72 / 258
第5章 マッキンゼ領での旅
第67話 浮遊
しおりを挟む
「試作の宝石は3つか」
コテージのダイニングで、木箱の中を確認すると、以前ドーファンの所で試したのとよく似た丸く透明な宝石が、3つ入っていた。
誤って触ってしまわないようにか、ご丁寧に開閉できる革製のポーチのような物も同梱されている。
これをベルトにでも付けておく、ということだろうか。
「とりあえず一個、魔力を入れてみますね」
エミリスが言って、宝石を手に取る。魔力を込める時は前と同じく手に持つだけのようで、宝石に空きがあるだけ魔力が吸い取られるらしい。
「わわっ!」
以前は触ってもなかなか色が変わらなかったが、今回はすぐに真っ赤に染まる。彼女は慌てて宝石を机に置いた。
「びっくりしました……。なんか、身体中がゾワっと……」
肩をすくめて、感想を言う。
恐らく、以前魔力をテストした時にアティアスが感じたものと同じような感覚だったのだろう。
「俺もあの時はびっくりしたよ。それにしてもこんなにすぐ溜まるって、この石が何か変わったのかな? それとも……」
「……たぶん、変わったのは私だと思います。前より魔力をいっぱい出せるよーな気がしてるんです。それに、ほら……」
そう言って、左手の紋様を彼に見せた。
「……かなり薄くなってるな。遠目にはもう分からないくらいか」
「そうなんですよー。この町で色々魔法の練習してるうちに、だんだんと……」
「そうなのか。じゃあ、前より大きな魔法も使えるのかな?」
「かもしれません、試してはないですけど……」
もしそうだとすると、彼女の弱点はほとんど残っていないのではないだろうか。
「そっちはそのうち確認しよう。それで、まだ魔力に余裕はあるか?」
「はい、少し驚いただけです。そもそも魔力無くなった時の感覚がわからないので何とも……ですが、たぶんまだまだ大丈夫です」
「そうか。相変わらず底なしだな。……胃袋といい、どうなってるんだ? エミーの身体は……」
「むー、お腹は関係ないですー。それに私の身体、隅々まで全部知ってますよね⁉︎ どう見てもふつーの人ですっ」
エミリスは頬を膨らませて抗議しながら、ほらほらと言わんばかりに上着の裾を捲り、可愛らしいおへそを見せてきた。
「……それは外側だけだって。中はまだ謎だらけだ」
「私を人外みたいに言わないでくださいー」
充分人間離れしてると思う……と、心の中で呟く。本当に味方で良かったとも。
「ははは、じゃちょっと試してみるか」
彼はそう言って、椅子から立ち上がり、腕輪を嵌めてから真っ赤になった宝石を持つ。
この腕輪も木箱に同梱されていたもので、これを付けていると魔力が引き出せるとのことだった。
「ふむ、持っただけだと何ともないな。そりゃそうか」
ならば……と、魔法を使う時のように魔力を練ってみる。その様子を彼女は座って見ている。
「おぉ?」
いつもの感覚とだいぶ異なる感じに、つい声が出る。
「どうしました?」
心配そうにエミリスが聞いてくる。
「あ、いや、大丈夫だ。……確かに、なんか自分の魔力がだいぶ増えたように感じるな。ただ……」
アティアスは続ける。
「慣れないとうまく制御できないかもしれない。いつもの感覚で魔法を使うと、やり過ぎるかも……」
このコテージで魔法を使うのは危険すぎると思い、そっと宝石を置く。
「ふぅ……。ミニーブルに行く途中で練習するか」
「私も浮かぶ練習してるので、お揃いですね♪」
何故か嬉しそうだ。ふと、彼女がこのウメーユにいる間もこっそり練習しているのを思い出し、聞いてみる。
「あれからどうだ? だいぶできるようになったのか?」
待ってました、と言わんばかりに彼女はドヤ顔を見せる。
「ふふふ……。実は結構自由に飛べるようになったんですよ」
そう言うや否や、彼女は椅子に座ったまま、すっと部屋の中ほどまで浮かんでみせた。椅子ごと。
初めて浮かんだ時のように髪が逆立ったりすることもなく、自然にただ浮いているだけに見える。
「おお、すごいな!」
彼が驚く。
彼女は椅子から立ち上がるような仕草で椅子の背を持ち、そっと床に置く。自身は浮いたままだ。
そのままふわっと空中を滑るようにアティアスの方に近づくと、ぎゅっと抱きついてくる。
「どーです? びっくりしました?」
彼の胸に顔を擦り付け、下から見上げるように笑顔を見せる。
「ああ、ここまでできるようになってたんだな」
素直に彼女の努力を褒める。
「ですー。外では絶対やりませんけどね」
「だよな。更に目立ったら困る」
「ふふふー」
彼女の足はまだ浮かんでいる。抱きつかれているが、全く重さを感じなかった。
「どのくらい浮いてられるんだ?」
疑問に思って聞く。
「えっと、それは時間ですか? それなら多分いくらでも大丈夫ですー。1時間くらいはやってみましたけど、何ともなかったので」
彼女にとって大した魔力量ではないらしい。もしかすると、使う分よりも回復する方が多いくらいかもしれない。
「じゃ、アティアス様も浮かせちゃいますよ」
今度はそう言って、自分ごとアティアスを持ち上げる。もちろん力ではなく魔力で、だ。
「おわっ!」
慣れない感覚に驚きの声が出る。
あっという間に、2人とも先程と同じように部屋の中でふわふわと浮いていた。
ただ、アティアスは自分では身動きが取れないので、彼女に任せるしかない。
「怖いのでどこまで高くいけるかとかまでは、試したことないですけど……」
そう言いながら、高度を下げてそっと床に降り立つ。
彼女は褒めて褒めてとばかりに、キラキラした目を見せている。
そんな彼女の頭をいつものようにそっと撫でると、今度は自分の足で彼に抱きつく。
「すごいな。更に人間離れしてきたな」
「私、人外じゃないですよっ!」
抗議しつつも、笑顔を見せた。
◆
「今晩が最後ですねぇ」
エミリスが感慨深げに呟く。
今は夕食の最中だった。このコテージでは自由に料理ができたのが良かったが、これからしばらくはまた旅をすることになる。
アティアスに聞くと、このウメーユから北西にあるミニーブルまで、途中に2つの町があるそうだ。
真っ直ぐに行くなら、馬の足なら3日あれば着く。
ただ、いつものようにそれぞれの町で1日滞在してから次へ、という予定で考えていた。
「野宿しなくていいから楽だけど、エミーの手料理が食べられないのは残念だな」
彼女はここにいる間も、毎日工夫して新しい料理を作ってみたりと、研究に余念がなかった。彼を飽きさせないようにと、いつも考えていたのだ。
「ふふー。でも新しい町に行けば違う料理もありますから、全部再現して差し上げますよ」
自信満々に胸を張る。
一度食べれば大抵のものは再現する自信があった。むしろ自分なりに改良して、彼の好みに合わせることもお手のものだ。
やはり味覚もそれだけのものを持っているのだろうか。
「エミーがレストランを開いたら繁盛するだろうな」
「かもしれませんねー。……でもやりませんよ? 私にはアティアス様をお守りする最重要な役目がありますからー」
彼女にとってみれば、彼が喜んでくれさえすれば良いのだ。
その目的のためであれば、他の人に料理を振る舞うことは何も問題ないが、不特定多数の人にということに興味はなかった。
「そうか。これからもよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
わざわざ席を一度立って、真剣な顔で礼儀正しくペコリと頭を下げる。こういうところは最初と変わらない。『様』付けで呼ぶのと同じく、彼女にとっての決まりのようなものだった。
今となってはそのことにあまり意味はないが、一度やめると、どこまでも緩んでしまうと彼女は思っていた。
「……で、飲むのか?」
彼が一本残してあったワインを彼女にちらつかせる。
「……き、聞かなくてもわかってますよね?」
もちろん聞くまでもない。
というか、答える前に彼女はワインオープナーを手にしている。
彼が瓶を見せた瞬間に、壁に掛けてあったそれを、さっと魔力で手元に取り寄せていたのだ。
相変わらず便利な力だ。
「はい、どーぞ」
そしてそれを彼に手渡すと、すぐにコルクを抜いてくれる。
その間に彼女の手元には既にグラスがある。
彼女の目の色のように澄んだ赤い液体が、一筋の糸のようになってグラスに注がれる。
一連の流れに澱みがない。
それもそうだ。毎日のように繰り広げられている訳で、今日に始まったことではない。
「ありがとうございます」
「じゃ、無事にミニーブルに着くことを願って、乾杯」
「かんぱーい!」
2人の喉を、液体がするっと通っていく。
ああ、美味しい……。
毎日のことだが、これにはなかなか抗えない。彼女の弱点のひとつだった。
コテージのダイニングで、木箱の中を確認すると、以前ドーファンの所で試したのとよく似た丸く透明な宝石が、3つ入っていた。
誤って触ってしまわないようにか、ご丁寧に開閉できる革製のポーチのような物も同梱されている。
これをベルトにでも付けておく、ということだろうか。
「とりあえず一個、魔力を入れてみますね」
エミリスが言って、宝石を手に取る。魔力を込める時は前と同じく手に持つだけのようで、宝石に空きがあるだけ魔力が吸い取られるらしい。
「わわっ!」
以前は触ってもなかなか色が変わらなかったが、今回はすぐに真っ赤に染まる。彼女は慌てて宝石を机に置いた。
「びっくりしました……。なんか、身体中がゾワっと……」
肩をすくめて、感想を言う。
恐らく、以前魔力をテストした時にアティアスが感じたものと同じような感覚だったのだろう。
「俺もあの時はびっくりしたよ。それにしてもこんなにすぐ溜まるって、この石が何か変わったのかな? それとも……」
「……たぶん、変わったのは私だと思います。前より魔力をいっぱい出せるよーな気がしてるんです。それに、ほら……」
そう言って、左手の紋様を彼に見せた。
「……かなり薄くなってるな。遠目にはもう分からないくらいか」
「そうなんですよー。この町で色々魔法の練習してるうちに、だんだんと……」
「そうなのか。じゃあ、前より大きな魔法も使えるのかな?」
「かもしれません、試してはないですけど……」
もしそうだとすると、彼女の弱点はほとんど残っていないのではないだろうか。
「そっちはそのうち確認しよう。それで、まだ魔力に余裕はあるか?」
「はい、少し驚いただけです。そもそも魔力無くなった時の感覚がわからないので何とも……ですが、たぶんまだまだ大丈夫です」
「そうか。相変わらず底なしだな。……胃袋といい、どうなってるんだ? エミーの身体は……」
「むー、お腹は関係ないですー。それに私の身体、隅々まで全部知ってますよね⁉︎ どう見てもふつーの人ですっ」
エミリスは頬を膨らませて抗議しながら、ほらほらと言わんばかりに上着の裾を捲り、可愛らしいおへそを見せてきた。
「……それは外側だけだって。中はまだ謎だらけだ」
「私を人外みたいに言わないでくださいー」
充分人間離れしてると思う……と、心の中で呟く。本当に味方で良かったとも。
「ははは、じゃちょっと試してみるか」
彼はそう言って、椅子から立ち上がり、腕輪を嵌めてから真っ赤になった宝石を持つ。
この腕輪も木箱に同梱されていたもので、これを付けていると魔力が引き出せるとのことだった。
「ふむ、持っただけだと何ともないな。そりゃそうか」
ならば……と、魔法を使う時のように魔力を練ってみる。その様子を彼女は座って見ている。
「おぉ?」
いつもの感覚とだいぶ異なる感じに、つい声が出る。
「どうしました?」
心配そうにエミリスが聞いてくる。
「あ、いや、大丈夫だ。……確かに、なんか自分の魔力がだいぶ増えたように感じるな。ただ……」
アティアスは続ける。
「慣れないとうまく制御できないかもしれない。いつもの感覚で魔法を使うと、やり過ぎるかも……」
このコテージで魔法を使うのは危険すぎると思い、そっと宝石を置く。
「ふぅ……。ミニーブルに行く途中で練習するか」
「私も浮かぶ練習してるので、お揃いですね♪」
何故か嬉しそうだ。ふと、彼女がこのウメーユにいる間もこっそり練習しているのを思い出し、聞いてみる。
「あれからどうだ? だいぶできるようになったのか?」
待ってました、と言わんばかりに彼女はドヤ顔を見せる。
「ふふふ……。実は結構自由に飛べるようになったんですよ」
そう言うや否や、彼女は椅子に座ったまま、すっと部屋の中ほどまで浮かんでみせた。椅子ごと。
初めて浮かんだ時のように髪が逆立ったりすることもなく、自然にただ浮いているだけに見える。
「おお、すごいな!」
彼が驚く。
彼女は椅子から立ち上がるような仕草で椅子の背を持ち、そっと床に置く。自身は浮いたままだ。
そのままふわっと空中を滑るようにアティアスの方に近づくと、ぎゅっと抱きついてくる。
「どーです? びっくりしました?」
彼の胸に顔を擦り付け、下から見上げるように笑顔を見せる。
「ああ、ここまでできるようになってたんだな」
素直に彼女の努力を褒める。
「ですー。外では絶対やりませんけどね」
「だよな。更に目立ったら困る」
「ふふふー」
彼女の足はまだ浮かんでいる。抱きつかれているが、全く重さを感じなかった。
「どのくらい浮いてられるんだ?」
疑問に思って聞く。
「えっと、それは時間ですか? それなら多分いくらでも大丈夫ですー。1時間くらいはやってみましたけど、何ともなかったので」
彼女にとって大した魔力量ではないらしい。もしかすると、使う分よりも回復する方が多いくらいかもしれない。
「じゃ、アティアス様も浮かせちゃいますよ」
今度はそう言って、自分ごとアティアスを持ち上げる。もちろん力ではなく魔力で、だ。
「おわっ!」
慣れない感覚に驚きの声が出る。
あっという間に、2人とも先程と同じように部屋の中でふわふわと浮いていた。
ただ、アティアスは自分では身動きが取れないので、彼女に任せるしかない。
「怖いのでどこまで高くいけるかとかまでは、試したことないですけど……」
そう言いながら、高度を下げてそっと床に降り立つ。
彼女は褒めて褒めてとばかりに、キラキラした目を見せている。
そんな彼女の頭をいつものようにそっと撫でると、今度は自分の足で彼に抱きつく。
「すごいな。更に人間離れしてきたな」
「私、人外じゃないですよっ!」
抗議しつつも、笑顔を見せた。
◆
「今晩が最後ですねぇ」
エミリスが感慨深げに呟く。
今は夕食の最中だった。このコテージでは自由に料理ができたのが良かったが、これからしばらくはまた旅をすることになる。
アティアスに聞くと、このウメーユから北西にあるミニーブルまで、途中に2つの町があるそうだ。
真っ直ぐに行くなら、馬の足なら3日あれば着く。
ただ、いつものようにそれぞれの町で1日滞在してから次へ、という予定で考えていた。
「野宿しなくていいから楽だけど、エミーの手料理が食べられないのは残念だな」
彼女はここにいる間も、毎日工夫して新しい料理を作ってみたりと、研究に余念がなかった。彼を飽きさせないようにと、いつも考えていたのだ。
「ふふー。でも新しい町に行けば違う料理もありますから、全部再現して差し上げますよ」
自信満々に胸を張る。
一度食べれば大抵のものは再現する自信があった。むしろ自分なりに改良して、彼の好みに合わせることもお手のものだ。
やはり味覚もそれだけのものを持っているのだろうか。
「エミーがレストランを開いたら繁盛するだろうな」
「かもしれませんねー。……でもやりませんよ? 私にはアティアス様をお守りする最重要な役目がありますからー」
彼女にとってみれば、彼が喜んでくれさえすれば良いのだ。
その目的のためであれば、他の人に料理を振る舞うことは何も問題ないが、不特定多数の人にということに興味はなかった。
「そうか。これからもよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
わざわざ席を一度立って、真剣な顔で礼儀正しくペコリと頭を下げる。こういうところは最初と変わらない。『様』付けで呼ぶのと同じく、彼女にとっての決まりのようなものだった。
今となってはそのことにあまり意味はないが、一度やめると、どこまでも緩んでしまうと彼女は思っていた。
「……で、飲むのか?」
彼が一本残してあったワインを彼女にちらつかせる。
「……き、聞かなくてもわかってますよね?」
もちろん聞くまでもない。
というか、答える前に彼女はワインオープナーを手にしている。
彼が瓶を見せた瞬間に、壁に掛けてあったそれを、さっと魔力で手元に取り寄せていたのだ。
相変わらず便利な力だ。
「はい、どーぞ」
そしてそれを彼に手渡すと、すぐにコルクを抜いてくれる。
その間に彼女の手元には既にグラスがある。
彼女の目の色のように澄んだ赤い液体が、一筋の糸のようになってグラスに注がれる。
一連の流れに澱みがない。
それもそうだ。毎日のように繰り広げられている訳で、今日に始まったことではない。
「ありがとうございます」
「じゃ、無事にミニーブルに着くことを願って、乾杯」
「かんぱーい!」
2人の喉を、液体がするっと通っていく。
ああ、美味しい……。
毎日のことだが、これにはなかなか抗えない。彼女の弱点のひとつだった。
20
あなたにおすすめの小説
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる