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第十二話 終電を逃さない夜と、選んで来るコンビニ
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その日は、朝から「妙にうまくいく日」だった。
いつもなら月曜の朝は、メールボックスが未読の山なのに、
今日はなぜか、クライアントからの返事も落ち着いている。
先週のエラー騒ぎも、
エンジニアさんたちが調査を進めてくれていて、
私の役目は「状況共有」と「連絡の橋渡し」にだいぶ絞られていた。
(……こういう日も、あるんだなあ)
午前中の会議も、延長せずに終わる。
午後の作業も、山はあるけど、
「今日やる分」と「明日でもいい分」をちゃんと分けて進められている。
机の右端に並んだ付箋たち。
「今日やる」プレートの列は、着実に減っていき、
「明日に回す」列は、必要以上には増えないように気をつける。
(“全部やらない練習”)
1日目のメモを思い出して、
心の中でそっと笑った。
◇
夕方、最後の一件の電話を終えたとき、
時計の針は、まだ十八時半を指していた。
周りを見渡すと、
残っている人はもちろんいるけれど、
「今日も終電コースだね」という空気ではない。
「ゆきちゃん、今日は上がれそう?」
上司の声に、時計をもう一度見る。
「はい。
今日の分の共有も、さっきチャットに上げましたし、
エラー対応の続きは、明日エンジニアさんと一緒に見ます」
「おう、助かる。
……なんか、最近“明日やる”って言葉に、
前よりちゃんと『段取り』が乗ってるな」
「それは、いい意味ですか?」
「いい意味だよ」
上司が、ちょっと照れたように笑う。
「今まで、『全部今日やる』って顔してたからさ。
それはそれで頼もしいけど、見てる方はちょっとヒヤヒヤするんだよ」
その言葉に、胸の奥がじん、とした。
(“頼もしい”と“危なっかしい”の境目って、
意外と自分ではわからないんだよな……)
「じゃ、今日はもう上がっていいよ。
また明日、頼むな」
「はい。お先に失礼します」
席を立ちながら、
少しだけ足取りが軽くなる。
◇
ビルを出ると、空はまだ完全には暗くなっていなかった。
ネオンと夕焼けの境目。
ビルのガラスに、淡いオレンジが残っている。
スマホで終電の時間を確認する。
何度見ても、まだ余裕がある。
(……終電、逃してない)
それだけのことで、
体の中のどこかの筋肉が、ふっとゆるんだ。
駅までのいつもの道を歩き出して、
ふと、足が止まる。
ビルとビルの間、
いつもは通らない細い路地がある。
そこを抜けると、
夜遅くまでやっているカフェが一軒あるのを知っているけれど──
(あっち側、星の匂いがするな)
胸の奥で、小さなベルが鳴った気がした。
今までは、
終電を逃した夜や、
心がすり減りすぎた帰り道に、
気づいたら「星屑コンビニ」の前に立っていた。
けれど今日は、まだ終電には間に合う。
疲れてはいるけれど、
「立っているのもやっと」みたいな状態ではない。
(……それでも、行きたいな)
迷い込むんじゃなくて、
選んで行きたい。
そう思った瞬間、
足が自然と、路地の方へ向いた。
◇
路地に足を踏み入れると、
街灯の光が、少しだけ柔らかくなる。
アスファルトの黒に、
小さくきらきらした砂のようなものが混ざっている。
(これ、いつもあったっけ)
よく見ると、それはただの砂利じゃなくて、
ほんのり光る「星のかけら」みたいに見えた。
スマホの画面を見ると、
電波表示が一瞬だけふっと消える。
(……あ、こっちモードに入った)
何度か経験した、
「世界の隙間」に滑り込む感覚。
でも今日は、
不安や絶望に押し出されてそこに落ちるのではなくて、
自分で足を運んでいる。
それが、決定的に違った。
路地を抜けると──
そこに、「あの看板」があった。
星屑コンビニ。
ネオンの星粒が、
いつもより少しだけ、控えめに瞬いている。
自動ドアが、ウィィィンと開いた。
「いらっしゃいませ──」
レジカウンターの向こうから聞こえる声。
レオンが、目を丸くした。
「……おお。今日は“終電逃した顔”じゃないな」
「どういう顔ですか、それ」
笑いながら、店内に足を踏み入れる。
天井スピーカーが、軽い音を立てた。
『【来店ログ】
・終電を逃さずに来店したお客さまを確認しました。
モード:迷い込み → 選んで来る に切り替わりました。』
「モード切り替えって言われると、ゲームみたいですね」
「大事なパラメータなんだぞ。
“追いつめられて滑り込む”のと、“余裕あるうちに立ち寄る”のじゃ、
世界の揚げ時間も違ってくるからな」
「世界の揚げ時間、さらっと使わないでください」
でも、そんなやりとりができるくらいには、
今日はまだ元気が残っていた。
◇
店内を見渡すと、
いつものように「人外密度」が高かった。
ホットスナックケースの前では、
元・勇者が、「宿の新メニュー」と称して
唐揚げとコロッケのバランスを真剣に悩んでいる。
雑誌コーナーの隣では、
魔王が、改装中の城食堂の図面を広げていた。
その向かいで、
ドラゴン保育園の見学を終えたらしい竜王子が、
子どもドラゴンの描いた絵を見せびらかしている。
店内中央のテーブルには、
「世界を救わない仕事フェア」のポップが、
今日のおすすめを掲げていた。
『本日の“二周目”進捗報告会
・宿屋見習いの勇者さん
・ドラゴン保育園見学帰りの王子さま
・食堂改装計画中の元・魔王さま
それぞれの「働き方」と「休み方」の話、
ご自由にどうぞ。
※聞くだけ参加も歓迎です。』
「……なんか、勝手にイベント始まってません?」
「店長の趣味だから」
レオンが、例の万能言い訳を口にする。
「まあ、ちょうどいいだろ。
“二周目”の先輩たち、揃ってるし」
「え、私、まだ二周目というには……」
「会社員+夜勤スタッフで、十分二周目だよ」
レオンは、ポットから紙コップにお茶を注ぎながら言った。
「今日は余裕ありそうだから、
たまにはお客側で、座って話聞いてきな」
「え、働かなくていいんですか?」
「店員が客席に座るコンビニがあってもいいだろ。
星屑コンビニだぞ?」
理屈はよくわからないけど、
説得力だけはある。
紙コップを受け取って、
私はテーブル席の一角へ向かった。
◇
「おお、ゆきも来たか」
勇者が、ほっとしたように笑った。
以前より少し、顔色がいい。
「宿屋の仕事、どうですか?」
「忙しいが、世界の命運はかかっておらんからな。
皿洗いを失敗しても、世界は滅びん」
それはそれで名言だった。
「『皿洗いを失敗しても世界は滅びない』、ですね」
魔王が、図面に鉛筆を走らせながら言う。
「うちの食堂もそうだ。
メニューをひとつ失敗しても、国は傾かん。
……まあ、腹を壊されたらクレームは来るが」
「どこでもクレームは来るんですね」
どこの世界も同じだ。
竜王子が、おずおずと色とりどりの紙を差し出してきた。
「見てください……その、保育園の子どもたちが描いた絵」
紙いっぱいに描かれた、丸っこいドラゴンたち。
火力調整の練習なのか、
炎がところどころ淡いピンクや水色で塗られている。
「かわいい……」
「『せんせい、ちゃんと見ててくれる』って描いてくれたんです」
竜王子の声が、少し照れ隠し気味に震える。
「まだ、こわい気持ちはありますけど。
『全部守れなかったらダメ』じゃなくて、
『みんなで見てればいい』って、
少しずつ思えるようになってきました」
その言葉が、胸に刺さる。
(“みんなで見てればいい”か……)
会社でも、
そうやって見ていけたらいいのに、とふと思う。
勇者が、紙コップを持ち上げた。
「二周目の仕事は、
“前より偉くなる”ことじゃないと、最近ようやくわかった」
「偉くなるんじゃ、ない?」
「前線にいたときは、
ずっと『次はもっと難しいクエストを』って言われてたからな。
でも今は、
『洗い物してくれて助かるよ』って言われるのが、
妙に嬉しい」
魔王も、図面から目を離して言葉を継ぐ。
「わたしも、以前は『もっと強い魔術を』と求められ続けていた。
今は、『塩加減、ちょうどいいね』と言われるだけで、
悪くない気分だ」
「塩加減と世界の命運、
並べないでください」
でも、どこかで繋がっている。
(“もっとすごくなれ”じゃなくて、
“今のこれで、助かるよ”って言葉)
ドラゴンの子どもの「せんせい、ちゃんと見ててくれる」の絵と、
職場で後輩に言われた「自分もやれることやります」が、
頭の中で重なった。
紙コップの温度が、
指先をゆっくり温める。
◇
「ゆきはどうだ?」
勇者が問う。
「会社の方は、
“二周目”の気配は出てきたか?」
「ええと……」
私は、少しだけ言葉に詰まりながらも正直に答えた。
「“全部自分がやらないと”っていうのを、
少しずつ手放してみてます。
まだうまくいく日とうまくいかない日がありますけど……」
1日目のメモ帳が脳裏をよぎる。
全部やらない練習。
「今日は、終電前に自分から会社を出てきました」
魔王が、ふっと目を細めた。
「終電に追い出されるのではなく、
自らの意思で帰るのは、大事な一歩だな」
「世界全体への影響は?」
勇者が、どこか楽しそうに聞く。
「ほぼなしです」
レオンの真似をして答えると、
テーブルの全員が笑った。
「でも、“似たような誰か”の、
『帰ってもいいのかもしれない』って確率は、
ちょっとだけ上がるかもしれません」
「それで十分だと思うぞ」
勇者が、真面目な顔で頷く。
「世界は、そういう“ちょっとだけ”を積み上げて動いてるからな」
世界情勢端末が、天井で点滅した。
『世界内ログ:
・「終電前に帰宅すること」を選んだ人の数 → 微増
・うち、「帰り道にコンビニでプリンを買うこと」を選んだ人の数 → 微増
星屑コンビニの影響:たぶん少しだけあります。』
「“たぶん少しだけ”って、かわいいですね」
「この店のチートの限界だからな」
レオンが、いつもの調子で付け足す。
◇
ひとしきり話を聞いたあと、
私は、求人ラックの前に立った。
ポップには、新しいカードが一枚増えている。
『【小さな読み聞かせの会】
・月に一度、子どもたちや、
「昔子どもだった大人」たちに、本を読む会。
・必要なもの:
本が好きな気持ち。
上手じゃなくても、声を出して読んでみたい気持ち。
・場所と時間は、世界のどこか、そのときの参加者次第。
※“仕事”と呼んでもいいし、“趣味”と呼んでもいいです。』
「……ずるい、ほんとに」
思わず口から出た言葉に、
レオンが面白そうな顔をする。
「刺さる?」
「刺さりまくってます」
子どもの頃、本を読んでもらう時間が好きだったこと。
大人になってからも、
誰かの声で物語を聞くと、
現実が少し遠くへ行ってくれるような感覚があったこと。
(私も、いつか誰かに読んでみたいな)
そんな願いを、
ずっと「そんな時間ないし」で覆い隠してきた。
でも、ポップは、軽く肩を叩いてくる。
“仕事と呼んでも、趣味と呼んでもいいです”。
「……レオンさん」
「ん」
「私、“働き方”って、
お金もらう仕事のことだけだと思ってたんですけど」
「うん」
「こういう、
『月に一度、本を読む会をする』みたいなことも、
“働き方”とか、“生き方”の配合に入れていいなら──」
言いながら、自分で少し笑ってしまう。
「意外と、変えられる余地、あるのかもしれないですね」
レオンが、にやっと笑った。
「ようやく気づいたか」
「遅かったですか?」
「いや、ベストタイミングだと思うぞ。
“全部一気に変えなきゃ”って思ってるときは、
だいたい手をつけられないからな」
天井スピーカーが、しれっと補足する。
『店長コメント:
働き方と休み方は、「全部入れ替え」ではなく、
“配合をちょっと変えてみる”ところからで大丈夫です。
・今の仕事
・星屑コンビニ夜勤
・いつかの喫茶室
・月に一度の読み聞かせ
などを、少しずつ混ぜながら、
あなたの「二周目配合」を探してみてください。』
「……店長、相変わらず見てますね」
「ログオタクだから」
また便利な一言が出た。
◇
「じゃ、今日のところは、そろそろ送ってやるか」
レオンが、レジの前に立った。
「え、まだそんなに遅くないですよ?」
「だからだよ。
“余裕のあるうちに帰る”って感覚、
体に覚えさせておいた方がいい」
たしかに、その通りだ。
私は、レジカウンターにおにぎりと小さなスイーツを並べた。
今日は、星屑プリンじゃなくて、
少し固めのチーズケーキ。
「これ、前の世界でも見たことあります」
「世界は、似たようなものを同時多発的に生み出すからな」
レジの上の表示が、静かに点灯する。
『Night Shift:Leon / Yuki
※本日は、スタッフも“少し早めに揚げ終わり”を推奨します。』
「“揚げ終わり”って何ですか」
「本日の業務終了、って意味だよ」
レオンが、バーコードをスキャンする。
ピッ、という音と同時に、
レシートプリンタが動き出した。
「これ、前の世界でも使えるようにしておいたから」
レオンが、レシートを一枚、ひらりと差し出す。
受け取って見てみると、
商品名の下に、小さな一文が印字されていた。
『今日、終電を逃さずに帰ることを選んだあなたへ。
世界全体への影響は、たぶんほぼありません。
でも、明日のあなたには、
きっと少しだけ効いてきます。 星屑コンビニ』
「……ずるい」
「褒め言葉として受け取っておく」
本当にずるい。
でも、そのずるさに、救われる。
胸の奥が、じんわり温かくなった。
◇
自動ドアを出ると、
さっきの路地が、元の街の色に戻っていた。
星の砂のようなきらきらは、
アスファルトに紛れて見えなくなっている。
それでも、足元が少しだけ軽い。
駅までの道を歩きながら、
さっきのレシートをもう一度見た。
スマホのメモ帳に、新しいページを作る。
『全部やらない練習 継続中
・終電前に、自分の意思で会社を出た。
・星屑コンビニに、“迷い込まずに”行った。
・勇者と魔王と竜王子の二周目話を聞いた。
・“働き方”は、仕事だけじゃなくて、
喫茶室とか読み聞かせとかも混ぜていいらしい。
・世界全体への影響:やっぱりほぼなし。
・でも、今日の自分には、ちゃんと効いている。』
打ち終えて、送信ボタンも保存ボタンもない画面を眺める。
(どこかで、店長か世界情勢端末が、
にやにやしながら読んでるんだろうな)
そう思うと、
ちょっとだけ背中を伸ばしたくなった。
電車のホームには、
まだ人の列ができている。
でも今日は、「乗れるかどうか」の心配はほとんどない。
レールの向こう、
暮れかけの空に、一番星が滲んでいた。
(全部を一気に変えるのは、きっと無理だけど。
今日みたいな夜を、
少しずつ増やしていけたらいいな)
そう思いながら、
やってきた電車に乗り込む。
ポケットの中で、
星屑コンビニのレシートが、かさりと鳴った。
終電を逃さない夜と、
それでも選んで立ち寄るコンビニ。
その組み合わせが、
これからの自分の“二周目配合”のひとつになる予感がした。
いつもなら月曜の朝は、メールボックスが未読の山なのに、
今日はなぜか、クライアントからの返事も落ち着いている。
先週のエラー騒ぎも、
エンジニアさんたちが調査を進めてくれていて、
私の役目は「状況共有」と「連絡の橋渡し」にだいぶ絞られていた。
(……こういう日も、あるんだなあ)
午前中の会議も、延長せずに終わる。
午後の作業も、山はあるけど、
「今日やる分」と「明日でもいい分」をちゃんと分けて進められている。
机の右端に並んだ付箋たち。
「今日やる」プレートの列は、着実に減っていき、
「明日に回す」列は、必要以上には増えないように気をつける。
(“全部やらない練習”)
1日目のメモを思い出して、
心の中でそっと笑った。
◇
夕方、最後の一件の電話を終えたとき、
時計の針は、まだ十八時半を指していた。
周りを見渡すと、
残っている人はもちろんいるけれど、
「今日も終電コースだね」という空気ではない。
「ゆきちゃん、今日は上がれそう?」
上司の声に、時計をもう一度見る。
「はい。
今日の分の共有も、さっきチャットに上げましたし、
エラー対応の続きは、明日エンジニアさんと一緒に見ます」
「おう、助かる。
……なんか、最近“明日やる”って言葉に、
前よりちゃんと『段取り』が乗ってるな」
「それは、いい意味ですか?」
「いい意味だよ」
上司が、ちょっと照れたように笑う。
「今まで、『全部今日やる』って顔してたからさ。
それはそれで頼もしいけど、見てる方はちょっとヒヤヒヤするんだよ」
その言葉に、胸の奥がじん、とした。
(“頼もしい”と“危なっかしい”の境目って、
意外と自分ではわからないんだよな……)
「じゃ、今日はもう上がっていいよ。
また明日、頼むな」
「はい。お先に失礼します」
席を立ちながら、
少しだけ足取りが軽くなる。
◇
ビルを出ると、空はまだ完全には暗くなっていなかった。
ネオンと夕焼けの境目。
ビルのガラスに、淡いオレンジが残っている。
スマホで終電の時間を確認する。
何度見ても、まだ余裕がある。
(……終電、逃してない)
それだけのことで、
体の中のどこかの筋肉が、ふっとゆるんだ。
駅までのいつもの道を歩き出して、
ふと、足が止まる。
ビルとビルの間、
いつもは通らない細い路地がある。
そこを抜けると、
夜遅くまでやっているカフェが一軒あるのを知っているけれど──
(あっち側、星の匂いがするな)
胸の奥で、小さなベルが鳴った気がした。
今までは、
終電を逃した夜や、
心がすり減りすぎた帰り道に、
気づいたら「星屑コンビニ」の前に立っていた。
けれど今日は、まだ終電には間に合う。
疲れてはいるけれど、
「立っているのもやっと」みたいな状態ではない。
(……それでも、行きたいな)
迷い込むんじゃなくて、
選んで行きたい。
そう思った瞬間、
足が自然と、路地の方へ向いた。
◇
路地に足を踏み入れると、
街灯の光が、少しだけ柔らかくなる。
アスファルトの黒に、
小さくきらきらした砂のようなものが混ざっている。
(これ、いつもあったっけ)
よく見ると、それはただの砂利じゃなくて、
ほんのり光る「星のかけら」みたいに見えた。
スマホの画面を見ると、
電波表示が一瞬だけふっと消える。
(……あ、こっちモードに入った)
何度か経験した、
「世界の隙間」に滑り込む感覚。
でも今日は、
不安や絶望に押し出されてそこに落ちるのではなくて、
自分で足を運んでいる。
それが、決定的に違った。
路地を抜けると──
そこに、「あの看板」があった。
星屑コンビニ。
ネオンの星粒が、
いつもより少しだけ、控えめに瞬いている。
自動ドアが、ウィィィンと開いた。
「いらっしゃいませ──」
レジカウンターの向こうから聞こえる声。
レオンが、目を丸くした。
「……おお。今日は“終電逃した顔”じゃないな」
「どういう顔ですか、それ」
笑いながら、店内に足を踏み入れる。
天井スピーカーが、軽い音を立てた。
『【来店ログ】
・終電を逃さずに来店したお客さまを確認しました。
モード:迷い込み → 選んで来る に切り替わりました。』
「モード切り替えって言われると、ゲームみたいですね」
「大事なパラメータなんだぞ。
“追いつめられて滑り込む”のと、“余裕あるうちに立ち寄る”のじゃ、
世界の揚げ時間も違ってくるからな」
「世界の揚げ時間、さらっと使わないでください」
でも、そんなやりとりができるくらいには、
今日はまだ元気が残っていた。
◇
店内を見渡すと、
いつものように「人外密度」が高かった。
ホットスナックケースの前では、
元・勇者が、「宿の新メニュー」と称して
唐揚げとコロッケのバランスを真剣に悩んでいる。
雑誌コーナーの隣では、
魔王が、改装中の城食堂の図面を広げていた。
その向かいで、
ドラゴン保育園の見学を終えたらしい竜王子が、
子どもドラゴンの描いた絵を見せびらかしている。
店内中央のテーブルには、
「世界を救わない仕事フェア」のポップが、
今日のおすすめを掲げていた。
『本日の“二周目”進捗報告会
・宿屋見習いの勇者さん
・ドラゴン保育園見学帰りの王子さま
・食堂改装計画中の元・魔王さま
それぞれの「働き方」と「休み方」の話、
ご自由にどうぞ。
※聞くだけ参加も歓迎です。』
「……なんか、勝手にイベント始まってません?」
「店長の趣味だから」
レオンが、例の万能言い訳を口にする。
「まあ、ちょうどいいだろ。
“二周目”の先輩たち、揃ってるし」
「え、私、まだ二周目というには……」
「会社員+夜勤スタッフで、十分二周目だよ」
レオンは、ポットから紙コップにお茶を注ぎながら言った。
「今日は余裕ありそうだから、
たまにはお客側で、座って話聞いてきな」
「え、働かなくていいんですか?」
「店員が客席に座るコンビニがあってもいいだろ。
星屑コンビニだぞ?」
理屈はよくわからないけど、
説得力だけはある。
紙コップを受け取って、
私はテーブル席の一角へ向かった。
◇
「おお、ゆきも来たか」
勇者が、ほっとしたように笑った。
以前より少し、顔色がいい。
「宿屋の仕事、どうですか?」
「忙しいが、世界の命運はかかっておらんからな。
皿洗いを失敗しても、世界は滅びん」
それはそれで名言だった。
「『皿洗いを失敗しても世界は滅びない』、ですね」
魔王が、図面に鉛筆を走らせながら言う。
「うちの食堂もそうだ。
メニューをひとつ失敗しても、国は傾かん。
……まあ、腹を壊されたらクレームは来るが」
「どこでもクレームは来るんですね」
どこの世界も同じだ。
竜王子が、おずおずと色とりどりの紙を差し出してきた。
「見てください……その、保育園の子どもたちが描いた絵」
紙いっぱいに描かれた、丸っこいドラゴンたち。
火力調整の練習なのか、
炎がところどころ淡いピンクや水色で塗られている。
「かわいい……」
「『せんせい、ちゃんと見ててくれる』って描いてくれたんです」
竜王子の声が、少し照れ隠し気味に震える。
「まだ、こわい気持ちはありますけど。
『全部守れなかったらダメ』じゃなくて、
『みんなで見てればいい』って、
少しずつ思えるようになってきました」
その言葉が、胸に刺さる。
(“みんなで見てればいい”か……)
会社でも、
そうやって見ていけたらいいのに、とふと思う。
勇者が、紙コップを持ち上げた。
「二周目の仕事は、
“前より偉くなる”ことじゃないと、最近ようやくわかった」
「偉くなるんじゃ、ない?」
「前線にいたときは、
ずっと『次はもっと難しいクエストを』って言われてたからな。
でも今は、
『洗い物してくれて助かるよ』って言われるのが、
妙に嬉しい」
魔王も、図面から目を離して言葉を継ぐ。
「わたしも、以前は『もっと強い魔術を』と求められ続けていた。
今は、『塩加減、ちょうどいいね』と言われるだけで、
悪くない気分だ」
「塩加減と世界の命運、
並べないでください」
でも、どこかで繋がっている。
(“もっとすごくなれ”じゃなくて、
“今のこれで、助かるよ”って言葉)
ドラゴンの子どもの「せんせい、ちゃんと見ててくれる」の絵と、
職場で後輩に言われた「自分もやれることやります」が、
頭の中で重なった。
紙コップの温度が、
指先をゆっくり温める。
◇
「ゆきはどうだ?」
勇者が問う。
「会社の方は、
“二周目”の気配は出てきたか?」
「ええと……」
私は、少しだけ言葉に詰まりながらも正直に答えた。
「“全部自分がやらないと”っていうのを、
少しずつ手放してみてます。
まだうまくいく日とうまくいかない日がありますけど……」
1日目のメモ帳が脳裏をよぎる。
全部やらない練習。
「今日は、終電前に自分から会社を出てきました」
魔王が、ふっと目を細めた。
「終電に追い出されるのではなく、
自らの意思で帰るのは、大事な一歩だな」
「世界全体への影響は?」
勇者が、どこか楽しそうに聞く。
「ほぼなしです」
レオンの真似をして答えると、
テーブルの全員が笑った。
「でも、“似たような誰か”の、
『帰ってもいいのかもしれない』って確率は、
ちょっとだけ上がるかもしれません」
「それで十分だと思うぞ」
勇者が、真面目な顔で頷く。
「世界は、そういう“ちょっとだけ”を積み上げて動いてるからな」
世界情勢端末が、天井で点滅した。
『世界内ログ:
・「終電前に帰宅すること」を選んだ人の数 → 微増
・うち、「帰り道にコンビニでプリンを買うこと」を選んだ人の数 → 微増
星屑コンビニの影響:たぶん少しだけあります。』
「“たぶん少しだけ”って、かわいいですね」
「この店のチートの限界だからな」
レオンが、いつもの調子で付け足す。
◇
ひとしきり話を聞いたあと、
私は、求人ラックの前に立った。
ポップには、新しいカードが一枚増えている。
『【小さな読み聞かせの会】
・月に一度、子どもたちや、
「昔子どもだった大人」たちに、本を読む会。
・必要なもの:
本が好きな気持ち。
上手じゃなくても、声を出して読んでみたい気持ち。
・場所と時間は、世界のどこか、そのときの参加者次第。
※“仕事”と呼んでもいいし、“趣味”と呼んでもいいです。』
「……ずるい、ほんとに」
思わず口から出た言葉に、
レオンが面白そうな顔をする。
「刺さる?」
「刺さりまくってます」
子どもの頃、本を読んでもらう時間が好きだったこと。
大人になってからも、
誰かの声で物語を聞くと、
現実が少し遠くへ行ってくれるような感覚があったこと。
(私も、いつか誰かに読んでみたいな)
そんな願いを、
ずっと「そんな時間ないし」で覆い隠してきた。
でも、ポップは、軽く肩を叩いてくる。
“仕事と呼んでも、趣味と呼んでもいいです”。
「……レオンさん」
「ん」
「私、“働き方”って、
お金もらう仕事のことだけだと思ってたんですけど」
「うん」
「こういう、
『月に一度、本を読む会をする』みたいなことも、
“働き方”とか、“生き方”の配合に入れていいなら──」
言いながら、自分で少し笑ってしまう。
「意外と、変えられる余地、あるのかもしれないですね」
レオンが、にやっと笑った。
「ようやく気づいたか」
「遅かったですか?」
「いや、ベストタイミングだと思うぞ。
“全部一気に変えなきゃ”って思ってるときは、
だいたい手をつけられないからな」
天井スピーカーが、しれっと補足する。
『店長コメント:
働き方と休み方は、「全部入れ替え」ではなく、
“配合をちょっと変えてみる”ところからで大丈夫です。
・今の仕事
・星屑コンビニ夜勤
・いつかの喫茶室
・月に一度の読み聞かせ
などを、少しずつ混ぜながら、
あなたの「二周目配合」を探してみてください。』
「……店長、相変わらず見てますね」
「ログオタクだから」
また便利な一言が出た。
◇
「じゃ、今日のところは、そろそろ送ってやるか」
レオンが、レジの前に立った。
「え、まだそんなに遅くないですよ?」
「だからだよ。
“余裕のあるうちに帰る”って感覚、
体に覚えさせておいた方がいい」
たしかに、その通りだ。
私は、レジカウンターにおにぎりと小さなスイーツを並べた。
今日は、星屑プリンじゃなくて、
少し固めのチーズケーキ。
「これ、前の世界でも見たことあります」
「世界は、似たようなものを同時多発的に生み出すからな」
レジの上の表示が、静かに点灯する。
『Night Shift:Leon / Yuki
※本日は、スタッフも“少し早めに揚げ終わり”を推奨します。』
「“揚げ終わり”って何ですか」
「本日の業務終了、って意味だよ」
レオンが、バーコードをスキャンする。
ピッ、という音と同時に、
レシートプリンタが動き出した。
「これ、前の世界でも使えるようにしておいたから」
レオンが、レシートを一枚、ひらりと差し出す。
受け取って見てみると、
商品名の下に、小さな一文が印字されていた。
『今日、終電を逃さずに帰ることを選んだあなたへ。
世界全体への影響は、たぶんほぼありません。
でも、明日のあなたには、
きっと少しだけ効いてきます。 星屑コンビニ』
「……ずるい」
「褒め言葉として受け取っておく」
本当にずるい。
でも、そのずるさに、救われる。
胸の奥が、じんわり温かくなった。
◇
自動ドアを出ると、
さっきの路地が、元の街の色に戻っていた。
星の砂のようなきらきらは、
アスファルトに紛れて見えなくなっている。
それでも、足元が少しだけ軽い。
駅までの道を歩きながら、
さっきのレシートをもう一度見た。
スマホのメモ帳に、新しいページを作る。
『全部やらない練習 継続中
・終電前に、自分の意思で会社を出た。
・星屑コンビニに、“迷い込まずに”行った。
・勇者と魔王と竜王子の二周目話を聞いた。
・“働き方”は、仕事だけじゃなくて、
喫茶室とか読み聞かせとかも混ぜていいらしい。
・世界全体への影響:やっぱりほぼなし。
・でも、今日の自分には、ちゃんと効いている。』
打ち終えて、送信ボタンも保存ボタンもない画面を眺める。
(どこかで、店長か世界情勢端末が、
にやにやしながら読んでるんだろうな)
そう思うと、
ちょっとだけ背中を伸ばしたくなった。
電車のホームには、
まだ人の列ができている。
でも今日は、「乗れるかどうか」の心配はほとんどない。
レールの向こう、
暮れかけの空に、一番星が滲んでいた。
(全部を一気に変えるのは、きっと無理だけど。
今日みたいな夜を、
少しずつ増やしていけたらいいな)
そう思いながら、
やってきた電車に乗り込む。
ポケットの中で、
星屑コンビニのレシートが、かさりと鳴った。
終電を逃さない夜と、
それでも選んで立ち寄るコンビニ。
その組み合わせが、
これからの自分の“二周目配合”のひとつになる予感がした。
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