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第2話 消えていく「余白時間」の謎
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自己呪詛課では、一日の終わりに「勤務ログ」をつけることになっている。
誰がどの時間帯に、どの自己呪詛案件を処理したか。どれだけ「祝福配合」に回せたか。それらを記録しておかないと、後から自己呪詛の追跡ができなくなるからだ。
見習い書記官も、例に漏れず自分のログを書くことになった。
「えっと……午前中は、窓口で受付の写しを作って……午後は、自己紹介シートの整理と……」
机に向かって、ちまちまとペンを走らせる。
その後ろから、基準策定官が覗き込んだ。
「休憩欄が空欄ですが?」
「きゅ、休憩……あ、そういえば、さっき、取るようにって言われて……」
彼女は眉を寄せる。
「あれ……? 取ったような……取らなかったような……ごめんなさい、記憶が曖昧で……」
「……ふむ」
基準策定官は、彼女の横に別のログ帳を置いた。
それは、課全体の共通ログである。
「課全体の記録では、十三時四十五分から十四時は“見習い書記官・休憩中”になっています」
「えっ、わたし、休憩……してたんですか……?」
「私は、その時間、あなたに休憩を命じました」
命じた、と言われると、何か軍隊のようで物々しい。
「けれど、あなたの個人ログからは、その十五分がごっそり抜け落ちています。これは、珍しい現象です」
「め、珍しい、現象……」
彼女が困惑している間にも、机の端で黒猫書類が一匹、ぴくりと耳を動かした。
ちょこちょこと近寄ってくると、彼女のログ帳の端を、前足でちょい、とつつく。
「あっ」
紙の端が、ぺらり、とめくれた……ような気がした。
気がついたときには、ログのページから、「休憩」と書きかけたはずの一行が、跡形もなく消えていた。
「……今、何かしましたか?」
「い、いえっ、何も……! ごめんなさい、ぼんやりしてました……?」
「ぼんやりしていたなら、その記録が残っているはずです」
基準策定官は、黒猫書類をじっと見下ろす。
黒猫は、知らん顔で片足をぺろぺろと舐めていた。
タグに書かれた文字が、さらに濃くにじんでいく。
『役に立たない時間を全部消してください』
彼は心の中で、ひとつ仮説を立てる。
(“役に立たない”と本人が判断した時間が、自動的にログから削除されている……? そのプロセスを、自己呪詛が肩代わりしているのか)
もしそうなら、その呪いはかなり根深い。
「……ひとつ、確認してもいいですか」
「は、はい……」
「今日、窓口のお客さんが差し入れてくださった焼き菓子を、あなたは食べましたか?」
見習い書記官は、ぱちぱちと瞬きをした。
「あの、可愛い袋に入ってたクッキーですよね……。食べたような、食べてないような……。匂いはした気がするんですけど……ごめんなさい、やっぱり曖昧で……」
「では、これを」
基準策定官は、引き出しから同じクッキーの袋を取り出した。
「自己呪詛課のみなさまへ」と書かれたメッセージカード付きだ。
「えっ、まだ残ってたんですか!?」
「残っていたので、あなたの前に置きます。これから、クッキーを一枚食べてください」
「い、今ですか!? でも勤務中ですし、その……」
「これは“研究の一環”です。勤務のうちです」
「研、研究……」
クッキー一枚で研究されるのは、なんだか少し恥ずかしい。
それでも、基準策定官の目は真剣そのものだった。
見習い書記官は、おそるおそる袋を開け、小さなクッキーをつまむ。
口に運ぶと、ほどけるような甘さが広がった。
「……おいしい……」
思わず零れたその一言に、黒猫書類がぴくりと反応する。
だが、すぐには動かない。
「今、あなたはどう感じていますか」
「えっ?」
「“役に立っていないから食べちゃいけない”と、少しでも思ったなら、正直に答えてください」
見習い書記官は、クッキーを咀嚼しながら、困ったように笑った。
「……少しだけ、思いました。まだ上手く仕事もできてないのに、こんな美味しいものをもらっていいのかなって……」
その瞬間だった。
ふっと、彼女の目の前の景色が、かすかに揺らいだ。
クッキーを持っていたはずの手が、空を掴んでいる。
「あれ……?」
机の上を見ると、さっきまであったクッキーの袋ごと、跡形もなく消えていた。
一欠片も残っていない。
「え、えっ!? ご、ごめんなさい、わたし、ちゃんとしまわないで、どこかに……」
「落ち着いてください」
基準策定官は、静かに壁の時計を指差した。
さっきまで十六時二十分を指していた針が、十六時三十五分を示している。
「今の十五分間が、あなたの記録から消えました」
「き、記録……?」
「勤務ログにも、同じく空白が生じています。あなたがクッキーを受け取り、食べて、“おいしい”と感じた時間ごと」
言われてみれば、確かに、彼女の手帳の該当欄は真っ白だった。
さっきまでペンで書き込んでいたはずの字が、丸ごと、消しゴムで消されたかのように。
「……こわ……」
思わずこぼれた本音に、自分で驚いて、彼女は口を押さえた。
「ご、ごめんなさい、そんなこと言ったら、せっかくの差し入れにも、条文にも失礼で……!」
「いいえ。妥当な感想です」
基準策定官は、机の下で丸くなっている黒猫書類を見つめる。
黒猫は、くわえていた白い紙片を、彼の足元にぽとりと落とした。
それは、さっきまで彼女のログ帳に存在していたはずの一行──『差し入れのクッキーをいただく』という記録だった。
「やはり、あなたの周囲で、“役に立たない”と自己判定した時間だけが、自己呪詛によって回収されているようですね」
「じ、自己判定……」
「クッキーを食べることが“役に立たない”と感じた瞬間、その時間は自己呪詛にとっての餌になります。黒猫は、そうやって“余白”を食べて大きくなる」
彼は紙片を拾い上げると、慎重に指先で撫でた。
紙は、しゅるり、とほどけて消え、代わりに黒猫の体がほんの少しだけ、まあるく柔らかくなる。
「けれど、この子はあなたを傷つけたくてやっているわけではありません。あなたの“役に立ちたい”という願いを、過剰に叶えようとしているだけです」
「わたしの、願い……」
彼女は、自分の胸に手を当てた。
幼いころに、何度も繰り返した言葉が、うっすらと浮かび上がってくる。
――役に立つ子でいなきゃ。
――役に立たないわたしには、価値がない。
口に出した覚えはないのに、確かに心のどこかで繰り返してきたフレーズ。
それが、目の前の黒猫のタグに、一行で象られている。
『役に立たない時間を全部消してください』
「……そんなこと、願った、んでしょうか、わたし……」
震える声に、基準策定官は小さく息を吐いた。
「願ってしまったのだと思います。まだ、子どものころに。世界の条文を知らないまま」
彼は、静かに宣言する。
「自己呪詛課・基準策定官として、あなたの状態を正式に“要監査”と認定します」
「よ、要監査……」
「あなたの“余白時間”が、これ以上勝手に削除されないよう、条文上の保護が必要です。したがって──」
彼の瞳が、真剣に細められる。
「今後しばらく、あなたの一日を“個人監査”させてください」
「こ、個人監査……って、それは、その……」
なんだか、とても大事になってきた気がして、彼女は慌てて椅子から立ち上がってしまう。
すると、黒猫書類が彼女の足元にまとわりつき、ふにゃ、と鳴いた。
まるで、「やっと気づいてくれた」とでも言うように。
「ごめんなさい……じゃなくて」
彼女は、息を吸い込んだ。
「よろしくお願いします」
その言葉だけは、
余白ごと、しっかりとログに刻まれていった。
誰がどの時間帯に、どの自己呪詛案件を処理したか。どれだけ「祝福配合」に回せたか。それらを記録しておかないと、後から自己呪詛の追跡ができなくなるからだ。
見習い書記官も、例に漏れず自分のログを書くことになった。
「えっと……午前中は、窓口で受付の写しを作って……午後は、自己紹介シートの整理と……」
机に向かって、ちまちまとペンを走らせる。
その後ろから、基準策定官が覗き込んだ。
「休憩欄が空欄ですが?」
「きゅ、休憩……あ、そういえば、さっき、取るようにって言われて……」
彼女は眉を寄せる。
「あれ……? 取ったような……取らなかったような……ごめんなさい、記憶が曖昧で……」
「……ふむ」
基準策定官は、彼女の横に別のログ帳を置いた。
それは、課全体の共通ログである。
「課全体の記録では、十三時四十五分から十四時は“見習い書記官・休憩中”になっています」
「えっ、わたし、休憩……してたんですか……?」
「私は、その時間、あなたに休憩を命じました」
命じた、と言われると、何か軍隊のようで物々しい。
「けれど、あなたの個人ログからは、その十五分がごっそり抜け落ちています。これは、珍しい現象です」
「め、珍しい、現象……」
彼女が困惑している間にも、机の端で黒猫書類が一匹、ぴくりと耳を動かした。
ちょこちょこと近寄ってくると、彼女のログ帳の端を、前足でちょい、とつつく。
「あっ」
紙の端が、ぺらり、とめくれた……ような気がした。
気がついたときには、ログのページから、「休憩」と書きかけたはずの一行が、跡形もなく消えていた。
「……今、何かしましたか?」
「い、いえっ、何も……! ごめんなさい、ぼんやりしてました……?」
「ぼんやりしていたなら、その記録が残っているはずです」
基準策定官は、黒猫書類をじっと見下ろす。
黒猫は、知らん顔で片足をぺろぺろと舐めていた。
タグに書かれた文字が、さらに濃くにじんでいく。
『役に立たない時間を全部消してください』
彼は心の中で、ひとつ仮説を立てる。
(“役に立たない”と本人が判断した時間が、自動的にログから削除されている……? そのプロセスを、自己呪詛が肩代わりしているのか)
もしそうなら、その呪いはかなり根深い。
「……ひとつ、確認してもいいですか」
「は、はい……」
「今日、窓口のお客さんが差し入れてくださった焼き菓子を、あなたは食べましたか?」
見習い書記官は、ぱちぱちと瞬きをした。
「あの、可愛い袋に入ってたクッキーですよね……。食べたような、食べてないような……。匂いはした気がするんですけど……ごめんなさい、やっぱり曖昧で……」
「では、これを」
基準策定官は、引き出しから同じクッキーの袋を取り出した。
「自己呪詛課のみなさまへ」と書かれたメッセージカード付きだ。
「えっ、まだ残ってたんですか!?」
「残っていたので、あなたの前に置きます。これから、クッキーを一枚食べてください」
「い、今ですか!? でも勤務中ですし、その……」
「これは“研究の一環”です。勤務のうちです」
「研、研究……」
クッキー一枚で研究されるのは、なんだか少し恥ずかしい。
それでも、基準策定官の目は真剣そのものだった。
見習い書記官は、おそるおそる袋を開け、小さなクッキーをつまむ。
口に運ぶと、ほどけるような甘さが広がった。
「……おいしい……」
思わず零れたその一言に、黒猫書類がぴくりと反応する。
だが、すぐには動かない。
「今、あなたはどう感じていますか」
「えっ?」
「“役に立っていないから食べちゃいけない”と、少しでも思ったなら、正直に答えてください」
見習い書記官は、クッキーを咀嚼しながら、困ったように笑った。
「……少しだけ、思いました。まだ上手く仕事もできてないのに、こんな美味しいものをもらっていいのかなって……」
その瞬間だった。
ふっと、彼女の目の前の景色が、かすかに揺らいだ。
クッキーを持っていたはずの手が、空を掴んでいる。
「あれ……?」
机の上を見ると、さっきまであったクッキーの袋ごと、跡形もなく消えていた。
一欠片も残っていない。
「え、えっ!? ご、ごめんなさい、わたし、ちゃんとしまわないで、どこかに……」
「落ち着いてください」
基準策定官は、静かに壁の時計を指差した。
さっきまで十六時二十分を指していた針が、十六時三十五分を示している。
「今の十五分間が、あなたの記録から消えました」
「き、記録……?」
「勤務ログにも、同じく空白が生じています。あなたがクッキーを受け取り、食べて、“おいしい”と感じた時間ごと」
言われてみれば、確かに、彼女の手帳の該当欄は真っ白だった。
さっきまでペンで書き込んでいたはずの字が、丸ごと、消しゴムで消されたかのように。
「……こわ……」
思わずこぼれた本音に、自分で驚いて、彼女は口を押さえた。
「ご、ごめんなさい、そんなこと言ったら、せっかくの差し入れにも、条文にも失礼で……!」
「いいえ。妥当な感想です」
基準策定官は、机の下で丸くなっている黒猫書類を見つめる。
黒猫は、くわえていた白い紙片を、彼の足元にぽとりと落とした。
それは、さっきまで彼女のログ帳に存在していたはずの一行──『差し入れのクッキーをいただく』という記録だった。
「やはり、あなたの周囲で、“役に立たない”と自己判定した時間だけが、自己呪詛によって回収されているようですね」
「じ、自己判定……」
「クッキーを食べることが“役に立たない”と感じた瞬間、その時間は自己呪詛にとっての餌になります。黒猫は、そうやって“余白”を食べて大きくなる」
彼は紙片を拾い上げると、慎重に指先で撫でた。
紙は、しゅるり、とほどけて消え、代わりに黒猫の体がほんの少しだけ、まあるく柔らかくなる。
「けれど、この子はあなたを傷つけたくてやっているわけではありません。あなたの“役に立ちたい”という願いを、過剰に叶えようとしているだけです」
「わたしの、願い……」
彼女は、自分の胸に手を当てた。
幼いころに、何度も繰り返した言葉が、うっすらと浮かび上がってくる。
――役に立つ子でいなきゃ。
――役に立たないわたしには、価値がない。
口に出した覚えはないのに、確かに心のどこかで繰り返してきたフレーズ。
それが、目の前の黒猫のタグに、一行で象られている。
『役に立たない時間を全部消してください』
「……そんなこと、願った、んでしょうか、わたし……」
震える声に、基準策定官は小さく息を吐いた。
「願ってしまったのだと思います。まだ、子どものころに。世界の条文を知らないまま」
彼は、静かに宣言する。
「自己呪詛課・基準策定官として、あなたの状態を正式に“要監査”と認定します」
「よ、要監査……」
「あなたの“余白時間”が、これ以上勝手に削除されないよう、条文上の保護が必要です。したがって──」
彼の瞳が、真剣に細められる。
「今後しばらく、あなたの一日を“個人監査”させてください」
「こ、個人監査……って、それは、その……」
なんだか、とても大事になってきた気がして、彼女は慌てて椅子から立ち上がってしまう。
すると、黒猫書類が彼女の足元にまとわりつき、ふにゃ、と鳴いた。
まるで、「やっと気づいてくれた」とでも言うように。
「ごめんなさい……じゃなくて」
彼女は、息を吸い込んだ。
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