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1話 神様と従者達
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「ああ~悲しみの天使が~♪ああ~この道が~聞こえるよ~♪トントトン♪トントトン♪ふぅ…また妄想をしちまったぜ…ハクシュンッ!ハクシュンッ!ハクシュンッ!ハクシュンッ!ハクシュンッ!くしゃみが出たわ、風邪ひいたか。ゲームしよ」
大きなくしゃみを5連発してしまう。このくしゃみはこの女にとっては普通のことだ。大きな声を出してくしゃみをしてたくさん出したほうがスッキリして解放された気分になるのだ。
そして「ビビーッ!」勢いよく鼻をかむ15歳の女。柔らかなソファーに座ってリラックスしてくつろいでいる感じだ。
タタタタタタタタタタタッ 足音が近づいてくる。
バタンッ! ドアが開いた。
「ご主人様ー!ぜぇぜぇ」
勢いよく開けて入ってきた男は息を切らして汗だく状態。しかしよく見るとなかなかかっこいい男だ。男前という容姿だ。
「あああああーーーーお前のせいでミスっただろうが!このーーーーーー騒がしいぞ!ハヤテ!」
男の名前はハヤテというらしい。
ゲームをやっていたらしく失敗をして怒る女。いきなり入って来て気が散って操作を誤ってしまった。これはノックもせず突然入ってきたハヤテが悪いだろう。
「すみません…ご主人様」
ハヤテはこの女の従者である。
「で、なんだ!?」
「それが…ジンが奴らにやられてしまって…」
この15歳の女にはジンという従者もいるみたいだ。
「お前達ちょっと弱すぎない?」呆れ気味にいう女。
その一言にハヤテの体がプルプルと震えだし、
「ウ、ウ、ウ、ウウワーーーーーーン、ウァァァァァン、オオオオオアアアアアオオオン」
突然雄叫びでも上げるように激しく泣き出した男。体を揺らし、ぎこちないステップを踏みだして泣き声もすこぶるおかしい。それに普通にしていたら男前な顔が泣いているときは同一人物か?と疑うようなほどもの凄く不細工な顔になるのだ。
(なんでこいつは泣いている時は顔が変わるんだろう)胸の内で思う女主人である。
「うるさい!いつもすぐ泣いて、お前はほんとに!」
「しゅ、しゅびましぇえええええ~~~~ん・・・ぐずんぐずん」
「で、誰にやられたって?」
「モデル隊のユナに…ぐすん」
「ユナか、調子乗りやがって…ふぅ」事情を聴いて少し落ち着いて一息つく女。
家なので顔は化粧なし、といっても15歳なのでそんなに化粧は必要ではないが服は部屋着でヨレヨレのTシャツ下のほうは下着。首にタオルを巻いて背中にもタオルを入れている。それが女主人カパレコという女の今の姿。
「カパレコ様、なぜいつも背中にタオルをお入れになっているのですか?」
「汗かくでしょ?夏だし、タオルが汗を吸収してくれる」
「いやでもカパレコ様は冬でも背中にタオルをお入れになっていますよね」
「冬は寒いから丁度いいの、それに冬でも汗はかくから」
何気ない会話をするハヤテと女主人カパレコ。
その会話中も女は画面に向かってゲームをしている。
「ゴク…ゴク…」
女は喉が渇いたらしく置いてあるお気に入りのフルーツ系の飲み物を手に取り口に流し込む。
「うまい」
それを敬愛の眼差しでじっと見つめるハヤテ。先ほど泣いたので瞳は潤んでいる。
ハヤテという従者の男はカパレコという女主人の敬愛が超越していて何かただならぬ空気を感じるが主人を思う気持ちは誰にも負けない(わたしがこの世で一番ご主人様を愛している)と日々胸中で思っている。
2時間後。
「ふぁああああああ」バタっと後ろに倒れて仰向けになる女。
「ゲーム疲れたわ。腹減った」
「それではお食事にいたしましょう。ご主人様」
じっと側でその様子を見守っていたハヤテがそう言って部屋から出ていく。出ていくときも頭を下げ女主人に向かって先ほどみっともない姿で泣いていた男とは思えないような気品ある態度で一礼をする。
この女主人カパレコの容姿はいたって普通だ。身長も157㎝といたって普通と本人は思っている。しかし他人から見るとけっこう可愛らしい容姿をしているのだ。すれ違ったら『なかなかカワイイ子だな』と思われるだろう。いや実際に思われていた。
だが女は自分のことを過少評価している。
それは前世ではいつも満たされていない生活をしていたから。真面目に生きても何もうまくいかない。あげくのはてに青信号で横断歩道を渡っていた時に相手の不注意で車に撥ねられて若くして即死した。それが前世の女主人カパレコの人生。
そんな女には前世の記憶が残っている。
今は神という存在になって〝神姫〟と呼ばれているが前世の時のマイナス思考は健在だ。性格はビビりで小心者で本人は悪賢く狡猾な性格になろうと常々思っているが根は正直者なのでそうなりきれない。
トントンとノックをする音。
「ご主人様、お食事の用意ができました」
「おう、そうか」
ハヤテの呼びかけに答える女。
部屋を移動する。
テーブルにはグラタンにサラダにパンが並んでいる。食事はこの女の従者達が一緒に作っている。
「今日はグラタンか、うまそうだな。よしみんなも席について一緒に食べるぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
この女主人には現在5人の男の従者がいる。
ハヤテ、ジン、タクミ、リョウ、レンの5人だ。
この女主人は従者にも優しくみんなで一緒に食事をしようと言う。
従者が主人と同じように椅子に座り主人と同じ食事を食べることは普通はありえないことだがこの女主人はそういう感覚を持っていない。
まずはメインの大皿に入っているグラタンをそれぞれに取り分ける。
取り分けるのは主人の仕事だ。
「それじゃあ、まずは」
そう言って器をレンの前に置こうとした時ムッ!とした表情をしたハヤテが、
「ご主人様、違います!」
「えっ!?」
「まずは一番従者のわたくしからです」
「ああ、そうだったね…それじゃあまずハヤテから…」
「いや、最初はご主人様からです」
「そうだね、わたしからだったね」
ハヤテの言う通りまずはわたしの前に自分で取り分けたグラタンを置く。次に一番従者のハヤテの前に置く。うんうんと頷きご満悦な顔のハヤテである。
ちなみにハヤテは耳の長いエルフという種族だ。
2番従者のジン、3番従者のタクミ、4番従者のリョウ、5番従者のレンと配りおわった。
わたしの最初の従者になったハヤテは一番従者としてのプライドがあるのか序列にはとにかくうるさい。他の者はハヤテの言葉に口を挟まないのは自分の立場を理解しているからなのか。
「よし、みんな食べよう!」
「「「「「はい、ご主人様」」」」」
女主人の食べていいと言う掛け声で従者達は食べることができる。主人がまだ食べてないのに従者から食べ始めることは断じてない。主人が食べていいという合図をしてくれなかったら従者達はずっと持っている。そんな可哀そうなことはこの女主人はしませんけどね。
いつものように一人だけ手を組んでお祈りを始めるタクミ。タクミは貴族だったらしくその時の習慣で食事前にはお祈りをするのだ。なにかごびょごにょ言ってから最後に「恵みに感謝します」などと言ってお祈りは終了する。
(もう慣れたけど毎回面倒くさそうだな。わたしには無理だ)胸のうちで思う女主人である。
「美味しいなあー、このグラタン、今日の食事は誰が作ったの」
「今日の食事はわたしとリョウで作りましたでございまする」
語尾に〝ございまする〟を付けてしゃべるジンである。そして喋り終わるとジンの癖なのか何なのかわからないが毎度おかしなポーズをする。
今は手を広げて片足で立ち両手をゆらゆらと動かしている。前に「なにそれ?」と聞いたことがあるがその時には「大空に羽ばたく鳥のまねでございまする」と答えた。
最初にジンと会話した時は女主人も胸の内で(頭が変な人なのかな…?)と戸惑った。
ちなみにジンは鳥の獣人だ。獣人と言っても見た目は人間で背中に翼があるくらい。
翼があってもジンは飛べない鳥のアヒルの獣人だ。なので空を飛ぶことに憧れているところがあるようだ。
面貌は色男そのもので少し眉毛が太いところがチャームポイントで従者の中で一番ひょうきんな男だ。
「喜んで頂けて至福でっす!」リョウは語尾の最後になぜか〝でっす〟を付ける。
(何かうちの従者は変なしゃべり方するのが多くないか?)
「このジャガイモがホクホクして美味しい!」
「はい、ご主人様がグラタンにはジャガイモを入れるのがお好きなのでたくさん入れましたでっす」
「うんうん」
「ジャガイモの皮をむくのが熱々で大変だったでっす」
「えっ!ジャガイモって最初に包丁で皮をむかない?」
「あっしの場合はまずジャガイモを綺麗に手洗いして蒸しますのでっす」
「そうなんだ」
まあ人それぞれ料理を作るやり方というか手順はあるからね。
ちなみにリョウは爬虫類の獣人だ。と言っても見た目は人間と変わらない。違ってるとこと言えば亀の獣人なので背中に甲羅が付いている。
後は亀だけあって首も伸ばそうと思えば伸ばせる。背中に甲羅が付いてるので寝る時邪魔になるんじゃないかと「寝返りとかできる?」と聞いたこともあるのだがそこは問題ないらしい。
「ある程度甲羅の固さは調整できるでっす」と言っていた。リョウの容姿もキリっとした顔立ちで目力があるこれまた美男子。
(タクミの食べ方はいつも綺麗だな)
別に他の従者の食べ方が汚いというわけではないがタクミは元貴族だけあって礼儀がよくて品がある。
「どうかされましたか?姫様」あら、タクミを見てるのがバレてしまった。
「あ~タクミの食べ方が綺麗だなと思って」
そう言うと一斉に従者達が慌てて姿勢をよくしたりお上品に食べ始めた。
「ありがとうございます姫様、わたしは元貴族だったので食事のマナーは教育されていましたので」
ちなみにタクミは人間である。5人の中で一番背が高くモデル体型だ。もちろんイケメンという顔立ちだ。
そして体のサイズが一際小さいレンである。レンは小人族なのだ。小人族といっても小さいだけで見た目は人間と変わらない。この5人の中で一番若い可愛らしい男の子。
「レン美味しい?」
「はい、とても美味しいです」
「そういえばジン、モデル隊のユナに負けたんだって」
「面目ないでございまする」
そう言ってまたおかしなポーズをする。なんか足を開いてシコ踏み出したぞ、相撲か?
「まあユナの能力は手強いからな」落ち込むジンを少し慰める。
「ご主人様、これからどうなさいますか?」ハヤテがわたしの予定を聞いてきた。
「う~ん、ちょっと下界に降りて国を見て回ろうと思う」
わたしは神なので任されてる国がある。わたしの他に何人か神がいてそれぞれが地域を任されてる感じかな。
「それではわたくしがお供いたします」
「僕も行きたいです」
「それじゃあハヤテとレンと行こうか」
大きなくしゃみを5連発してしまう。このくしゃみはこの女にとっては普通のことだ。大きな声を出してくしゃみをしてたくさん出したほうがスッキリして解放された気分になるのだ。
そして「ビビーッ!」勢いよく鼻をかむ15歳の女。柔らかなソファーに座ってリラックスしてくつろいでいる感じだ。
タタタタタタタタタタタッ 足音が近づいてくる。
バタンッ! ドアが開いた。
「ご主人様ー!ぜぇぜぇ」
勢いよく開けて入ってきた男は息を切らして汗だく状態。しかしよく見るとなかなかかっこいい男だ。男前という容姿だ。
「あああああーーーーお前のせいでミスっただろうが!このーーーーーー騒がしいぞ!ハヤテ!」
男の名前はハヤテというらしい。
ゲームをやっていたらしく失敗をして怒る女。いきなり入って来て気が散って操作を誤ってしまった。これはノックもせず突然入ってきたハヤテが悪いだろう。
「すみません…ご主人様」
ハヤテはこの女の従者である。
「で、なんだ!?」
「それが…ジンが奴らにやられてしまって…」
この15歳の女にはジンという従者もいるみたいだ。
「お前達ちょっと弱すぎない?」呆れ気味にいう女。
その一言にハヤテの体がプルプルと震えだし、
「ウ、ウ、ウ、ウウワーーーーーーン、ウァァァァァン、オオオオオアアアアアオオオン」
突然雄叫びでも上げるように激しく泣き出した男。体を揺らし、ぎこちないステップを踏みだして泣き声もすこぶるおかしい。それに普通にしていたら男前な顔が泣いているときは同一人物か?と疑うようなほどもの凄く不細工な顔になるのだ。
(なんでこいつは泣いている時は顔が変わるんだろう)胸の内で思う女主人である。
「うるさい!いつもすぐ泣いて、お前はほんとに!」
「しゅ、しゅびましぇえええええ~~~~ん・・・ぐずんぐずん」
「で、誰にやられたって?」
「モデル隊のユナに…ぐすん」
「ユナか、調子乗りやがって…ふぅ」事情を聴いて少し落ち着いて一息つく女。
家なので顔は化粧なし、といっても15歳なのでそんなに化粧は必要ではないが服は部屋着でヨレヨレのTシャツ下のほうは下着。首にタオルを巻いて背中にもタオルを入れている。それが女主人カパレコという女の今の姿。
「カパレコ様、なぜいつも背中にタオルをお入れになっているのですか?」
「汗かくでしょ?夏だし、タオルが汗を吸収してくれる」
「いやでもカパレコ様は冬でも背中にタオルをお入れになっていますよね」
「冬は寒いから丁度いいの、それに冬でも汗はかくから」
何気ない会話をするハヤテと女主人カパレコ。
その会話中も女は画面に向かってゲームをしている。
「ゴク…ゴク…」
女は喉が渇いたらしく置いてあるお気に入りのフルーツ系の飲み物を手に取り口に流し込む。
「うまい」
それを敬愛の眼差しでじっと見つめるハヤテ。先ほど泣いたので瞳は潤んでいる。
ハヤテという従者の男はカパレコという女主人の敬愛が超越していて何かただならぬ空気を感じるが主人を思う気持ちは誰にも負けない(わたしがこの世で一番ご主人様を愛している)と日々胸中で思っている。
2時間後。
「ふぁああああああ」バタっと後ろに倒れて仰向けになる女。
「ゲーム疲れたわ。腹減った」
「それではお食事にいたしましょう。ご主人様」
じっと側でその様子を見守っていたハヤテがそう言って部屋から出ていく。出ていくときも頭を下げ女主人に向かって先ほどみっともない姿で泣いていた男とは思えないような気品ある態度で一礼をする。
この女主人カパレコの容姿はいたって普通だ。身長も157㎝といたって普通と本人は思っている。しかし他人から見るとけっこう可愛らしい容姿をしているのだ。すれ違ったら『なかなかカワイイ子だな』と思われるだろう。いや実際に思われていた。
だが女は自分のことを過少評価している。
それは前世ではいつも満たされていない生活をしていたから。真面目に生きても何もうまくいかない。あげくのはてに青信号で横断歩道を渡っていた時に相手の不注意で車に撥ねられて若くして即死した。それが前世の女主人カパレコの人生。
そんな女には前世の記憶が残っている。
今は神という存在になって〝神姫〟と呼ばれているが前世の時のマイナス思考は健在だ。性格はビビりで小心者で本人は悪賢く狡猾な性格になろうと常々思っているが根は正直者なのでそうなりきれない。
トントンとノックをする音。
「ご主人様、お食事の用意ができました」
「おう、そうか」
ハヤテの呼びかけに答える女。
部屋を移動する。
テーブルにはグラタンにサラダにパンが並んでいる。食事はこの女の従者達が一緒に作っている。
「今日はグラタンか、うまそうだな。よしみんなも席について一緒に食べるぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
この女主人には現在5人の男の従者がいる。
ハヤテ、ジン、タクミ、リョウ、レンの5人だ。
この女主人は従者にも優しくみんなで一緒に食事をしようと言う。
従者が主人と同じように椅子に座り主人と同じ食事を食べることは普通はありえないことだがこの女主人はそういう感覚を持っていない。
まずはメインの大皿に入っているグラタンをそれぞれに取り分ける。
取り分けるのは主人の仕事だ。
「それじゃあ、まずは」
そう言って器をレンの前に置こうとした時ムッ!とした表情をしたハヤテが、
「ご主人様、違います!」
「えっ!?」
「まずは一番従者のわたくしからです」
「ああ、そうだったね…それじゃあまずハヤテから…」
「いや、最初はご主人様からです」
「そうだね、わたしからだったね」
ハヤテの言う通りまずはわたしの前に自分で取り分けたグラタンを置く。次に一番従者のハヤテの前に置く。うんうんと頷きご満悦な顔のハヤテである。
ちなみにハヤテは耳の長いエルフという種族だ。
2番従者のジン、3番従者のタクミ、4番従者のリョウ、5番従者のレンと配りおわった。
わたしの最初の従者になったハヤテは一番従者としてのプライドがあるのか序列にはとにかくうるさい。他の者はハヤテの言葉に口を挟まないのは自分の立場を理解しているからなのか。
「よし、みんな食べよう!」
「「「「「はい、ご主人様」」」」」
女主人の食べていいと言う掛け声で従者達は食べることができる。主人がまだ食べてないのに従者から食べ始めることは断じてない。主人が食べていいという合図をしてくれなかったら従者達はずっと持っている。そんな可哀そうなことはこの女主人はしませんけどね。
いつものように一人だけ手を組んでお祈りを始めるタクミ。タクミは貴族だったらしくその時の習慣で食事前にはお祈りをするのだ。なにかごびょごにょ言ってから最後に「恵みに感謝します」などと言ってお祈りは終了する。
(もう慣れたけど毎回面倒くさそうだな。わたしには無理だ)胸のうちで思う女主人である。
「美味しいなあー、このグラタン、今日の食事は誰が作ったの」
「今日の食事はわたしとリョウで作りましたでございまする」
語尾に〝ございまする〟を付けてしゃべるジンである。そして喋り終わるとジンの癖なのか何なのかわからないが毎度おかしなポーズをする。
今は手を広げて片足で立ち両手をゆらゆらと動かしている。前に「なにそれ?」と聞いたことがあるがその時には「大空に羽ばたく鳥のまねでございまする」と答えた。
最初にジンと会話した時は女主人も胸の内で(頭が変な人なのかな…?)と戸惑った。
ちなみにジンは鳥の獣人だ。獣人と言っても見た目は人間で背中に翼があるくらい。
翼があってもジンは飛べない鳥のアヒルの獣人だ。なので空を飛ぶことに憧れているところがあるようだ。
面貌は色男そのもので少し眉毛が太いところがチャームポイントで従者の中で一番ひょうきんな男だ。
「喜んで頂けて至福でっす!」リョウは語尾の最後になぜか〝でっす〟を付ける。
(何かうちの従者は変なしゃべり方するのが多くないか?)
「このジャガイモがホクホクして美味しい!」
「はい、ご主人様がグラタンにはジャガイモを入れるのがお好きなのでたくさん入れましたでっす」
「うんうん」
「ジャガイモの皮をむくのが熱々で大変だったでっす」
「えっ!ジャガイモって最初に包丁で皮をむかない?」
「あっしの場合はまずジャガイモを綺麗に手洗いして蒸しますのでっす」
「そうなんだ」
まあ人それぞれ料理を作るやり方というか手順はあるからね。
ちなみにリョウは爬虫類の獣人だ。と言っても見た目は人間と変わらない。違ってるとこと言えば亀の獣人なので背中に甲羅が付いている。
後は亀だけあって首も伸ばそうと思えば伸ばせる。背中に甲羅が付いてるので寝る時邪魔になるんじゃないかと「寝返りとかできる?」と聞いたこともあるのだがそこは問題ないらしい。
「ある程度甲羅の固さは調整できるでっす」と言っていた。リョウの容姿もキリっとした顔立ちで目力があるこれまた美男子。
(タクミの食べ方はいつも綺麗だな)
別に他の従者の食べ方が汚いというわけではないがタクミは元貴族だけあって礼儀がよくて品がある。
「どうかされましたか?姫様」あら、タクミを見てるのがバレてしまった。
「あ~タクミの食べ方が綺麗だなと思って」
そう言うと一斉に従者達が慌てて姿勢をよくしたりお上品に食べ始めた。
「ありがとうございます姫様、わたしは元貴族だったので食事のマナーは教育されていましたので」
ちなみにタクミは人間である。5人の中で一番背が高くモデル体型だ。もちろんイケメンという顔立ちだ。
そして体のサイズが一際小さいレンである。レンは小人族なのだ。小人族といっても小さいだけで見た目は人間と変わらない。この5人の中で一番若い可愛らしい男の子。
「レン美味しい?」
「はい、とても美味しいです」
「そういえばジン、モデル隊のユナに負けたんだって」
「面目ないでございまする」
そう言ってまたおかしなポーズをする。なんか足を開いてシコ踏み出したぞ、相撲か?
「まあユナの能力は手強いからな」落ち込むジンを少し慰める。
「ご主人様、これからどうなさいますか?」ハヤテがわたしの予定を聞いてきた。
「う~ん、ちょっと下界に降りて国を見て回ろうと思う」
わたしは神なので任されてる国がある。わたしの他に何人か神がいてそれぞれが地域を任されてる感じかな。
「それではわたくしがお供いたします」
「僕も行きたいです」
「それじゃあハヤテとレンと行こうか」
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