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聖女降臨②
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もちろん、学園内でも、上を下への大騒ぎだった。
何処へ行ってもジロジロと見られ、「聖女様」と呼ぶ人さえ出てきた。
否定しても無駄なので、そう呼ばれても無視していたが、教皇の更なる発言で、私を「聖女様」と呼ぶ人は増えていった。
「『聖女』は、エンダール国に降臨した」というのだ。
事が大きくなり、国もタニア教も動き出した。
それは、私の正式な『聖女承認』についてだ。
私自身は全く、「聖女ではない」と思っているが、先の王都全てへの全体治癒魔法だけでも、『聖女』に値するし、なにより、神聖タニア教より先に『聖女承認』したいという、政治的な考えで、私は『聖女』に認定される事になった。
「これで、心置きなく『聖なる薔薇を愛でる会』を運営出来ますわ。」
ロレッティーナ様は、私の『聖女承認』が凄く嬉しかったようだ。
「別に何の支障も感じて無かったように思いますけどー?」
「まあ、ヤスヒト様は、分かっていらっしゃらないの?」
まるで、「分からないなんて信じられない」とでも言うように、ロレッティーナ様は驚いた顔をした。
「ヒロミ様を支持する方々が、『聖なる薔薇』や『薔薇姫』と呼んでも、それを馬鹿にしたり、否定する方はいらっしゃいます。」
「そりゃあ、全員に好かれるなんて、絶対不可能だけど。」
「ええ。
ですが、『聖女』となれば、たとえ嫌っていたとしても、馬鹿にも否定するのも出来ませんよね。」
ロレッティーナ様は、力強く手を握った。
「正々堂々と、そういう方々に文句が言えますわ!」
「あー、つまり。ギャフンと言わせたかったのねー。」
康人は、呆れながらも、微笑ましくニコニコと笑った。
「でも、私は『聖女』などと呼ばれる人間じゃありません。
それに、神聖タニア教教皇は、始め、他の方を『聖女』と言っていたんじゃなかったですか?」
「ああ、ヴァイロン子爵令嬢ね。」
ロレッティーナ様は、まるで吐き捨てるようにタリアテリーヌ様の事を言った。
「周りに焚き付けられたのだろうから、本人だけが悪いんじゃ無いと頭では理解していると、先に弁明させて頂くけれど。」
「はい・・・?」
「傲慢で、我儘で。
パーティーやお茶会などの集まりでは、自分が主役の様に振る舞っていて。
ジルベルト殿下と他の令嬢が話していたり、ダンスしたりしようものなら、髪をぐちゃぐちゃにしたり、ドレスに飲み物をかけたり破ったり。
今でこそ、おとなしいものの、酷いものだったわ。」
ロレッティーナ様からは、嫌悪感が滲み出ている。
何かされた事があるのかもしれない。
「おまけに、光属性持ちの癖に、光魔法で使えるのはライトで照らすだけ。
風と雷の方が、余程上手く使えて、それの魔法を意地悪に使うものだから、タチが悪いわ。
魔力も、一般的な平均より低いしね。」
「そうなのですか。」
「ええ。
そんな人を『聖女』なんて呼べる?呼べないでしょう?」
まあ、『聖なる女』が意地悪だったり、我儘だったりとは、誰も思わないけれど。
『清く、正しく、美しく』なんて宝塚じゃないけれど、それを体現している人なんていやしない。
いや、生きている以上、一点の曇りも無い人などいないのだ。
そうあるべきとは思えど、それは神や仏の領域なのだ。
人間が到達できるわけではない。
それこそ、全員に好かれるのが絶対に無理なように。
だいたい、時代によって、立場によって、状況によって、好みによって、解釈によって、国によって、文化や宗教によって、『清く、正しく、美しく』の内容は変わるのだ。
そう考えれば、何が正解かなどと、軽々しく言えない。
「・・・じゃあ、他に『ヒロミ』という名前の方がいらっしゃるとか。」
「それは、国で調べたと思うわ。
他に居なかったからこそ、こんなに早く『聖女承認』が行われる事になったのでしょう。」
「・・・。」
黙った私の顔を、康人が覗き込んできた。
「そんなに『聖女』になるのが嫌?」
「・・・イメージを押し付けられる苦しさは、充分分かっているから。
私は『聖女』には程遠いわ。」
「そんなに硬く考えなくても良いんじゃない?
むしろ、ラッキーって思えば。」
「じゃあ、康人が代わって。」
康人は、両手を肩まであげた。
「男だからねー、『聖女』にはなれない。」
何処へ行ってもジロジロと見られ、「聖女様」と呼ぶ人さえ出てきた。
否定しても無駄なので、そう呼ばれても無視していたが、教皇の更なる発言で、私を「聖女様」と呼ぶ人は増えていった。
「『聖女』は、エンダール国に降臨した」というのだ。
事が大きくなり、国もタニア教も動き出した。
それは、私の正式な『聖女承認』についてだ。
私自身は全く、「聖女ではない」と思っているが、先の王都全てへの全体治癒魔法だけでも、『聖女』に値するし、なにより、神聖タニア教より先に『聖女承認』したいという、政治的な考えで、私は『聖女』に認定される事になった。
「これで、心置きなく『聖なる薔薇を愛でる会』を運営出来ますわ。」
ロレッティーナ様は、私の『聖女承認』が凄く嬉しかったようだ。
「別に何の支障も感じて無かったように思いますけどー?」
「まあ、ヤスヒト様は、分かっていらっしゃらないの?」
まるで、「分からないなんて信じられない」とでも言うように、ロレッティーナ様は驚いた顔をした。
「ヒロミ様を支持する方々が、『聖なる薔薇』や『薔薇姫』と呼んでも、それを馬鹿にしたり、否定する方はいらっしゃいます。」
「そりゃあ、全員に好かれるなんて、絶対不可能だけど。」
「ええ。
ですが、『聖女』となれば、たとえ嫌っていたとしても、馬鹿にも否定するのも出来ませんよね。」
ロレッティーナ様は、力強く手を握った。
「正々堂々と、そういう方々に文句が言えますわ!」
「あー、つまり。ギャフンと言わせたかったのねー。」
康人は、呆れながらも、微笑ましくニコニコと笑った。
「でも、私は『聖女』などと呼ばれる人間じゃありません。
それに、神聖タニア教教皇は、始め、他の方を『聖女』と言っていたんじゃなかったですか?」
「ああ、ヴァイロン子爵令嬢ね。」
ロレッティーナ様は、まるで吐き捨てるようにタリアテリーヌ様の事を言った。
「周りに焚き付けられたのだろうから、本人だけが悪いんじゃ無いと頭では理解していると、先に弁明させて頂くけれど。」
「はい・・・?」
「傲慢で、我儘で。
パーティーやお茶会などの集まりでは、自分が主役の様に振る舞っていて。
ジルベルト殿下と他の令嬢が話していたり、ダンスしたりしようものなら、髪をぐちゃぐちゃにしたり、ドレスに飲み物をかけたり破ったり。
今でこそ、おとなしいものの、酷いものだったわ。」
ロレッティーナ様からは、嫌悪感が滲み出ている。
何かされた事があるのかもしれない。
「おまけに、光属性持ちの癖に、光魔法で使えるのはライトで照らすだけ。
風と雷の方が、余程上手く使えて、それの魔法を意地悪に使うものだから、タチが悪いわ。
魔力も、一般的な平均より低いしね。」
「そうなのですか。」
「ええ。
そんな人を『聖女』なんて呼べる?呼べないでしょう?」
まあ、『聖なる女』が意地悪だったり、我儘だったりとは、誰も思わないけれど。
『清く、正しく、美しく』なんて宝塚じゃないけれど、それを体現している人なんていやしない。
いや、生きている以上、一点の曇りも無い人などいないのだ。
そうあるべきとは思えど、それは神や仏の領域なのだ。
人間が到達できるわけではない。
それこそ、全員に好かれるのが絶対に無理なように。
だいたい、時代によって、立場によって、状況によって、好みによって、解釈によって、国によって、文化や宗教によって、『清く、正しく、美しく』の内容は変わるのだ。
そう考えれば、何が正解かなどと、軽々しく言えない。
「・・・じゃあ、他に『ヒロミ』という名前の方がいらっしゃるとか。」
「それは、国で調べたと思うわ。
他に居なかったからこそ、こんなに早く『聖女承認』が行われる事になったのでしょう。」
「・・・。」
黙った私の顔を、康人が覗き込んできた。
「そんなに『聖女』になるのが嫌?」
「・・・イメージを押し付けられる苦しさは、充分分かっているから。
私は『聖女』には程遠いわ。」
「そんなに硬く考えなくても良いんじゃない?
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「男だからねー、『聖女』にはなれない。」
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