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1.ロイヤルブルー
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わたしの血は青い。
だから皆もそうだと思っていたら、そうじゃないらしい。普通は血は赤いという。血の赤色はヘモグロビンの色だ。私の血にはヘモグロビンがいないんだろか。そうなると酸素を運んでいないことになるが、わたしはピンピンしている。そうしてわたしの身体は酸素がなくても動くことが出来るのではなかろうか、という結論に至った。
私は「青い血」という単語を調べてまわった。
青い血と言う、キーワードで出来うる限りの文献をあたった。
貴族の血は青いらしかった。
そうすると、わたしは貴族ということなのか。
なるほど、私の家は他の家に比べてかなり大きく豪華なものだった。加えて、家には多数の「お手伝いさん」が勤めており、両親が雑事をしているのを見たことはない。
父は忙しそうにしていて、母は母でなにごとかといつも予定の入っていることが多い。かくいう自分も何度か茶会に参加して同じような境遇の子供と交流を図ったことがある。
そこで大親友ができた、と言うことはなかったが、知り合いにはなれたと思う。
なるほど、我が家は「貴族」の奔流なのかもしれない。今は「貴族」という称号はなくなってしまっている。言うなれば「元」貴族か……。
私は多いに納得した。父も母も同じ「青い血」が流れているのであれば心強いと思った。
しかし、最近見た弟の血は真っ赤だった。
まだ幼く頭が大きくて重心が定まらないとかで、弟はよく転んでいる。最近は歩くだけでなく、走ろうとする。まだ歩くことに慣れていない短い足はよくもつれる。
てちてちと音が出そうな様子で歩くのもまだ上手くないのになぜ走ろうとするのか。
「走ると危ない、またこけてしまう」
こけるたびに、目からぼたぼたと涙をこぼして大きな声でびゃぁびゃぁと泣くから、かわいそうに思う。
しかし家の中で絨毯が敷いていない場所などないため、いつもはかすり傷ですんでいた。
しかし今回弟が怪我をしたのは、指だ。はさみの練習をするというので、折り紙をいろんな形に切る練習をしていた弟は、うっかり自分の指をハサミに挟んだ。つまり紙ではなく、自分の指を切った。
子供用のハサミなので、さほど危ないと言うわけではないがさすがに指の皮が裂けたのか、人差し指の横が切れてそこから血が滲んでいた。
赤い、血が。
私は驚いて、自分の半分ほどの大きさしかないのではないかというぐらい小さな事で弟の指をひっぱり、その傷口をしげしげと見た。傷の周りを押すと真っ赤な血がじわりと溢れ出てきた。
弟は痛い、と大きな声で泣いている。私はごまかすように傷の深さを見ていた振りをして「そんなに大きな傷じゃないから大丈夫だよすぐに治る」と言って弟を慰めた。
周りの大人は私が弟の血を見て驚いたことには気づいていない。
瞳孔が開いているのを見られたくなくて、俯きながら自分の部屋へ戻ってきた。
私の心臓は恐ろしいぐらいに早く鼓動している。心臓が張り裂けて中から真っ青な血が溢れ出て来そうな気がしてくる。吐き気なのか、胃の腑がもやもやと気持ち悪い。頭がぐるぐるとかきまぜられているような気持ち悪さがある。
じんわりと身体から汗が出てきて服との間に不快感が生まれる。
同じ血を分けて生まれて来たはずの弟の血が赤いということはどういうことなのか?
自分は弟と姿形はよく似ている。父親譲りの髪の色と、母親譲りの甘めの顔立ち。しかし、よくよく見てみれば私の髪は銀色がかった金髪であり、弟の髪は赤味のある金髪だ。
私は漠然とした不安に駆られた。
私が今まで父母と慕って来た人が自分の本当の父母ではないのではないかという疑いを抱いたのだった。父は浮気などするような人ではない。では母かと言えばそれも違うだろう。母はあまり社交が好きではない。よく言えばおとなしく淑やかで、悪く言えば暗い。人への興味が薄いようだ。
私と言う存在がどういうものなのか考えてもわからない。
だから皆もそうだと思っていたら、そうじゃないらしい。普通は血は赤いという。血の赤色はヘモグロビンの色だ。私の血にはヘモグロビンがいないんだろか。そうなると酸素を運んでいないことになるが、わたしはピンピンしている。そうしてわたしの身体は酸素がなくても動くことが出来るのではなかろうか、という結論に至った。
私は「青い血」という単語を調べてまわった。
青い血と言う、キーワードで出来うる限りの文献をあたった。
貴族の血は青いらしかった。
そうすると、わたしは貴族ということなのか。
なるほど、私の家は他の家に比べてかなり大きく豪華なものだった。加えて、家には多数の「お手伝いさん」が勤めており、両親が雑事をしているのを見たことはない。
父は忙しそうにしていて、母は母でなにごとかといつも予定の入っていることが多い。かくいう自分も何度か茶会に参加して同じような境遇の子供と交流を図ったことがある。
そこで大親友ができた、と言うことはなかったが、知り合いにはなれたと思う。
なるほど、我が家は「貴族」の奔流なのかもしれない。今は「貴族」という称号はなくなってしまっている。言うなれば「元」貴族か……。
私は多いに納得した。父も母も同じ「青い血」が流れているのであれば心強いと思った。
しかし、最近見た弟の血は真っ赤だった。
まだ幼く頭が大きくて重心が定まらないとかで、弟はよく転んでいる。最近は歩くだけでなく、走ろうとする。まだ歩くことに慣れていない短い足はよくもつれる。
てちてちと音が出そうな様子で歩くのもまだ上手くないのになぜ走ろうとするのか。
「走ると危ない、またこけてしまう」
こけるたびに、目からぼたぼたと涙をこぼして大きな声でびゃぁびゃぁと泣くから、かわいそうに思う。
しかし家の中で絨毯が敷いていない場所などないため、いつもはかすり傷ですんでいた。
しかし今回弟が怪我をしたのは、指だ。はさみの練習をするというので、折り紙をいろんな形に切る練習をしていた弟は、うっかり自分の指をハサミに挟んだ。つまり紙ではなく、自分の指を切った。
子供用のハサミなので、さほど危ないと言うわけではないがさすがに指の皮が裂けたのか、人差し指の横が切れてそこから血が滲んでいた。
赤い、血が。
私は驚いて、自分の半分ほどの大きさしかないのではないかというぐらい小さな事で弟の指をひっぱり、その傷口をしげしげと見た。傷の周りを押すと真っ赤な血がじわりと溢れ出てきた。
弟は痛い、と大きな声で泣いている。私はごまかすように傷の深さを見ていた振りをして「そんなに大きな傷じゃないから大丈夫だよすぐに治る」と言って弟を慰めた。
周りの大人は私が弟の血を見て驚いたことには気づいていない。
瞳孔が開いているのを見られたくなくて、俯きながら自分の部屋へ戻ってきた。
私の心臓は恐ろしいぐらいに早く鼓動している。心臓が張り裂けて中から真っ青な血が溢れ出て来そうな気がしてくる。吐き気なのか、胃の腑がもやもやと気持ち悪い。頭がぐるぐるとかきまぜられているような気持ち悪さがある。
じんわりと身体から汗が出てきて服との間に不快感が生まれる。
同じ血を分けて生まれて来たはずの弟の血が赤いということはどういうことなのか?
自分は弟と姿形はよく似ている。父親譲りの髪の色と、母親譲りの甘めの顔立ち。しかし、よくよく見てみれば私の髪は銀色がかった金髪であり、弟の髪は赤味のある金髪だ。
私は漠然とした不安に駆られた。
私が今まで父母と慕って来た人が自分の本当の父母ではないのではないかという疑いを抱いたのだった。父は浮気などするような人ではない。では母かと言えばそれも違うだろう。母はあまり社交が好きではない。よく言えばおとなしく淑やかで、悪く言えば暗い。人への興味が薄いようだ。
私と言う存在がどういうものなのか考えてもわからない。
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