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41話 神様、新人を教育する 3
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「ありがとうございました。またお越しください」
「ありがとうござりんした。またお越しなんし」
シャラララーン…店の入り口のウィンドチャイムの美しい音色が響き最後の客がお帰りになって今日のお店はこれにて終了。
「みんなお疲れ様」
「「「「お疲れ様でした」」」」
「お疲れ様でありんした」
それぞれのお菓子を100個から150個に増やしたがいつもより早く完売できた。店員の数が増えたことで接客とキッチンも余裕ができたので前のように客を待たせることも少なくなって店が円滑にまわったためだ。
今は前日までよく3人で店まわしてたなと思う…。もう戻れないね。新人も挨拶も接客もよくできてて客から不満やクレームが出るという事態も起こらずみんなよくやってくれた。
これからアイスクリーム作りとプリン作りを新人達に教える。その前に休憩して食事をする。いつもなら食事を作るのはハヤテとレンだけどエリーとナタリーにエマも手伝ってくれるという。食事作りは5人に任せることにした。
わたしとカミラとウィリアムは店の椅子に座って仕事の緊張が解けてほわ~んと一休み。
「ご主人様、お食事の用意ができました」
「え!?カパレコさん、ハヤテさんにご主人様って呼ばれてるんですか?」
ナタリーが戸惑ったように言う。
「ああ、気にしなくていいからその口調はハヤテの癖みたいなものだから…」
「そうなんですか」
「ハヤテさんには失礼ですが奴隷かと思いました」
「奴隷じゃないよ」(従者だよ)とは口に出しては言わなかった。
「そうですよね。奴隷にしては扱いが違うなと思いましたし」
「レンちゃんはどうなんですか?カパレコさんのこと姉様って…」
なんだこいつは?ぐいぐいくるなナタリー。それにわたしのレンに〝レンちゃん〟とはどういうことだ!せめて先輩として年下でも〝レン君〟でしょうが!口悪く(生意気なメスだ)と胸の内で思ってしまったのは秘密だ。
しかし表面では冷静にニコっとスマイルのわたし。
「それもハヤテと同じだよ。レンの口癖だから」
「ちょっとナタリー、そんなずけずけ聞いて失礼でしょ」もう片方の双子のエリーが窘める。
「ふふふ」その様子を見て不敵に笑みをこぼすカミラ。
「ご主人様こちらで召し上がりますか?」
「うん、ここでみんなで食べるから持ってきてくれる」
「かしこまりました」
「わたしも運ぶの手伝います」エマが言う。
ハヤテとレンにエリーにナタリー、エマが食事を運んできてくれる。
パン屋で買ったパンを温めてきつね色に焼いたトーストに野菜スープ、肉の炒め物が並ぶ。
「よし、それじゃ食べようか」
「「はっ!」」
「はっ!って主人に仕える家臣みたいですね」
(ナタリーの言う通り従者だよ)
いつもは食事をとり分けてあげるんだけどみんなもいるしいいかな。
ヴァンパイアなのにカミラは普通の食事は食べれるの?と思ったが面接のときにうちのお菓子が美味しいって気に入ってくれてたね。
「ぐすん…ぐすん…」食事中にエマが突然すすり泣く。
どうしたのエマ?嫌いな食べ物でもあったの。10歳の少女が泣き出すなんてただ事ではない!お姉さん心配だよ。
「エマどうしたの?」
「ぐすん、ぐすん、ごめんなさい。嬉しくて…」
「へ!?」
間抜けな声を出してしまうわたしである。
「ここに雇ってもらってこんな贅沢な食事まで食べさせてもらって…」
そうだったね。面接でいきなり売られそうって聞いた時は驚いた。毒父がいてお母さんは倒れて弟と妹がいてエマは苦労してるんだよね。ごはんもときどき食べれるって言ってたし若いのにつらいことをたくさん経験してきたのだろう。
「あの、このごはん家に持って帰っていいですか。弟と妹に食べさせてあげたいので…」
「それはちゃんとエマが食べてね。食事なら後で持って帰る分は作ればいいし、それにお菓子もこの後作るから持って帰る分も渡すからね」
「ありがとうございます。ぐすん、ぐすん…」
「わたしもお菓子持って帰っていいですかー?」
手を挙げていけしゃあしゃあと言うナタリー。
「ちょっとナタリー!」またエリーがナタリーを少し咎め立てる。
「わっちもほしいでありんす」カミラもここぞとばかりに話に乗っかってきた。
「いいよ」
「え!?いいんですか?」エリーがわたしに確認するように聞く。
「うん」
甘いかな?新人達はお菓子を作るのに慣れてなくて失敗してどら焼きの皮を焦がしたり形が均一でなかったりケーキの形が崩れてしまったり売り物にはならないけど、捨てるくらいなら賄いとして従業員で食べたりエマに持って帰ってもらって食べてもらったほうがいいだろう。
別に上手に出来上がったものも持ち帰らせてあげるよ。わたしはそんなケチなことは言わないよ。
シャラララーン
入口のドアに付けたウィンドチャイムの美しい音色が店内に響いた。
いつもの閉店後の常連のおでましかな?
「ありがとうござりんした。またお越しなんし」
シャラララーン…店の入り口のウィンドチャイムの美しい音色が響き最後の客がお帰りになって今日のお店はこれにて終了。
「みんなお疲れ様」
「「「「お疲れ様でした」」」」
「お疲れ様でありんした」
それぞれのお菓子を100個から150個に増やしたがいつもより早く完売できた。店員の数が増えたことで接客とキッチンも余裕ができたので前のように客を待たせることも少なくなって店が円滑にまわったためだ。
今は前日までよく3人で店まわしてたなと思う…。もう戻れないね。新人も挨拶も接客もよくできてて客から不満やクレームが出るという事態も起こらずみんなよくやってくれた。
これからアイスクリーム作りとプリン作りを新人達に教える。その前に休憩して食事をする。いつもなら食事を作るのはハヤテとレンだけどエリーとナタリーにエマも手伝ってくれるという。食事作りは5人に任せることにした。
わたしとカミラとウィリアムは店の椅子に座って仕事の緊張が解けてほわ~んと一休み。
「ご主人様、お食事の用意ができました」
「え!?カパレコさん、ハヤテさんにご主人様って呼ばれてるんですか?」
ナタリーが戸惑ったように言う。
「ああ、気にしなくていいからその口調はハヤテの癖みたいなものだから…」
「そうなんですか」
「ハヤテさんには失礼ですが奴隷かと思いました」
「奴隷じゃないよ」(従者だよ)とは口に出しては言わなかった。
「そうですよね。奴隷にしては扱いが違うなと思いましたし」
「レンちゃんはどうなんですか?カパレコさんのこと姉様って…」
なんだこいつは?ぐいぐいくるなナタリー。それにわたしのレンに〝レンちゃん〟とはどういうことだ!せめて先輩として年下でも〝レン君〟でしょうが!口悪く(生意気なメスだ)と胸の内で思ってしまったのは秘密だ。
しかし表面では冷静にニコっとスマイルのわたし。
「それもハヤテと同じだよ。レンの口癖だから」
「ちょっとナタリー、そんなずけずけ聞いて失礼でしょ」もう片方の双子のエリーが窘める。
「ふふふ」その様子を見て不敵に笑みをこぼすカミラ。
「ご主人様こちらで召し上がりますか?」
「うん、ここでみんなで食べるから持ってきてくれる」
「かしこまりました」
「わたしも運ぶの手伝います」エマが言う。
ハヤテとレンにエリーにナタリー、エマが食事を運んできてくれる。
パン屋で買ったパンを温めてきつね色に焼いたトーストに野菜スープ、肉の炒め物が並ぶ。
「よし、それじゃ食べようか」
「「はっ!」」
「はっ!って主人に仕える家臣みたいですね」
(ナタリーの言う通り従者だよ)
いつもは食事をとり分けてあげるんだけどみんなもいるしいいかな。
ヴァンパイアなのにカミラは普通の食事は食べれるの?と思ったが面接のときにうちのお菓子が美味しいって気に入ってくれてたね。
「ぐすん…ぐすん…」食事中にエマが突然すすり泣く。
どうしたのエマ?嫌いな食べ物でもあったの。10歳の少女が泣き出すなんてただ事ではない!お姉さん心配だよ。
「エマどうしたの?」
「ぐすん、ぐすん、ごめんなさい。嬉しくて…」
「へ!?」
間抜けな声を出してしまうわたしである。
「ここに雇ってもらってこんな贅沢な食事まで食べさせてもらって…」
そうだったね。面接でいきなり売られそうって聞いた時は驚いた。毒父がいてお母さんは倒れて弟と妹がいてエマは苦労してるんだよね。ごはんもときどき食べれるって言ってたし若いのにつらいことをたくさん経験してきたのだろう。
「あの、このごはん家に持って帰っていいですか。弟と妹に食べさせてあげたいので…」
「それはちゃんとエマが食べてね。食事なら後で持って帰る分は作ればいいし、それにお菓子もこの後作るから持って帰る分も渡すからね」
「ありがとうございます。ぐすん、ぐすん…」
「わたしもお菓子持って帰っていいですかー?」
手を挙げていけしゃあしゃあと言うナタリー。
「ちょっとナタリー!」またエリーがナタリーを少し咎め立てる。
「わっちもほしいでありんす」カミラもここぞとばかりに話に乗っかってきた。
「いいよ」
「え!?いいんですか?」エリーがわたしに確認するように聞く。
「うん」
甘いかな?新人達はお菓子を作るのに慣れてなくて失敗してどら焼きの皮を焦がしたり形が均一でなかったりケーキの形が崩れてしまったり売り物にはならないけど、捨てるくらいなら賄いとして従業員で食べたりエマに持って帰ってもらって食べてもらったほうがいいだろう。
別に上手に出来上がったものも持ち帰らせてあげるよ。わたしはそんなケチなことは言わないよ。
シャラララーン
入口のドアに付けたウィンドチャイムの美しい音色が店内に響いた。
いつもの閉店後の常連のおでましかな?
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