2 / 5
中
しおりを挟む
アリアの生家が肉屋と言っても買取ばかりではもうけが少ない。
ではどうやってもうけを出しているのかといえば、自ら獲物を狩ってきて売りさばいているのだ。
明日はほとんどの人が休みの日のため、買取が少なくなることが予想される。
くわえて、休みの日には買い物客は増加することからなにかメインとなる商品が必要だった。
森に入る道は教会のすぐ近くにある。
教会に近づくにつれて、どこかそわそわしたような落ち着かない様子の女の子の姿が増えてくる。
その子達は自分にできる一番のおしゃれをして、目いっぱいかわいい格好をしてきているのがわかる気合いの入った服の子ばかりだ。
土曜日の朝ならば、お祈りがあるんだろう。
履きやすいズボンと、シャツに、ごついブーツを履いて薄汚れたような高い古された帽子を目深に被ったわたしは浮いている。
誰にでも開かれているお祈りだが、教会に若くて優しい見目のいい神父が派遣されてくるとその顔見たさに若い女の子が殺到している。
今日も皆教会に行くとは思えないほどにかわいらしく着飾り、あわよくば神父様とお話ししたいという下心を隠しもせずに教会にお祈りに行っている。
アリアは若い女の子でごった返している教会の横の道を通り、森へと続く道へと入って行く。
「アリア」
名前を呼ばれたので、誰が友達が教会に来ていたのかもしれないと、振り返った。
「……神父さま」
そこには、いつも通りの清潔そうな服を着たヨシュアが立っていた。
「そろそろお祈りが始まるのでは?」
教会の見やすい大きな時計の針はすでに真上から少し右側にずれている。
先程までたくさんいた娘たちの姿はすでに教会の中へと消えている。
「ええ、でも、窓からあなたの姿が見えたので」
ヨシュアは妙に嬉しげな顔をしている。めったにお祈りに参加しない私の姿が見えたからだろう。
「そうですか。今日は私お祈りに来たんじゃないんですよ」
「……狩りですか?」
私の格好を見てわかったのか、ヨシュアは少しばかり声を硬くしながら言う。
「ええ、まぁ」
「一人で?」
「いつものことなので。私結構強いですし……」
「一人でなんて……森はなにがあるかわからないですし、心配です」
「心配なんて……ちょっとウサギを狩るぐらいですから」
すでにうさぎ用の罠は仕掛けてあるため、罠にうさぎかかっていないか見に行くだけだった。
肉と一緒にふわふわなファーも取れれば一石二鳥だ。
「……これを」
端正な顔を少し曇らせたヨシュアは、ポケットから小さな小瓶を取り出したそれは容量が200mlのもので、クリスタルのような円柱状になっている。
「なんですか、これ」
「聖水です。瀕死でもこれを飲めばたちまち元気になります」
効果を聞いて私は目を剥いた。
「いやいや、こんな高価なものいただけませんッ!」
どこに人の目があるがならないため、私は敬語を使い続ける。
というかいきなりこんな規格外のシロモノを手渡されて私は恐れ慄いている。なんだこれ、どこから手に入れたんだかわからないが、こんなもの王様とかそういう偉い人が持ってる秘宝レベルのものだ。
どこから手に入れたんだ。いや、入手先を知りたいわけじゃない。このままなにも知らないままでいさせて欲しい。
「でも心配なので」
「いや、でもこんな……高価なもの……」
持ってるだけで怖い……
何かの拍子に瓶が割れてしまったらどうする。
「しかし心配なので」
ヨシュアは壊れたようにそれしか言わない。
どうやっても引く気はなさそうだ。
「……わかりました、なにごともなく無事に帰ってきたらお返ししますからね!!!」
「そうですね、それがいいです。そうすればあなたが元気かどうか確認出来ますしね」
神父さまはちょっと過保護だな。
こんなの、うちの弟でも一人で行けるって言うのに。
すでに皆は集合しているだろうに、ヨシュアはわたしが森の中に入って見えなくなるまでじっと見送ってくれていた。
ではどうやってもうけを出しているのかといえば、自ら獲物を狩ってきて売りさばいているのだ。
明日はほとんどの人が休みの日のため、買取が少なくなることが予想される。
くわえて、休みの日には買い物客は増加することからなにかメインとなる商品が必要だった。
森に入る道は教会のすぐ近くにある。
教会に近づくにつれて、どこかそわそわしたような落ち着かない様子の女の子の姿が増えてくる。
その子達は自分にできる一番のおしゃれをして、目いっぱいかわいい格好をしてきているのがわかる気合いの入った服の子ばかりだ。
土曜日の朝ならば、お祈りがあるんだろう。
履きやすいズボンと、シャツに、ごついブーツを履いて薄汚れたような高い古された帽子を目深に被ったわたしは浮いている。
誰にでも開かれているお祈りだが、教会に若くて優しい見目のいい神父が派遣されてくるとその顔見たさに若い女の子が殺到している。
今日も皆教会に行くとは思えないほどにかわいらしく着飾り、あわよくば神父様とお話ししたいという下心を隠しもせずに教会にお祈りに行っている。
アリアは若い女の子でごった返している教会の横の道を通り、森へと続く道へと入って行く。
「アリア」
名前を呼ばれたので、誰が友達が教会に来ていたのかもしれないと、振り返った。
「……神父さま」
そこには、いつも通りの清潔そうな服を着たヨシュアが立っていた。
「そろそろお祈りが始まるのでは?」
教会の見やすい大きな時計の針はすでに真上から少し右側にずれている。
先程までたくさんいた娘たちの姿はすでに教会の中へと消えている。
「ええ、でも、窓からあなたの姿が見えたので」
ヨシュアは妙に嬉しげな顔をしている。めったにお祈りに参加しない私の姿が見えたからだろう。
「そうですか。今日は私お祈りに来たんじゃないんですよ」
「……狩りですか?」
私の格好を見てわかったのか、ヨシュアは少しばかり声を硬くしながら言う。
「ええ、まぁ」
「一人で?」
「いつものことなので。私結構強いですし……」
「一人でなんて……森はなにがあるかわからないですし、心配です」
「心配なんて……ちょっとウサギを狩るぐらいですから」
すでにうさぎ用の罠は仕掛けてあるため、罠にうさぎかかっていないか見に行くだけだった。
肉と一緒にふわふわなファーも取れれば一石二鳥だ。
「……これを」
端正な顔を少し曇らせたヨシュアは、ポケットから小さな小瓶を取り出したそれは容量が200mlのもので、クリスタルのような円柱状になっている。
「なんですか、これ」
「聖水です。瀕死でもこれを飲めばたちまち元気になります」
効果を聞いて私は目を剥いた。
「いやいや、こんな高価なものいただけませんッ!」
どこに人の目があるがならないため、私は敬語を使い続ける。
というかいきなりこんな規格外のシロモノを手渡されて私は恐れ慄いている。なんだこれ、どこから手に入れたんだかわからないが、こんなもの王様とかそういう偉い人が持ってる秘宝レベルのものだ。
どこから手に入れたんだ。いや、入手先を知りたいわけじゃない。このままなにも知らないままでいさせて欲しい。
「でも心配なので」
「いや、でもこんな……高価なもの……」
持ってるだけで怖い……
何かの拍子に瓶が割れてしまったらどうする。
「しかし心配なので」
ヨシュアは壊れたようにそれしか言わない。
どうやっても引く気はなさそうだ。
「……わかりました、なにごともなく無事に帰ってきたらお返ししますからね!!!」
「そうですね、それがいいです。そうすればあなたが元気かどうか確認出来ますしね」
神父さまはちょっと過保護だな。
こんなの、うちの弟でも一人で行けるって言うのに。
すでに皆は集合しているだろうに、ヨシュアはわたしが森の中に入って見えなくなるまでじっと見送ってくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる
柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった!
※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。
聖女を解雇された私のハーレム奮闘記
小村辰馬
恋愛
聖女として召喚されて3年が経過したある日、国の邪気は根絶されたので、城から出ていくように告げられた。
ついでに新たな命として、隣国の王子の妃候補として、住み込みで入城するよう言い渡される。
元の世界へ帰ることもできず、かと言って働きたくもない。というか、王宮で散々自堕落を繰り返していたので今更働くのとか無理!
だったら入ってやろうじゃないのハーレムへ!
働くことが嫌いな怠惰な主人公が、お付きの騎士と一緒に他国の女の園で頑張ったり頑張らなかったりするお話。
私は、聖女っていう柄じゃない
蝋梅
恋愛
夜勤明け、お風呂上がりに愚痴れば床が抜けた。
いや、マンションでそれはない。聖女様とか寒気がはしる呼ばれ方も気になるけど、とりあえず一番の鳥肌の元を消したい。私は、弦も矢もない弓を掴んだ。
20〜番外編としてその後が続きます。気に入って頂けましたら幸いです。
読んで下さり、ありがとうございました(*^^*)
国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?
naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ゆるふわ設定です。
連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる