
映像の中の自分は、なんと醜く、愚かなのだろう。
窓は接着剤で目張りされ、鍵すら動かせないように固めてあったし、窓ガラスは割られていない。
宿直室の中に、秘密の出口なども無い。
映像からは、井上浩美が3人を閉じ込め、3人は脱出していないのに、先生達が中に入ってみたが、誰も居なかったという事が分かる。
どうやって3人が消えてしまったのかは分からないが、井上浩美が関係しているのは明らかな映像だった。
佐藤を羽交い締めにし、逃げようとした佐藤に引きずられながら巻き付き、狂ったように叫んだ後、歓喜に満ちたりているように、笑いながら走り去る。
映像には、音声までついていた。
鮮明では無いが、叫んでいた言葉ははっきり分かる。
「この『あんたには、消えてもらう』っていうのは、どういう事なのかな?」
『今までの恨み』や『植物図鑑』など、映像の中で井上浩美が話していた言葉、急に聞こえてくる3人の叫び声。
実際に何か危害を加えている証拠がある訳では無いので、終始無言だった井上浩美は、家に帰されたが、また明日にも来るように言われた。
警察署から出るとすぐ、今度は母親からの追及だ。
何日もそれが続くようになると、心配していた両親は、今度は怒鳴るようになった。
無理も無い。
井上浩美は知らなかったが、町中で小姫様達を誘拐し、殺した犯人だと、実しやかに囁かれていた。
その所為で、日々の買い物も、建設資材を扱う会社の経営にも、支障が出ていた。
町を歩けば、コソコソと白い目で見られ、買い物は高い値段で売りつけられたり、買わせてもらえなかったり。
会社には、何十回も嫌がらせの電話が鳴り、空メールが何百も届き、顧客からはキャンセルが続き、従業員はボイコットをする。
夜中に石を投げ込まれたりもした。
次第に両親は、井上浩美に構わなくなり、食事さえ、言わなければ出て来なくなった。
数ヶ月も経つと、確たる証拠も無く、どうやって3人が居なくなったのかも分からないので、表立って警察が調べている感じはしなくなった。
そして、井上浩美は、両親に捨てられた。
登校拒否や引きこもり、家庭暴力を繰り返すような子供が預けられている、農業を子供達に教えているNPO法人に。
可愛がってきた我が子が殺人犯だと言われ、親の躾が悪いと罵られ、町中から迫害され、会社も畳む事になり、両親はもう、気が触れる寸前まで、追い詰められていたのだ。
もちろん、井上浩美は「知らない」と答えた。
宿直室の鍵を井上浩美が預かっていた事や、佐藤の証言などを言われるが、井上浩美は無言を貫いた。
埒があかないと、「また来ます」と言って警察官は帰って行ったが、きっと家を見張っている事だろう。
母親は相変わらず、「浩美ちゃん、どういう事なの⁈」とうるさく喚く。
井上浩美は、母親を無視すると、自室に閉じこもった。
警察が動くなど、井上浩美の頭には無かったのだ。
ただ、姫小路裕美さえ居なくなれば、すぐにでも姫小路家から、「ぜひ次期当主に」と迎えが来ると思っていた。
井上浩美は、おとぎ話のヒロインに自分がなっているとでも思っているかのように感じながら、今まで生きてきたのだ。
姫小路裕美という魔女が滅んで、悲劇が終わり、主人公は幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
なのに、その幸せを皆が邪魔をする。
母親からの連絡があったのか、父親がいつもより早く帰って来て、井上浩美の部屋をノックした。
「浩美ちゃん、いったい何があったんだい?お父さんに話してくれないかな?」
いつもの甘ったるい、井上浩美を猫可愛がりする声で、ドア越しに父親が話しかけるが、井上浩美からの反応は無かった。
「浩美ちゃんは、関係ないんだろう?
ちゃんと話せば、皆分かってくれるよ。」
翌日、警察官はまたやってきた。
今度は、見てもらいたい物があると、母親と共に警察署へ連れて行かれた。
見せられたのは、防犯カメラの映像だった。
宿直室に私が向かうところから、私が植物図鑑を回収した後すぐに先生達と佐藤が宿直室に入るところまでの。
井上浩美は、学校に、防犯カメラが設置されているなんて、思いもしていなかった。
私立ではなく、公立の学校に、しかも校舎周りや校門ならともかく、構内にあるなんて思いもしなかった。
だからこそ、この映像は脅威だった。
映像の中の自分は、なんと醜く、愚かなのだろう。
窓は接着剤で目張りされ、鍵すら動かせないように固めてあったし、窓ガラスは割られていない。
宿直室の中に、秘密の出口なども無い。
映像からは、井上浩美が3人を閉じ込め、3人は脱出していないのに、先生達が中に入ってみたが、誰も居なかったという事が分かる。
どうやって3人が消えてしまったのかは分からないが、井上浩美が関係しているのは明らかな映像だった。
佐藤を羽交い締めにし、逃げようとした佐藤に引きずられながら巻き付き、狂ったように叫んだ後、歓喜に満ちたりているように、笑いながら走り去る。
映像には、音声までついていた。
鮮明では無いが、叫んでいた言葉ははっきり分かる。
「この『あんたには、消えてもらう』っていうのは、どういう事なのかな?」
『今までの恨み』や『植物図鑑』など、映像の中で井上浩美が話していた言葉、急に聞こえてくる3人の叫び声。
実際に何か危害を加えている証拠がある訳では無いので、終始無言だった井上浩美は、家に帰されたが、また明日にも来るように言われた。
警察署から出るとすぐ、今度は母親からの追及だ。
何日もそれが続くようになると、心配していた両親は、今度は怒鳴るようになった。
無理も無い。
井上浩美は知らなかったが、町中で小姫様達を誘拐し、殺した犯人だと、実しやかに囁かれていた。
その所為で、日々の買い物も、建設資材を扱う会社の経営にも、支障が出ていた。
町を歩けば、コソコソと白い目で見られ、買い物は高い値段で売りつけられたり、買わせてもらえなかったり。
会社には、何十回も嫌がらせの電話が鳴り、空メールが何百も届き、顧客からはキャンセルが続き、従業員はボイコットをする。
夜中に石を投げ込まれたりもした。
次第に両親は、井上浩美に構わなくなり、食事さえ、言わなければ出て来なくなった。
数ヶ月も経つと、確たる証拠も無く、どうやって3人が居なくなったのかも分からないので、表立って警察が調べている感じはしなくなった。
そして、井上浩美は、両親に捨てられた。
登校拒否や引きこもり、家庭暴力を繰り返すような子供が預けられている、農業を子供達に教えているNPO法人に。
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