お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく

星乃和花

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1話 やさしい人に相談しただけのはずでした

 その日の午後、リゼット・フェルンは居間の丸テーブルに広げられた手紙を前に、ひっそりとため息をついた。

 白い封筒が三通。どれも上等な紙で、封蝋にはそれぞれ別の家の紋章が押されている。ぱっと見ただけなら、令嬢として誇らしい光景なのだろう。けれど今のリゼットには、少しもそうは思えなかった。

「……また、ですか」

 つい小さくこぼした声に、向かいに座る母が困ったように眉を下げる。

「ええ。また、なのよ」

 母はそう言いながらも、娘に縁談が来るのは悪いことではない、と自分に言い聞かせているようだった。フェルン子爵家は決して没落しているわけではないが、豊かとも言えない。領地経営はなんとか回っているものの、余裕のある暮らしではなかった。

 だから、娘に良縁が来るのは家にとってもありがたい。母がそう考えるのは自然なことだ。リゼットだって、それはわかっている。

 わかっている、けれど。

「お母様……この方、去年、奥様が亡くなられてまだ半年も経っていないのでは」
「そうね」
「こちらの方は、四十を過ぎていらっしゃると聞きました……」
「そうね」
「それから、こちらの方は……その、少し評判が……」
「そうねえ」

 母の相づちがどんどん弱くなる。リゼットもそれ以上は言いにくくなって、視線を手紙の上に落とした。

 どの縁談も、表向きは悪くない。家格はそこそこ、財産も申し分ない。けれど、社交界の端のほうでひっそり生きているリゼットの耳にまで届くような噂がある相手というのは、つまりそういうことだ。

 亡き妻に冷淡だったとか、若い娘ばかり見ているとか、気に入らない使用人に癇癪を起こすとか。

 誰かの悪口を鵜呑みにするのは良くないとわかっていても、進んでお会いしたいとは思えなかった。

「……わたし、贅沢を言っているのでしょうか」

 こわごわ尋ねると、母はすぐに首を振った。

「そんなことはないわ。むしろあなたは遠慮しすぎです」
「でも、家のことを思えば……」
「家のことを思って、怖い相手のところへ嫁ぐ必要はないのよ」

 きっぱり言ってくれた母の言葉に、胸がじんわりと熱くなる。

 フェルン子爵家に余裕はない。けれど両親は、露骨に娘を駒として扱うような人たちではなかった。だからこそリゼットは、ますます申し訳なくなる。もっと美しく、もっと社交的で、もっと良い縁談が自然に舞い込むような娘ならよかったのに、と。

「ただ……」

 母が少しだけ声を落とした。

「この先も断り続けるなら、きちんと後ろ盾が必要になるかもしれないわね」
「後ろ盾、ですか?」
「ええ。あなたはやわらかくて押しに弱いでしょう。強く出る殿方に迫られたら、断りきれないかもしれないもの」

 それは否定できなかった。

 リゼットは昔から、押しに弱い。はっきり拒絶するのが苦手で、相手の顔色を見てしまう。嫌なことは嫌だとちゃんと言うべきだと、頭ではわかっているのに。

「信頼できる年長者に、一度相談してみる?」
「年長者……」

 母は少し考えてから、ふっと表情を和らげた。

「ノースウェル侯爵家のアルフレッド様なんて、どうかしら」
「えっ」

 リゼットは思わず顔を上げた。

 アルフレッド・ノースウェル。

 その名前を知らない令嬢は、王都にはあまりいないだろう。名門侯爵家の長男で、若くして社交界でも評判の高い人物。整った顔立ちに、落ち着いた物腰。誰に対しても穏やかで、親切で、非の打ちどころがない――と、よく聞く。

 そしてリゼットにとっては、幼い頃に数度顔を合わせたことがある“とても優しい年上の人”だった。

「で、でも、そんな大層な方に、わたしの縁談の相談なんて……」
「昔からお付き合いがあるでしょう? それにあの方、あなたにとても優しかったじゃない」
「それは、子どもだったからです……」
「今でもきっと、力になってくださるわよ」

 母はすっかり名案だと思ったらしく、にこにこしている。

 たしかにアルフレッドなら、変な相手を見極めることも、断るための上手な言い回しを教えることもできそうだ。リゼットのような世間知らずより、ずっとずっと。

 けれど、そんな方の時間を煩わせるのは申し訳ない。

 迷っている間に、母は追い打ちをかけた。

「ちょうど明後日のガーデンティーに、ノースウェル侯爵家もいらっしゃるわ」
「え」
「ご挨拶だけでもしてみたら?」

 逃げ道がなくなってしまった。

 リゼットは小さく肩を落とし、けれど母の善意を無下にもできず、こくりと頷いた。

「……ご挨拶、だけなら」

 そのときのリゼットは、ほんの少し相談をして、助言をいただいて、それで終わるのだと思っていた。

 やさしい人に相談するだけ。

 それだけのはずだったのに。

    ◇

 明後日。春のやわらかな陽射しに包まれた侯爵家の庭園は、花々の色であふれていた。

 白いパラソル。磨かれた銀器。風に揺れる薄絹のドレス。王都の上流階級らしい、明るく華やかな午後だった。

 リゼットは淡いクリーム色のドレスの裾をそっと押さえながら、人の波の端でなるべく目立たないようにしていた。

「大丈夫よ、そんなに緊張しなくても」
「はい……」

 母はそう言うけれど、無理なものは無理である。

 華やかな場は嫌いではない。ただ、自分がその中に入るのはどうにも落ち着かなかった。どこを見ても洗練された淑女と紳士ばかりで、自分だけ場違いな気がしてしまう。

 しかも今日は、相談したい相手がいるのだ。

 どう切り出せばいいのか。そもそも覚えていてくださるのか。迷惑ではないか。考え始めると、胸の前で重ねた手が冷たくなる。

 そんなふうに緊張していたからだろう。

「フェルン子爵令嬢ですね?」

 不意にかけられた男性の声に、リゼットはぴくりと肩を震わせた。

 振り向けば、三十代半ばほどの紳士が立っていた。上等な服装をしているが、目元ににじむねっとりした愛想が、どうにも苦手な種類の笑顔だった。

「は、はい」
「以前から一度お話ししたいと思っておりました。可憐な方だと評判でしたが、なるほど、まさしく」

 近い。声も、距離も、視線も。

 リゼットは無意識に一歩下がったが、相手は気づかないふりで距離を詰める。

「よろしければ少し、向こうで二人で――」
「あ、あの、わたし……」

 断らなくては、と思うのに、咄嗟の言葉が出てこない。

 困って母の姿を探しかけた、そのときだった。

「それは困るな」

 やわらかく落ちた声に、空気がすっと変わった。

 紳士が振り向く。リゼットもつられて視線を向けて――息をのんだ。

 陽だまりみたいな、というのは、たぶんこういう人のためにある言葉だ。

 淡い金の髪が春の光をやさしく受けて、整った顔立ちには、ひどく穏やかな笑みが浮かんでいる。隙のない正装さえ堅苦しく見せないほど自然で、立っているだけなのに、不思議と周囲が静まるような気配があった。

 アルフレッド・ノースウェルだった。

「アルフレッド様……」

 思わず声に出すと、彼はリゼットを見て少し目を細めた。

「久しぶりだね、リゼット嬢」
「お、お久しぶりです……」

 覚えていてくださった。

 その事実だけで、緊張と驚きで頭がふわふわする。

 一方、先ほどの紳士はわずかに表情をこわばらせた。

「これは、ノースウェル卿」
「彼女に何か?」

 声音はあくまでも穏やかだ。けれど不思議と、それ以上踏み込ませないものがある。

 紳士は取り繕うように笑った。

「いえ、少しご挨拶をと」
「そう。なら、もう十分かな。彼女は僕と話す約束があるんだ」

 約束なんてしていない。けれどその言葉に、リゼットは目をぱちぱちさせるだけだった。

 紳士は明らかに不満そうだったが、相手が相手だ。軽く会釈を残して去っていく。

 完全に見えなくなってから、アルフレッドはようやくリゼットへ向き直った。

「大丈夫?」
「は、はい……あの、助けていただいて、ありがとうございます」
「うん。怖くはなかった?」
「そこまでは……でも、少し、どうお断りすればいいかわからなくて……」

 言いながら情けなくなって俯くと、彼は小さく笑った。

「相変わらずだね」
「え」
「昔も、庭で大きな犬に囲まれて困っていたのに、可哀想だからって追い払えなかったでしょう」

 そんなことまで覚えているのだろうか。

 リゼットは目を丸くした。たしかに幼い頃、ノースウェル家の庭園で放し飼いの猟犬たちにまとわりつかれ、泣きそうになったことがある。あのとき助けてくれたのも、彼だった。

「お、覚えていらしたんですか」
「もちろん。君は昔から、断るのが苦手だった」

 くすり、と笑う声音はやさしい。からかわれているというより、微笑ましがられている感じだった。

 恥ずかしいような、でも少しうれしいような、妙な気持ちになる。

「立ち話もなんだし、少し歩こうか」
「え、でも……」
「相談があるんでしょう?」

 さらりと言われて、リゼットは固まった。

 どうして。

 顔に出ていたのかもしれない。アルフレッドはおかしそうに笑って、肩をすくめる。

「君のお母上に、ちらりとね」
「そ、そうでしたか……」

 つまり、もう逃げられない。

 けれど彼の言い方には少しも押しつけがましさがなくて、むしろこちらが気楽に話せるように気を配ってくれているのがわかった。

 彼は自然な仕草で手を差し出す。

「では、お嬢さん?」
「……はい」

 リゼットがそっと手を重ねると、彼はごく軽く触れるだけで歩き出した。

 その距離感が絶妙だった。慣れ慣れしくはない。けれど、きちんと守られていると思わせる近さ。

 花壇沿いの小道は人通りが少なく、聞かれたくない話をするにはちょうどよかった。風がやさしく吹いて、白薔薇の香りがふわりと漂う。

「それで、何に困っているのかな」
「あの……」

 改めて口にしようとすると、なぜだか急に情けなく思えてくる。こんな個人的なことを、忙しい方に相談するなんて。

 けれどアルフレッドは急かさなかった。焦らせず、待ってくれる。だからリゼットも、なんとか言葉をつなげることができた。

「実は……最近、縁談のお話がいくつか来ていて」
「うん」
「それ自体は、ありがたいことだと思うのです。でも、その、少し不安なお相手もいて……」
「不安なお相手」
「評判を耳にしたり、年齢差が大きすぎたり……わたし、こういうことに疎くて、どう判断したらいいのかわからなくて」

 言い終える頃には、すっかりしょんぼりしてしまっていた。

 黙ってしまったアルフレッドの横顔を、こわごわうかがう。呆れられただろうか。もっと自分でなんとかするべきだと思われただろうか。

 けれど彼は、ほんの少し眉を寄せただけだった。

「それは心配だね」

 低く落ちた声が、ひどくやさしい。

 責める響きはまったくなくて、リゼットはそれだけで泣きたくなるくらい安心してしまった。

「申し訳ありません。こんなこと、ご迷惑ですよね」
「どうして?」
「だって、アルフレッド様には関係のないことですし……」
「関係なくはないよ」

 思いのほかすぐに返されて、リゼットは瞬きをした。

 彼は穏やかな顔のまま続ける。

「昔から知っている子が困っているなら、気にかけるくらいは当然だ」
「……ありがとうございます」

 やっぱり、この人はやさしい。

 胸の奥がほっとほどけたのと同時に、自分が少しみじめにもなった。こんなふうに誰かに守ってもらわなければ不安になるなんて、頼りない。

 そんな気持ちが顔に出たのかもしれない。

 アルフレッドはふと立ち止まり、リゼットを覗き込んだ。

「何をそんなにしょんぼりしてるの」
「え」
「君はもっと、自分が心配されて当然だと思った方がいい」
「そんな……」
「そんな、じゃないよ」

 やさしく言われるのに、なぜだかどきりとした。

 彼の目は笑っている。いつも穏やかで、やわらかくて、安心できるはずなのに、今の一瞬だけ妙に真っ直ぐで、逃げ場がなかった。

 リゼットが言葉を探しているうちに、彼はふっと表情を和らげる。

「さて。対策を考えようか」
「対策……ですか?」
「うん。君一人で全部を断るのは難しいでしょう」

 それは、痛いところだった。

「……はい」
「なら、しばらく僕が君の後見役みたいなことをしようか」

 あまりにもさらりと言われて、意味が頭に入るまで数秒かかった。

「こ、後見役……?」
「名目上のね。表立って婚約者を決めるわけじゃない。ただ、君に変な虫がつかないように、少し立場をはっきりさせておく」

 変な虫。

 あまりに上品な顔で言うので、リゼットは一瞬だけ笑いそうになってしまった。

 けれど、提案の内容自体はかなり大きい。

「そんな、そこまでしていただくのは……」
「嫌?」
「い、嫌というわけではなくて……申し訳ないです」
「それなら問題ない」

 彼は即答した。

「ちょうどいい口実でもあるしね」
「口実、ですか?」
「君を気にかけても自然だろう?」

 そう言って、アルフレッドはふわりと笑う。

 冗談めいていた。重くならないように、わざとそうしてくれているのだとわかる。

 リゼットは胸の前で手を組み、戸惑いながらも尋ねた。

「でも、そんなことをしたら……周囲に変に思われませんか?」
「少しくらいは思われるかもしれない」
「では、やっぱり」
「その方が都合がいい」

 にっこりと告げられて、リゼットは目を丸くした。

「都合、ですか」
「曖昧にしておくより、“フェルン子爵令嬢にはノースウェルが目をかけている”と思わせた方が、余計な話は寄ってきにくいからね」

 なるほど、とリゼットは素直に感心してしまった。

 たしかに名門侯爵家の長男が後ろにいると思えば、軽い気持ちで縁談を押しつけてくる者も減るだろう。

 それはとても、合理的な考えだった。

「……本当に、そんなにうまくいくでしょうか」
「いくよ」

 迷いなく言い切られると、それだけで本当にそうなりそうな気がする。

 リゼットがまだ迷っていると、アルフレッドは少しだけ首を傾げた。

「それとも、君は誰か気になる相手でもいる?」
「えっ、い、いません!」
「そう。なら安心した」

 安心した、という言葉に、なぜだか少しだけ引っかかった。けれど、その理由を考えるより先に彼は話を進める。

「では決まり。今日は僕がエスコートする」
「えっ」
「さっきみたいなことがもう一度あったら困るから」
「で、でも」
「大丈夫。君が困らないようにするためのものだよ」

 あまりにも自然で、あまりにもやさしい言い方だった。

 断る理由が見つからない。というより、見つけられたとしても、この人の前では上手に断れない気がした。

 リゼットが小さく頷くと、アルフレッドは満足そうに目を細めた。

「いい子だ」
「……子どもではありません」
「知ってるよ」

 すぐに返ってきた言葉が妙に甘く聞こえて、リゼットは思わず耳まで熱くなる。

 子ども扱いされたのではない。むしろ逆のような気がして、ますます落ち着かない。

「顔が赤い」
「き、気のせいです」
「そうかな」
「そうです……」

 彼はおかしそうに笑うばかりで、それ以上追及しなかった。

 その後、アルフレッドの言う通り、彼が隣にいるだけで状況は驚くほど変わった。

 紹介される相手はみな礼儀正しく、必要以上に近づいてくる者はいない。リゼットが飲み物を取ろうとすれば、いつの間にか彼が先に用意してくれる。会話に詰まれば自然に助け舟が入り、疲れた頃合いには人の少ない場所へさりげなく連れ出された。

 何もかもが、完璧だった。

「少し休もうか」

 庭の奥のベンチに案内され、リゼットはようやく深く息をつくことができた。

「ありがとうございます……今日は本当に、助けていただいてばかりで」
「そうだね」
「そこは否定していただけませんか……?」
「事実だから」

 くすくす笑われてしまう。

 けれど馬鹿にされた気はしなかった。彼の笑い方には、どこか甘やかすような響きがある。

「でも、君はちゃんと頑張っていたよ」
「そうでしょうか」
「うん。逃げ出さなかったでしょう」
「それは……逃げたら、お母様に申し訳ないので」
「真面目だね」

 彼はそう言って、テーブルの上の小皿から焼き菓子をひとつ取り、リゼットの前に差し出した。

「ご褒美」
「え」
「頑張った子には必要でしょう」

 また子ども扱いだと思うのに、差し出された小さな蜂蜜色のクッキーはとてもおいしそうで、リゼットは結局おずおずと受け取った。

「……ありがとうございます」
「どういたしまして」

 かり、と一口かじる。バターの香りが広がって、少しだけ気持ちが和らいだ。

 ふと視線を上げると、アルフレッドがこちらを見ていた。穏やかで、やわらかい、見慣れないほど近い距離のまなざし。

「何か……?」
「いや。やっぱり可愛いなと思って」
「っ」

 危うくクッキーを落としかけた。

「ア、アルフレッド様……!」
「本当のことでしょう?」
「そ、そういうことを、簡単に仰らないでください……!」

 慌てるリゼットを見て、彼は少しだけ目を細める。

「簡単じゃないよ」
「え」
「君にしか言わない」

 今度こそ、リゼットは何も言えなくなった。

 春風が吹いて、花びらがひらりと一枚、彼の肩に落ちた。アルフレッドは気にも留めないまま、当たり前みたいな顔をしている。

 こんなのは、年上の余裕というものだ。きっとそう。深い意味なんてない。昔から知っている子を気遣って、少しやさしくしてくれているだけ。

 そう自分に言い聞かせるのに、心臓は少しも落ち着いてくれなかった。

 アルフレッドはそんなリゼットを眺めながら、ふと穏やかに言った。

「リゼット」
「は、はい」
「これからしばらく、君のことは僕が見ている」
「……はい?」
「心配だからね」

 ふわりと笑うその顔は、どこまでもやさしかった。

 やさしくて、頼もしくて、安心できる。

 だからそのときのリゼットは、少しも気づかなかったのだ。

 その言葉が、ただの親切ではなかったことに。

 そのやさしい手が、助けるためだけではなく、自分をどこにも行かせないために差し伸べられていたことに。

「安心して。君が嫌がることはしないよ」

 穏やかな声でそう言われて、リゼットはようやく小さく笑った。

「……はい。よろしくお願いいたします、アルフレッド様」
「うん。こちらこそ」

 彼は満足そうに微笑む。

 それはまるで、ようやく欲しかったものに手が届いた人の顔だったけれど。

 そんなことを、恋愛ごとに疎いリゼットが気づくはずもない。

 この日、リゼットはただ――
 やさしい人に、少し相談をしただけのつもりだった。

 けれど実際には。

 彼女はこの瞬間、とうに逃げ道のない場所へ、やわらかく招き入れられていたのである。
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